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2008年9月10日 (水)

ワシントンで悩む(5/5)

Date :  6:03pm 11/01/98

 最終日の金曜、夕方にちょっと自分で時間を作ってその辺を歩いてみた。地下鉄でダウンタウンに出てもよかったのだが、う~ん、そういえば航空宇宙博物館なんかにも行ってみたりとかタワーレコードなんかにも行ってみたかったのだが、その日のうちになんとかレポート書いて日本へFAXしたいと思っていたので、あんまり時間はなかったのだった。

 というわけで、近場の国立動物園に行ってみた。なんのことはない、ホテルからでるとすぐに「国立動物園→あっち」というふうなことを書いた看板があるのを前から知っていたので、そっちへ歩いていくだけだ。しかし、しばらく歩いてもなかなかそれらしいものがない。だいたい街並みとして、どうもそういう動物園があるという感じじゃないんだな。道行く人に「ドーブツエンワ、コノサキデスカ?」と聞こうかとも思ったが、あんまり人は歩いていないし、歩いている人も子供連れだったり、荷物を持って急いでいる人だったりするので、なんだか聞きにくい。

 しかし、道路に停めてあったトラックの影から急にアメリカの国旗が見えた。道の反対側を歩いていたので、近づくまで見えなかったのだ。

 動物園前の交差点を渡ると、いきなり入口だ。入場料は?と探してみるがそういう看板は無いし、だいたいゲートがない。入場無料なのだった。

 何気なくはいっていくと右手に獏のケージがあった、でも肝心の動物はいなくて、ふうん、獏って「Tapir」っていうんだ? 「園内案内図」みたいなのがあったので見てみると、これはずいぶん広いみたいだ。平日の夕方(3時過ぎ)というのに老若男女が思い思いの格好で歩いている。仕方がないので、とうか、もともと動物を見に来たわけじゃなくて、なにかいいお土産でもないかなと思っていたところなので、手近なお土産やさん(兼博物館?)のようなところへはいってみる。

 「本とお土産」みたいな看板のこの店には、アフリカ系の民芸品とか絵はがきとかCDとかCDROMとか、人形とか縫いぐるみとかあるのだが、その中にウチの真猿がいた。

真猿とその一族である。例のよくできたマペットの一群が陳列されている。オレゴンで見たのとは違って、種類が多い。ビーバーとかラッコとかがあって、このビーバーにココロ惹かれたが、33ドルとちょっと高かったので、その横にいたライオンを調べてみた。こちらは25ドルである(値段で選ぶなよ)。値段でこれに決めた。いやちょっと手持ち現金が微妙なところだったのでね。

 結局、その店から出てまた案内図を検討した結果、そのまま歩いて帰ることにした。帰り道、向こうから歩いてきたアラブ系の男性二人連れに「ドーブツエンハコノホウコウデスカ?」と聞かれたのでちょっとニヤリとして「Sure, You can find it on the other side of the Road.」と答えた。

Date :  6:03pm 11/01/98

 ワシントンDCからニューヨークへは1時間ちょっとの飛行だった。出発は9:00。ホテルからロナルド・レーガン空港まではタクシーで20分程度なのだが、何となく気がせいていた私は6:30にホテルをチェックアウトし、一人で空港へ向かった。同行のY氏はいろいろあってシカゴまわりで帰ることになっている。彼のほうが遅くにワシントンDCを出発し、早くに日本へ着く。なんやそれ?

 まだ夜が明けていない道をタクシーで走る。途中で何台かの超大型トレーラー・トラックとすれ違う。超大型トレーラーが道端に停車している状態からはし出すのを眺めていると、運転席を左右に振りながら走り出す様子がなにかイモ虫を思わせる。

 タクシーの運転手は黒人で、「どこの飛行機だい?」「AAです。」というくらいの会話くらいしかしなかった。ラジオも鳴っていない車内は、ときおりタクシー無線(?)が鳴るくらいで居心地が悪い。窓の外もくらいし、どこを走っているのかももわからないし不安満々である。

 それでも7時前に空港へ着く。ちゃんとAAのチェックインのところへ車を着けてくれて料金は16ドル。$20紙幣でお金を払って、4ドルのおつりをもらって2ドルをチップとしてあげる。領収書をもらうとちゃんと$18になっている。

