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2004年3月23日 (火)

片岡義雄の英語本

あらかじめ買う本が決まっているときにはアマゾンとかオンラインで買う方がいい。捜すのが早いし。でも、本屋さんでなんとなく見ているうちに「へぇ、こんな本があるんだ!?」と本を手にとって買うというのもショッピングの楽しみかも。

この本もそんなふうにして見つけた。本来まったく別の教養書を捜していたのだったが、なんと言っても片岡義雄という名前には反応してしまう。実は私は彼の書くものが大好きなのだ。

「英語で言うとはこういうこと」は、実用書だろうと思うが、そのなかには片岡義雄が小説の中に書いてきていたエッセンスというか、そういうものが詰まっている。彼は確かハワイ生まれで、育っていくうちにアメリカで生活するか日本で生活するかの決断を迫られ、そのなかで日本での生活を選んだ人なのだ(と本人がどこかで書いていた)。だから、私はこの人にもっと日米文化比較みたいなことを書いてもらいたい、と思いつつもきっとそれは我々からみるとずいぶんアメリカよりになるだろうな、とは思う。

そう思うのはやはり彼の「プレスリーが大好き」あたりを読んでいるから感じるのだろうか。この本はアメリカのロックンロールの発生と発展を冷徹な目で見据えたおもしろい読み物だ。

彼の作品でたしか「給料日」という短編があった。内容はどうでもいいとして、その中で主人公の若い男が電車の中で隣に立っていた女性に「ガム噛みますか?」と話しかけるシーンがあった。日本人にはちょっとなかなかできないことである。

ところがある日、私が電車に乗っていると、隣のつり革にぶら下がっている女性がなんとこの「給料日」を読んでいた。それも、あと1,2ページでそのガムの所へ来るというタイミングだ。ここは一発、「ガム噛みませんか?」と話しかけたかったのだったが、あいにくガムなんか持ち合わせがないので断念したのだった。後から考えてみると、ガむなんてどうでもよかったので、ガムを持っていなくても「噛みませんか」と言ってやればよかったのだ。まさか「ください」とはいわないだろうし、言ったとしても「あ、もうなくなっちゃった」でもいいわけで。

話が脱線した。

「英語で言うとはこういうこと」はいかにも日本語的な例文が200ほどあって、それをどういうふうに英語にするかということを片岡義雄が解説してくれている。はっきりいってこれ全部覚えるわけにはいかないし、内容もそう簡単ではない。英語の初級ではちょっと苦しいかもしれない。

でも、このなかに含まれている「英語的なとらえ方」のエッセンスはこれから英語を学ぼうという人にも十分役に立つと思う。なに、肩ひじ張らずに読み流せばいいのだと思う。おもしろかったら2、3度読み直せばいいし、おもしろくなければほうり投げておけばいいのだ。

ではどういう例文があるのかというと、こんな感じだ。
1)「今後ともよろしくお願いいたします」
2)「いろいろと御助力をいただき、ありがとうございました」
3)「彼にとっての大きな転機」
4)「単刀直入な」
5)「防縮加工により小さくなりません」

答えは下の方に書くつもりなので、あなたならどういうか考えてみて欲しい。

ちなみに私は「それって、英語だとこういうんだよね」「そんなことは日本人しか言わないよ、英語の発想では・・・」みたいなことを言ったり言われたりするのは大嫌いだ。日本人は日本人なりの英語をはなせばいいのであって、なにもネイティブのまねをすることはないと思っている。

英語は英米人だけのためのものではなく、国際共通語なのだから、インド人の英語もあれば中国人の英語もあり、日本人流の英語があってもちっともかまわないはずだ。ただ、できればやはり誤解は少ない方がいいし、英語的発想というのを身に付けるのは悪いことではないと思う。それに流されなければね。

1) We welcome your interest and look forward to serving you.
2) Thank you for being there whenever I needed you.
3) a major turnng point for him
4) straight and to the point
5) Shrink treated to keep its size

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