« ワシントンで悩む(2/5) | トップページ | ワシントンで悩む(4/5) »

2008年9月10日 (水)

ワシントンで悩む(3/5)

Date :  9:49am 10/24/98

 そういえば、彼女の持っているCDの中には小野リサの最新作があって、これにはついこの間私がTVで見た「小舟」と「ソーホーのサンバ」が収録されている。他にも私が昔練習曲としてやっていた曲なんかがあったりして、「も~、ここにギターがあったら歌っちゃうよ!」と言ってしまいましたとさ。いやー、しかしこのCDの品揃えは、私を罠にかけようとしているとしか思えないな。

 子供の話なんかをしていて、「じゃぁ、お子さんにはいいお父さんですね?」とか言われて「ええ、好いてくれているようですよ。」「ウチのお父さんなんか社長だなんていばっちゃってて。」「え、社長さんなんですか?」「ええ、小さな会社なんですけど。」中部地方のある町で地元の名産品を作ってキオスクなんかに卸しているらしい。やっぱり家が裕福でないとこういうお気楽な生活(に見えるんだけど)はできないだろう。

 フランシスが一段落着いたので、「寝ます。通路に出たかったら起こしてください。」と言ってはみるものの、たぶん寝ている私を起こしたりはしないだろうという観測。今回初めて試す首枕(空気で膨らまして首にかける、U字型の枕)を準備していると、「あ~、それね~。私も買おうかと思ったんですよ。」と、しかし貸してあげない。

 目を覚ますと、映画が始まっていた。「シティ・オブ・エンジェル」だ。ニコラス・ケイジがあんまり好きではないのでみる気はしないのだが、娘が友達と見に行ったとかで、海岸に天使達が並ぶシーンが綺麗だったということなので、そこを見てみようかと途中からヘッドフォンをかけて見ることにする。ちょうどセスが人間になろうとするあたり。もう終わりに近かったらしく、おやおやおや、と思っているうちに終わってしまう。最後の方で「天使の並ぶ海岸」も見れたことだし、まぁいいか。

 彼女は私の横で枕を抱いて眠っている。これって不思議なもので、見ず知らずの男女が席を並べて寝てしまうなんてこんなことがあっていいのか!? いいのだ。

 映画が終わって、見ていた人たちがごそごそと動き出す気配で彼女も目を覚ます。「どうでした?首枕。」と聞かれて「う~ん、汗っぽい。」では答えになっていないが、本当にそうなんだもんな。寝汗が首のあたりにたまったようになって汗っぽい。首枕の効果というのは特に感じなかった。もっと首を下の方から支えて欲しいのだが、それでは圧迫感が強すぎるのだろうか?

「空気が乾いていませんか?」と聞かれるが、まぁこんなものだろうと思っているので、「いや別に?」と答える。「私、目が乾くんですよ。」「そういえば目がくしゃくしゃするかな?」「このクリーム付けてみませんか、目がしっとりするんですよ。」とシャネルのマークのついたクリーム入れを出してくる。私の目のくしゃくしゃは睡眠不足じゃないかと思うんだが、何としても付けさせたいみたいだ。「どうすんの?」「こうやって指に付けて目のまわりに。」と自分でやってみせるので私もやってみる。「下の方にたくさん」と言われても、そんなに使っちゃ悪いみたいだし。「ね、しっとりするでしょ?」と言われてもなぁ。「うん、そうかも。」それより鼻が詰まるのをなんとかして欲しいぞ。 その後はなんだかとりとめのない話をして、B型だからどうだとか言っていたのだが、どういう文脈だったかは忘れた。

 そういえばインターネットの話なんかしていて、これはwaniで聞いた話だったか、自分が最近見たビデオとその評価を入力すると、その人に対するお薦めのビデオを提示してくれるというWEBの話をして、そういうところでCDを探したらいいのだ、と言ってみたのだが、インターネット環境はないという。彼氏が学校で使っているということだったが、やはり一般の人には遠いものなのだろうか。それよりもその「お薦めCD」の話に対して「あ、それやりたい、お薦めのCDを選んであげるの。」というのだが、これってどういうことだろうか? 自分の趣味を棚に上げて相手の立場で考えるということをやらなくちゃいけなくて、これは結構大変な仕事だと思うんだけどなぁ。とは言わなかったんだけど。

 そういえば寝起きだから必要かもしれないと思ってトイレを勧めると行くというので道を譲る。彼女が居ないうちに、彼女向けのお薦めCDリストを作ってみる。たしかこんなだったと思う。

Chick Corea:
    Now He Sings, Now He Sobs
    Return to Forever
    Light as a Feather
    Tones for Jone's Bones