 AAのチェックインカウンターに並ぶのだが、このカウンターはドメスティックである。つまり国内便なのだが、私も日本に帰るとはいえ、ニューヨークまでは国内便に乗るのだと思っているのでここに並ぶわけだが、なんだか不安である。順番が来てチケットを見せると案の定「あんたはインターナショナルだから、中へ入って(このカウンターは屋外である)左にある国際線のカウンターに並びなはれ。」といわれてしまう。このあたりのしくみというのかチケットの扱いがどうもまだよくわかっていない。オレゴンのポートランド空港でも「あんたは国際線だから」ということを言われていたし(ポートランドからは成田直通なので、これは私が馬鹿)。

 まぁ、そんなこともあろうかと時間に余裕を見てあるのでそれほど不安もないのだが、その航空輸送システムというものをちゃんと理解していないのはそのうちになんとかせねばなるまい。

 ロナルド・レーガン空港でスーツケースを預けて「成田行きですね?」と念を押されるのだが、それでいいのか? JFK空港で出国手続きするときにスーツケースの中を調べたりとかしないのかな? とまた余計な心配をしてしまう。まぁJFKでも時間は充分にあるのでなんとかならぁな、と腹をくくって待合室でウイリアム・ギブソンに没頭する。電源が確保できたらここでPCを取り出してパコパコしようと思っていたのだが、それはできないようだった。

 JFKまでの飛行機はSAAB340という、これまた聞いたことのない機体で、双発のプロペラ機である。プロペラ機? ワシントンDCからニューヨークへ行くのにプロペラ機か? それに双発? 座席を数えるとせいぜい50席である。そんなものなのかなぁ?

 SAABって事はスエーデン製なんだろうか。プロペラのブレードがなんともなまめかしい曲線を描いている。プロペラのわりにはエンジンが小さくて、エンジン後部に噴出口があるからターボ・プロップなのかもしれない。まぁジェットとプロペラのあいのこってとこでしょうか。プロペラが回り出すところを注目していたのだが、ゆっくりと回り始めてそのまま滑らかに回転を上げていくところを見ると、やはりターボ・プロップなのだろう。レシプロエンジンのように途中から急にトルクがかかっていくような様子は見られなかった。

 飛行中はどうということもなく、客も少ないので話をすることもなく、景色といっても事前の勉強不足でなんだかよくわからない。ワシントンDCとニューヨークの間に何があるのかなんて知らないよ。

 ニューヨークのJFK空港に着陸。1時間ちょっとの飛行だが、時差がまた1時間あるのでなんだかよくわからない。小さな機体なので、荷物を人力で運び出しているのだが、どうも私の荷物が運び出されている様子はない。別の便で運ばれているのかもしれないがやはり不安である。

 JFKは大きな空港で、到着したのはターミナル9だった。で、帰りに乗るJALのカウンターはどこにあるんだろう? いろいろ掲示物を見てターミナル間を走るバスのことはわかるのだが、JALがどのターミナルであるのかはわからない。まぁ時間はあるのだし、とにかくバスに乗ってみようかとバスに乗ると、中国人のようなご夫人と米国人のダンナと言う二人連れが運転手に「ジャパンがどうたら」という話をしている。この夫婦はそういえばワシントンからの飛行機で一緒だった。ようしこの人について行ってみよう。 するとこの夫婦は次のターミナルでバスを降りていく。運転手に「JALはここかな?」と聞くが「I have No Idea, Sir.」だと。まぁいいや、時間あるし降りてみるか。やはり時間的余裕があるというのは助かる。

 バスを降りてターミナルへはいってみると、広いロビーがあってJALのカウンターがある。しかし、だれもいない。となりのKALのカウンターにも誰も居ない。どうなってるんだこれ? 

