「風邪の効能」「整体入門」/野口晴哉
野口整体の話を初めて聞いたのは1988年だったかと思う。さるご年配のご婦人からいろいろ不思議な話を聞いて、「気」とかそんなものがどうとかって言う話をされていたのだが正直言って半信半疑だった。
でもただひとつ「これ試してみて」と言われたのが「二人であおむきに寝て、互いの足の裏を合わせる」というものだった。最初なにを言われているのかわからなくて(パソコン通信のメッセージ上だったので図解とかはなかった)何度も聞き返した結果、両者の足を<>という感じで足の裏を合わせるのだということがわかった。
で、これをやってみると、なんと足の裏からなんというのかなにかが出たり入ったりするような気がして、なるほどこれが「気」というものなのか、と納得したような次第。
で、そのころそのご婦人が「風邪っていうのは経過するものだから」と言うふうなことを言ってまして、その意味はよくわからなかったんだけれども、まぁ「自己治癒力」とかそういう話なのかな、と思っていたわけで。
で、昨年の暮に書店でこの2冊の本を見つけて買ったわけです。「風邪の効用」と「整体入門」。
まずは「風邪の効用」から読み始めたのは、字が大きくて、字数が少なくて読みやすそうだったから。これらの2冊はいずれも野口氏の講演会を記録したもののようで、言葉使いも平易だし、あまりおもしろくはないけれども冗談もあったり、冗長だったりして、肩の凝らない読み物という感じ。内容的にはつまり「風邪は経過するもの」ということがもっとちゃんと説明されていた。
どういうことかというと、「風邪というのは体が自分の不調を直そうとする行為なので、風邪をひくというのは体の不調を直すチャンスなのだ」だと。で、風邪は無理に直そうと思わずに、「経過するのを待つ」ということをこの人は勧めている。対症療法として単純に熱を下げたりはしない方がよいとしている。
で、風邪の症状を和らげ、経過を無理なく早めるには、頸椎5番をどうするとか、胸椎1番をどうとかというのだが、それがどういうものかはもう一冊の方「整体入門」を見ないとよく分からない。
「整体入門」のほうでは「整体」ということを基本から体系的に記述されている。中でも「愉気」という行為が、つまり手のひらから「気」を出して治療するということについて書かれているのが興味深い。さらには人々の体の傾向を12のグループに分けて、それぞれについて効果的な体操を示している。
ここでそれぞれの内容を細かく説明するつもりはないのだが、この野口氏というひとはともすればまゆつば物と見なされそうな「気」について数多くの実践の中から効果があるという実績を残してきた人で、その功績はもっと評価されてよいのではないかと思う。
この2冊は英訳も出ていて海外でも出版されているようなのだが、その反響はどうなのだろうか? なかなか実際に「活元運動」を目にしないと信じられないのではないかなぁ。
私は実際に「愉気」ということをやってひとの痛みが和らげられたことがあるので「気」の効果を信じているのだが、この「愉気」は「私にはひとの病を治すことができるのだ」などと気負うと効果がでないそうで、つまり「ビジネスにはならないのだ」ということを野口氏が言明している。これはなかなか潔い姿勢だが、それだけにもどかしいものも感じてしまうのだなぁ。
追記: で、今度風邪ひいたらこんなことやってみよう、あんなことやってみようと思っていると、(野口氏も書いているとおり)意外なことに風邪を引かないのであった。これこそ「風邪の効能」の効能かも。
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