終戦直後の日本に悩む
実はこの話は3年前にも書いた。でも思い出したのでまた書いてみる。
この写真は終戦直後の日本で撮られたものだ。昭和20年9月2日とクレジットされている。
John Swopeはハリウッドの写真家だったが、何を思ったか終戦直後の日本へ飛んで日本人の生活を撮り捲る。
この帰還兵はこの日たまたま抑留先から帰国した人で、名前も年齢もクレジットしてあったのだが忘れてしまった。
あ、その前に話を戻して、このSwopeの写真展があるということをどこかで発見して、私は清里の美術館までそれを見に行ったのだった、という話をしなくてはいけない。2005年の話だ。中央線からJRを乗り継いで清里(だったと思うんだが)へ行き、レンタカーを借りて美術館へ向かった。このとき初めてカーナビというものを体験して、実際これなかったら美術館には到達できなかったと思う。
だからクレジットがどうとかいうのは、そのときの美術館に書いてあったりしてあったことだったのだ。
その美術館というのはここだ。そうか、清里フォトアートミュージアムというのだったか。
http://www.kmopa.com/japanDefeat/japanDefeat.htm
実を言うと、たまたまこのサイトを再発見したのが今回の投稿のきっかけだ。
この美術館では他にもこんな写真が置いてあって、心打たれるものがある。このご婦人は息子の戦死広報を受け取っているにもかかわらず毎日こうやって帰還兵の出迎えに出ているのだ。息子の消息を知るものがいないかというビラを持っているのだったと思う。ちなみにこれはSwopeではなく、三木淳という人の写真。
話をまた先の帰還兵に戻すと、Swopeはこの帰還兵の上陸(当時のことだから、当然船で帰ってくるわけだ)から帰宅までを写真で追うのだ。
途中、この帰還兵は道端で党員募集していた共産党に入党する。彼はシベリア抑留だったのだろうか? おそらく共産主義がどうこうというよりもそれまでの日本の体制に対して絶望したのではないだろうか。
帰宅した彼を、妻が迎える。彼も妻もおそらく20代だろう。当時の日本女性は今ほど綺麗ではなかったのだが、帰ってきた彼を甲斐甲斐しくもてなす妻と、そんな妻をにこやかに眺める彼の姿にはこれまた心打たれるのであった。
で、この清里フォトミュージアムではこの写真展の図録を3150円で販売していて、一方、amazonではSwopeの写真集「Letters from Japan」が5000円くらいで売られている。しかも両方とももう私のカートに入っていて、私としてはどちらを買うか、あるいはどちらも買ってしまうか、というところで悩んでいるわけだ。
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