ジャズ系小説で悩む
Takiさんのblogを見ていて思い出した。
筒井康隆の小説でジャズの曲名をタイトルにしたシリーズがあった。それが一冊の単行本になっていて、私はそれを持っているはずだ。
「男たちのかいた絵」というのがその本のタイトルで、同名の映画にもなっているのだが、その映画はこの本とは関係がないように思う。筒井の別の本「俺の血は他人の血」(エスクレメント~はキーワード)を基にした映画ではないだろうか。
で、その本「男たちのかいた絵」を発掘してきたので紹介しよう。
本の腰巻には「●著者のことば」として、
>この連作を書きはじめる時、ぼくは自分に次のような制限を加えた。
(1) 女を出さないこと。
(2) ジャズのスタンダード・ナンバーの曲名をタイトルにすること。
(3) 症名のある異常性格、異常性欲の持ち主を主人公にすること。
>その結果、オナニズム、同性愛、マゾヒズム、虚言癖、エディプス・コンプレックス、多重人格、ソドミズム(獣姦)の持ち主を主人公にした八つの短編ができた。
>なぜ小説を書く上でそんなつまらない束縛を加えたかというと、別に意味はない。いわば著者の趣味だったわけである。
というわけで、この本は人には薦められませんが面白いんです。
ちなみに、8つの短編のタイトルは、
・夜も昼も
・恋とは何でしょう
・星屑
・嘘は罪
・アイス・クリーム
・あなたと夜と音楽と
・二人でお茶を
・素敵なあなた
アイス・クリームなんていうスタンダードは知らないけど、まぁ世の中には私の知っていることよりも知らないことのほうが多いので。
で、ここまで書いて思い出したが、映画「男たちのかいた絵」はこの中の「二人でお茶を」という多重人格ものを映画化したのかもしれない。一方で「俺の血」はこの話を別途発展させたものなのかもしれない。
なんにしてもその映画を見ていないので、無責任発言でした。
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コメント
ご紹介の本はどちらも持っていたんですが、卒業後は筒井氏の小説に興味がなくなってしまい、「暗黒世界のオデッセイ」以外はすべて古本屋に売ってしまいました。
何となく小説のパターンが見えてしまう気がしたのと、別のジャンルの本を読むようになったからでしょうか・・というほどは読んでないけど。
あの頃の筒井小説を改めて読もうとは思わないですが、その後とか近作は機会があったら読んでみたい気はします・・が、未読が溜まっていて、そこまで行きつけません。
投稿: taki | 2008年6月26日 (木) 00時11分
「暗黒世界のオデッセイ」はあんまり楽しめなくて、でも私が筒井を卒業したのはもうちょっとあとでした。
でもまだ筒井の単行本は何冊か持っています。もう処分してもいいかもしれない。
一度、筒井氏本人にサインをもらえるチャンスがあったのですが、この本か「俺の血は・・・」を持って意向と思っていたのに忘れてしまって、まぁ仕事がらみだったんで仕方なかったんですが残念でした。
投稿: PICKS CLICKS | 2008年6月26日 (木) 22時16分
確か、K岩君が貴君から借りていた山上たつひこのマンガ(筒井氏原作)に筒井氏にサインしてもらったとか?あの本はどうなったんでしょうか?
当時、倶楽部員のたまり場だったメイファでの話だったと思います。
投稿: taki | 2008年6月27日 (金) 01時10分
うむ、実はその本というか、マンガは私が持っています。筒井康隆原作、山上たつひこ画の「アフリカの爆弾」です。
所有者の権利を主張してK岩君から私が取り上げました。われながらせこいことをしたと思っております。大人気ないよなぁ。まだ子供だったからねぇ。
というわけで、その件については実を言うと触れて欲しくなかったのでした。いや、お恥ずかしい。
投稿: PICKS CLICKS | 2008年6月27日 (金) 23時30分