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2004年6月15日 (火)

ジェームズ・エルロイ

初めてジェームズ・エルロイの名前を知ったのは「ホワイト・ジャズ」という小説の作者としてだった。「ホワイト・ジャズ」という本はもちろんその「ジャズ」というところに興味があって買ってみたわけだが、それを読み終わってこの本が四部作の最後の一冊であることを知り、そのシリーズを最初から読み返すことになる。

その4冊とは、

「ブラック・ダリア」

「LAコンフィデンシャル」

「ビッグ・ノーホエア」

「ホワイト・ジャズ」

だった。この四冊を一挙にまとめて映画化したのがアカデミー賞映画「LAコンフィデンシャル」だった。この映画をみたのはこれらの小説を読む前のことで、正直言って何のことやら全然わからなかった。これらの4冊を読んで、やっと映画の筋がわかり、もう一度読んだときには完全に理解できた。

書かれてあることは、要するにロサンゼルスの暗黒街と腐敗した警察、検事局の組んずほぐれつの戦いの日々というものなのだが、筋がよく分からなくてもドンパチだけでも楽しめるということでアカデミー賞となったのだろう(違う)。

で、このジェームズ・エルロイというひとの書いた本を見つけたので買ってみたわけだ。「ハリウッド・ノクターン」というのがその題名で、中身は短編集なのだが、上記のLA4連作に当てはまる時期の隠れたエピソードのようなものが綴られている。

ジェームズ・エルロイはどうやらそのころ実在した人物にいろいろインタビューして事実関係を把握し、その上で架空の自分物を創作して物語を作ったものらしい。実際、4部作のあちこちが活躍するミッキー・コーエンというギャングは実在したらしいし、ハワード・ヒューズはもちろん実在する。

この人の短編を読んでいて、野坂昭如の初期の作品を思い出した。野坂の初期の作品はTV業界の話を書いたものが多かったのだが、その業界の人々を熟知している野坂は、それらを群像として描くのではなく、一人一人にスポットライトを当てて、一人一人を主人公にした短編を多数書くという方法を取った。

だから、野坂のある短編の主人公は別の短編ではわき役になったり、主人公と対立する立場になったりする。

これはおもしろい手法だと思った。実際人生というものはそういうものだし、「人生とは、ひととひととが織り成す綾織りのようなものである」というフランスのことわざがあるくらいだ。

エルロイのこの短編集を読んで、二次大戦末期のLAの怪しい肥土人の群像を結ぶものが見えてきたような気になってくる。これはおもしろい体験だった。また4部作読まないと。

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