残虐記で悩む
最初に読んだ桐野は「リアルワールド」だったと思う。これは「何がリアルか? リアルとは何か?」という問いかけを投げかけるものだった。で、桐野は思いがけないところから「これがリアル、ってのもあるんじゃない?」というのを投げてよこすのだ。
「残虐記」は10歳の女の子が誘拐監禁される話だ。後味が悪いとも聞いていたから、読むのは気が進まなかったがなんとなく読み始めた。
しかし、少女が拉致されたところで先へ進めなくなった。私は自分でもどちらかというとサディスティックなほうだと思っていたのだが、こんなところで読めなくなるとは真性のサドではないようだ。
読み進めないまま、この文庫本は私のカバンの中に2ヶ月滞留していた。
今頃になって読もうと思ったのは、「ブラックダリア」とそれからもうひとつディックフランシスの本が部屋の奥から発掘されてきたからだ。桐野を投げ捨ててこれらの本へ進むわけには行かないし、現実的な話として桐野の本が一番ボリュームが少なかったのだ。
桐野の「残虐記」はよい意味で期待を裏切るものだった。おもしろかった。ボリュームの割に中身が濃い。後味もそんなに悪くない。しかも驚いたことに、この話は最初週刊アスキーに連載されていたのだという。へ~。
この話を読み終わってから、映画「世界残酷物語」を思い出した。いろいろな残酷シーンのあとに、見世物としての人間が提示される。残酷に見える動物たちの弱肉強食の世界よりも、実は人間が一番残酷なんじゃないかい? ということをこの映画は言っていたのだ。
では、桐野の「残虐記」は何を以って残虐とするのか? それは読んでのお楽しみ。
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