 他のターミナルも当たってみるかなぁと、ぶらぶらと外にでると職員みたいな黒人のお姉さんがいたので「JALのチケット・カウンターはどこよ?」と聞くと「2階です。」「おーそうなのか。」ということでターミナルへ戻り、2階へエスカレータであがってみると確かにチェックインカウンターみたいなのが並んでいる。やれやれと、ここでチェックイン。心配だった荷物のことも確認したし、マイレージもここで処理できた。

 出国手続きになにか面倒なことはないのかと思ったが、それは杞憂だったようで、ふつうの金属探知機だけのようである。刃物とか怪しいものはいっさい持っていないし、骨盤にネジが4本はいってるので高感度な金属探知機だとぴーぴーいうのだが普通は全然問題なくこう言うところを通過できるはずだ。ところがバッグを見ていた女性職員がなにやら手招きする。聞いてみると、コンピュータをだして電源をONしろとか言うのだ。「バッテリーが死んでるんだよ。AC貸してくれれば動かしてみせるけど。」というと、ならいい、とか言って、なんだかガーゼに金色のシールをはったようなもので私のPCをなで回し、そのガーゼをなにかの機械に入れてチェックしている。あれは何だろう? 機械的に嗅覚でチェックしているのだろうか?それともあの機械の中に犬がはいっていて・・・?。

 JFK空港から自宅に電話する。なんとかホームダイヤルってやつなので、公衆電話にコインを入れずに、フックオフしていきなり1-800と押してみたらちゃんとつながる。

「口紅を買ってきて欲しいの。」「口紅?いいよ、どんな?」「赤いの。」 そりゃ赤いだろうよ。うちのニョーボは茶色とか緑の口紅をつけるほどイってない。「赤!?どんな赤?」「う~ん、明るい赤。」「OK、じゃぁ安いの見つけたら買っとくよ。」「ちがうの。」「ん?」「安いのが欲しいんじゃないの、イイのが欲しいの。」「なななななあるほど。じゃぁどういうのがいいの?」「ニナリッチのがあったら買ってきて。」「はい了解。」

 空港のデューティ・フリー・ショップでニナリッチを探すが、バッグはあっても口紅はない。「あったら買ってきて」ということだからといって、無ければ買わなくてよいかというとそういうわけでもないので、その辺の口紅を見てみる。

 YSLの口紅にいい色(とは言っても、ニョーボの顔を思い浮かべて口紅に色を塗るという「バーチャル塗り絵」は難しい)があったので、買おうと思ったがよくわからない。同じ色でも0.1オンスと0.12オンスとがあって同じ値段だ($18)。でもなんで0.12オンスのほうがパッケージが小さいんだ? 詰め替えか?

 まわりを見渡したが、その辺に店員がいなかったのでそこを離れ、ディオールの口紅が並んでいるところで同じような色を探す。さっきと同じ色番号で012というのがあったので手にとったタイミングで・・・。

「いい色ですよそれ。」 と店員というのか、あんた店員じゃなくてディオールの人だろ?さっきまで私のまわりには誰もいなかったのに、急に現れるんだもんなぁ。流ちょうな日本語を話しているが日本人ではないようだ。アジアのどこかの人なんだろうけれども、全然わからない。

「赤を買ってこいと言われてるんでね。」「これは赤じゃありません。ピンクです。」 !?私にはどう見ても赤に見える。「赤はこれです。」 と言って013の口紅を見せてくれる。そういえば012は013よりは白っぽい。ピンクと言えばピンクではある。しかし、何となく気に入らなかったので、反対側のとなりにある011というのを取り出してみる。「それはオレンジがはいっていますね。」 と、彼女が自分の手の甲に013と011を並べて塗りつけ、「ほおら、全然違う!」 そうかぁ? ほとんど変わらないように見えるけどなぁ。

「ん~と、じゃぁこれ下さい。」と最初に選んだピンクのを指し示すと、驚いたように「一本だけですか!?」 そーだよ? 複数買うなんてことは初めから全然考えていない。でもまぁこれがピンクだということなら、オーダーされている「赤」も買って帰ろうかな。「じゃぁこれも(と011を指して)。」「会社の女性に買って帰ると喜ばれますよ~。」 そんなこと言い出したらきりがないじゃないか。そういえば初めての海外旅行ではこんなふうにして20本くらい口紅を買って(買わされて?)帰ったのだった。アホである。

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受信: 2008年9月24日 (水) 09時55分

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