Miles Davis:
    Four and More
    My Funny Vallentain

Keith Jarrett:
    Gary Burton with Kieth Jarrett

Miroslav Vitous:
    Infinite Search

Stan Getz:
    Sweet Rain

 ヴィトウスなんてのはちょっと無茶かもしれないけれども、私も好きなんだからいいじゃーん。私の大好きなウエス・モンゴメリが一枚も入っていないが、まぁ、仕方ないかな。このリストには実は漏れがあって、あとでわざわざ紙を出してもらって追加したのが、

Bill Evans (with Jaremy Steig):
   What's New

ついでにマイルスにも追加する。 Bitches Blew

 こういうのを渡したのだが、まぁ、ジャケットを見たところで何かを感じれば聴いてみてくれるだろうし、そうでなければそれまでだ。

 そうこうしているうちに2本目の映画が始まった。エディ・マーフィーの「ドクター・ドリトル」だ。ヘッドフォンをかけてぼんやり見ていたのだが、あんまり面白くなかった。彼女も同じように見ていたのだが、映画が終わってからもお互いこの映画の話はまったくしなかった。

 日本目の映画が終わって軽食が出ると、もう着陸も近い。二人とも、もう振り返りモードになって「なんだか早かったですねぇ」「おかげで楽しかったですよう。」とか言いあったりしている。彼女が言うには綿胃からなんだかオーラが出ていてそれがどうだとかこうだとか言うのだが、どうも私にはぴんと来ないんで何ともありがたみがない。そういえばこの人は話し始めたころに「音楽ってあったかいじゃないですかぁ。」というふうなことを言っていたのだった。そういう感覚というのは私にはないので敬意を払いつつもなんとなく「ほんとかよ~」という感情をぬぐいきれない。

 彼女がつくづく言うには、「後ろの方の席で、いつもなら我慢するんだけれども今日はなんだか本当にいやだったので思い切ってスチュワーデスさんに頼んでみたらそのおかげでこんなに楽しかった。やっぱりなにかこういう流れって有るんですね。」と。

 飛行機が着陸に向けて高度を下げ始めると、気配を察したのか、客席の赤ん坊が泣き出したりする。この便には子供が何人か乗っていて、結構泣いたり走り回ったり売るs飼ったのだが、一人なら気になっただろうそういう騒ぎも彼女のおかげでぜんぜん気にならなかった。笑って許せた。これはやっぱりいいことなんだろう。

 だいぶ高度が下がってきたときに彼女が言うには「気持ちが悪い。着陸の時にはいつも気持ちが悪くなる。」と。「さっき赤ん坊が泣き出したころから気持ち悪くなって、ずっと気持ち悪い。」というので、「赤ん坊が泣いたのは気圧の上昇で耳が痛くなったんじゃないかな?」というと「そうです。私、耳だけじゃなくて身体中で気圧を感じるんです。それで気持ち悪くなっちゃうんですよ。」う~ん、それは過敏と言うか、ちょっと気にしすぎじゃないのかなぁ? 

 しかし、あのCDの選択はなかなかのものだから、全部が全部お嬢様の気まぐれともかぎらない。何とも不思議な人ではある。

 もうすぐ着陸というときになって彼女が私の名前を聞いてきた。私としてはそういうことはしたくなかったんだけれども、ひょっとしたら礼儀かもしれないと思って名刺を渡した。彼女の方は名前を教えてくれて、でも聞いただけだから名字はともかく、名前の方はどういう漢字を書くのかわからない。なにかに書いてくれようとしたんだけれども、女性はそういう情報をあんまり出さないほうがいいともうよ、と言って断った。こう言うときには電話番号を聞いたりするのが礼儀なんだろうか? しかし、電話番号聞いてもなぁ。

 着陸して降りる段になって、私が席を立っても彼女は席に残っている。大きなバッグが後ろの方に残っているのだ。後ろのほうからは客が続々とこちらへ向かってくるからその流れが納まらないことには荷物を取りに行けない。シカゴは摂氏6度で、これは寒い。ジャケットも後ろにおいてきたというので私は別れを告げて先に降りる。さようなら、楽しかったよ。

 イミグレーションを通って荷物を待っていると、いつのまにか彼女が後ろに来ていて、「ゴミが付いてますよ。」と上着の後ろを払ってくれる。私は同僚の荷物が出てきたので(実は同行者がいたのですね~、ちょっと離れた席に)今度こそ別れを告げて乗り継ぎのほうへ進んで行く。

|

« ワシントンで悩む(2/5) | トップページ | ワシントンで悩む(4/5) »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214007/42436300

この記事へのトラックバック一覧です: ワシントンで悩む(3/5):

« ワシントンで悩む(2/5) | トップページ | ワシントンで悩む(4/5) »