音楽とオーディオ
床を這うように流れる音楽を聴きたいときもあるし、部屋中を隅々までたっぷり満たすような音楽を聴きたいこともある。たとえば、部屋を一杯に満たすような音量でビル・エバンスを聞きたいとは思わないのだ。Chick CoreaのA.R.Cなんかは音量を上げて、部屋一杯の音で聞きたい。
高級なオーディオ装置なんていらない。記録された音楽というのはしょせんリアルなものではあり得なくて、言ってみれば足跡のようなものなのだ。再生された音は、本当の音を思い出すヒントでしかない。想像力で補えば、ラジオ程度の音質でも十分に鑑賞することができる。
そうだ。写真を見て、長く逢っていない人を想うように。そりゃ写真は綺麗で大きくて解像度がいい方がいいのだけれども、しょせんは平面なのだ。音楽だって、いくら高価な装置を使ってみたところで、再生できるのは幻影だ。
だから私はオーディオ装置が主役であるようなオーディオルームなんていらない。それよりも住んでいる空間全部にオーディオ装置を埋め込みたいな。存在を感じさせずにしかも死角なくオーディオを楽しめるような空間を至る所に作り出したい。それはつまり居住空間すべてをオーディオ・ルーム化するということかもしれない。
それは例えば小さなスピーカを1mおきに配置するようなものになるかもしれない。低音はベースの音がわかる程度でよいので壁全体を鳴らすようなしかけがあるといいな。
昔、「エコニック」という壁を鳴らすユニットがあった。スピーカのコーン紙に相当する部分をねじで壁に取りつけ、それを駆動する永久磁石が自由振動できるようになる。信号を加えると永久磁石が振動し、その反動として壁がドライブされる。家を建てるなら、要所要所にこのエコニックを埋め込もうと思っていたのだった。
そのエコニックは今どうなっているのだろうかと思って調べてみると、トランスデューサという名前で「体感型AVチェア」なんかに使われているらしい。この会社のHPを見ていると、このトランスデューサを使って、お酒をおいしくしたりできるんだそうだ。
脱線したけれども、「どこでも音楽」という意味で言うと、ワイヤレスヘッドホンはなかなかいい線いってるのだ。もっと軽いといいのだけれども、PCでCDを再生しながらトイレまで電波が届くのでね。
リアリティを追究したい気持ちは分かるけれども、オーディオ装置にかけるお金があったら私はCDを買うね。
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