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2005年3月28日 (月)

バナナが耳に刺さってますよ~

Itami20050328 空港やターミナル駅の本屋というのは普通の本屋さんとは品ぞろえが違うような気がする。旅の直前のやや高ぶった気持ちで選ぶ本というのはやっぱりちょっと違うんじゃないだろうか。

そんなわけで、ちょっと高ぶっていた私は文庫本の腰巻きに付けられた「随筆をエッセイにした」「この本を読まずしてエッセイを語るなかれ」とうい惹句に惹かれて伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」というのを買ってしまったのだった。

ところがこれが大変におもしろいのだった。品川駅の新幹線ホームで「のぞみ」を待ちながら夢中になって読んでいたために、入線してきた車輌を確かめもせずに乗り込んだら、これが一本早い「ひかり」でしかも品川の次に止まるのが三島とう半端なやつで、せっかく買ったのぞみの指定席には座れず、ひかりの車中を右往左往(正確には前往後往)してまぁなんとか座れたのだが、まぁそんな話はいいや。

伊丹十三がこの本を書いたのはたぶん、40年以上前のことである。いや、今その本が手元にないので正確なことはわからないのだが。なにしろ「明日日本へ帰る」と書いておきながら「日本に着くのは月末ぐらいだろう」とか言ってる。かれは船で帰るつもりなのだ。そんな時代の話なのだ。

いやしかし、その中で語られることがおもしろいおもしろい。ひとつひとつ紹介したいがまぁそれはやめておこう。ただひとつご紹介するのはタイトルにいただいた「バナナを耳に刺した紳士」というイギリスの小話。イギリスの電車の中で向かいに座った人が耳にバナナを挿している。しかも半分ほど皮をむいたやつだ。それで、それを見つけた人は悩むわけ、いいってあげた方がいいんだろうか、それとも黙っているべきか、と。で、さんざん悩んだ挙げ句に「バナナが耳に刺さってますよ~」と言ってあげるのだが・・・。

そういうおもしろ小話だけじゃなくてウイットに富んだお話が満載で、結局私は新幹線の中で一睡もすることなくこの本に没頭してしまったのだった。

で、気がついてみると腰巻きが外れていてそこには「この本を読んでニヤッと笑ったあなたは本格的で、ちょっと変なひとです。」と書かれていて、これにはやられた、というか、イヤーこれってたいていの人はニヤッとするでしょう。

で、これを書いた伊丹十三氏は1997年に自殺してしまったのだな。彼は一体何を悲観したのだろうか?

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コメント

またこんばんは。伊丹氏のエッセイは面白いよね。「走る男」とかって話はその本にはなかった?グルメっぽい話も結構いいですよって、その昔、伊丹エッセイが面白いって教えてくれたのは、例のA氏ですよ、ヤノピの先輩ね。

投稿: taki | 2005年3月29日 (火) 00時00分

ところでマクワウリの教則本がでたらしいですね。
http://itaru.cocolog-nifty.com/itaru/2005/03/dvd.html

投稿: taki | 2005年3月29日 (火) 00時06分

何度も失礼します。荒らしてしまったかな。
教則本でなくてDVDでした。失礼しました。

投稿: taki | 2005年3月29日 (火) 00時08分

「走る男」はなかったと思いますが、道路に座り込む象とか、牛ほどの大きな犬と歩く老婦人の話、チャールトン・ヘストンの乗馬靴なんて話がありました。
マクローリンの教則DVD、3枚組で175ドル!? それにこれ、きっとリージョン1だと思う。ウチはリージョン1でも再生できるけど、ちょっと考えてしまうなぁ、考えた末に買うんだろうなぁ・・・・・。デモ見ただけでもどきどきしたもんなぁ。

投稿: picks-clicks | 2005年3月29日 (火) 22時14分

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