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2008年9月 3日 (水)

オレゴンで悩む(5/10)

Bytes: 1137 Date :  7:07pm  3/21/98

 実は今日、仕事が早く終わったので、カナダ国籍の中国人Sさん(彼はレンタカーを借りている)とドライブに行きました。目的地は州を越えて100マイルほど離れたところにある活火山です。オレゴンの田舎方面へ走り、さらに州を越えてワシントン州に入って山の方向へ向かったのです。

 まぁ、道の感じはインターステートを走っているうちは東名の御殿場あたりの感じなのですが、いったんハイウエイを離れると、なんともいえない田舎臭さが漂います。道の感じは千葉の田舎の方みたいなものですが、道端には森や林、牧場、更地などがあって、日本のように家やファミレスやパチンコ屋、モーテルなどが林立してるということがありません。

 さらに進んでいくと、前後の車もいなくなり、本当に山中の道になります。湖が見えてきます。津久井湖くらいの大きさでしょうか(地図の縮尺がよくわかっていない)、きっれいな湖なんだけれども、観光の匂いがまったくない。観光資源として使おうというつもりは全くないようで、その湖はたんに無駄に存在しているだけなのです。何というぜいたく! 私は思わず「無駄な湖だ」とつぶやき、Sさんに英語で何と伝えたものかと考えたあげくにあきらめました。きっとこの辺の連中には、こんな湖なんてありふれたもので、わざわざ見に行くほどの価値はないのでしょう。

 湖を見下ろす駐車場(というか、山道のカーブによくある避難帯みたいなもの)で休憩した後走り出してすぐに、雪を頂いた山が間近に見えました。ビューティフ~ル。すばらしい。富士山が丸くなったような山で、富士山が雪で太ったような感じです。でも間近で見るとこれはすばらしい見ものです。

 そのまま道を進んで行くと、道が下りになってきました。そこで少し引き返して上へ続く舗装されていないわき道へ入り、さらに登ります。彼がドライブポジションのままで登ろうとするので、「シフトダウンした方がいいんじゃない?」というと「おおそうか、これはそういうときに使うのか。オートマチックだからなにもしなくていいのかと思っていた。」ということでした。

 舗装されていないわき道が何のためにあるのかというと、そこにも「売り地」があるんです。どういう値段なのかはわかりませんが、坪500円とかそんな値段なんでしょうか。くねくねと続く細い道を登っていくうちに「このまま行くとUターンできないんじゃないかな」ということになって、見晴らしの良いところで止まり、景色を見物していると水の流れる音がします。細い道をちょっと下って歩くとせせらぎが見えます。そこへ向かっていくと草むらになにか動く物が・・・「リスだろう」とSさん。「カナダにもたくさんいるよ」とのこと。

 下りではやはりエンジンブレーキをかけないので、「シフトダウンした方がいいよ」「あんまり変わらないみたいだけど」「3速じゃ変わらないよ、2速か1速じゃなきゃ」「おおほんとだ、運転が楽だ」とかいいながら、1速でアクセル踏み込んだりしている。まぁいいか。

 このSさんは、カナダ国籍の中国人だというから、てっきり香港からの移民だと思って「香港出身ですか?」と聞いてみたところ、「mainLand」だという。「大陸からの出国は難しいんじゃないのか?」と聞くと「私はラッキーだったのだ」と。

 彼は14年ほど前に中国(MainLand;大陸)から日本へ国費留学してきた人で、留学の前に中国国内で日本語の講習を半年(日本人の専門講師による)受け、さらに日本へ来てからも半年間日本語の勉強を続けたということだ。だから、日本語はわかるはずなのだが、ここ2年くらいは日本語を話していないということで、私も日本語で話すのは遠慮していた。なにより、私自身が日本語を話してしまうと英語の聞き取りが弱くなるのでそれを恐れてのことでもある。

 彼が最初に私に向けてしゃべった日本語は「孫の手」だった。ちょっとショッピングに行ったときに、アジア系の怪しいお土産やさんでまさに孫の手が置いてあって、それを見た彼が思わず「孫の手」と言ってしまったものだ。その直後に「こうやって時々日本語が出てくるんです」と日本語で言っていた。

 彼が東大で博士課程を修了して中国へ帰ると要職に就くはずだったのだが、なんでも政治的な体制が変わってしまっていたということで、行き先がなくなり、また日本へ戻ってきた。それから日本で何をしていたのかは聞かなかったけれども、とにかく日本には11年いたらしい。その後アメリカを経てカナダの市民権だか永住権だかを取って、今に至るというわけだ。

 帰る途中で暗くなってきたので、食事とか買い物をしようかということになり、ハイウエイをテキトーに降りてその辺のショッピングセンターへ入ることにする。地図があるし、私はナビゲータとしては優秀なので難なく到着する。そこでちょっとラジオシャックへ入ってCallingCardを買ったりしているうちに大きな本屋を見つけたので入ってみる。

 その広さをどう表現したらいいのかよくわからないが、学校の体育館くらいの広さの本屋だった。名前はBORDERSという。なんでわざわざこんなことを書くのかというとその本屋さんの中でなんとコンサートが開かれていたのだった。

 ステージとか劇場があるのではなくて、ホントに本屋さんの一角にマイクとアンプをおき、客席が30ほどあるだけのコンサートだったが、これがなかなかよかった。

 演奏しているのは3人で、女性のボーカルと二人の男性がエレアコのギターを弾くという構成。曲によっては女性もギターを弾く。ギターの男性のうち一人はソロ担当という感じで、歌のバックにオブリガートを付けたりしている。

 曲はまぁ、分類すればモダンフォークになるのだろうか。女性の声はジョーン・バエズ風で、ギターのバックはテンションを多用しているのであんまりフォークっぽく聞こえない、むしろニューエイジ・ミュージック風だ。演奏の音は押さえてあるので、店の真ん中までいくとライブをやっているなんてことはわからなくなるくらいだ。

 最初にやっていた曲が、テンションは多いもののコード進行自体は簡単なものだったので、たまたまオカリナを持っていた私は途中でギタリストに目くばせして、ワンコーラスだけソロを取らせてもらった。・・・のだったらかっこよかったのだが、あいにく今回のドライブにはオカリナを持ってきていなかったので(オレゴンには持ってきていたのだが)果たせなかった。まぁ、それくらい共鳴するものがあったということです。

 オレゴンというと、なぜだか私はラルフ・タウナーを思い出す。たった今思い出したのだが、そういえばタウナーは「オレゴン」というグループを率いていたことがあったのだった。ラルフ・タウナーはECMレーベルから何枚かLPを出しているギタリストで、12弦ギターなどを使ったニューエイジ風の音作りが得意だ。ジョージ・ウインストンのギター版と言えばわかる人にはわかるかもしれない。

 そのラルフ・タウナーのギターに歌をつけたようなバンドだったのだが、音響設備も良かったのか、押さえた中にも情感が漂っていてとても良い感じだった。不覚にも涙腺を刺激されてしまったことを告白しておこう。

 ソロをとるギタリストが抜けて、2人だけで演奏する曲もあったので、そのあいだギタリストはその辺を歩き回ったりしている。ちょっと話をして見ようとも思ったが演奏の邪魔になっても悪いかと思って(そのくらい音量は押さえてある)、話しかけなかったのだが、ラルフ・タウナーの「オレゴン」をその時に思い出していれば絶対にその話をしていたのに、惜しいことをした。やはりこういう遠くまで来ているときには「迷ったときにはあとさき考えずに、やるのだ!」ということをやらないとだめですね。

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