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2008年9月 3日 (水)

オレゴンで悩む(9/10)

Date :  6:24pm  4/05/98

 ポートランド空港とホテルとの行き来にはシャトルバスを使う。シャトルというから無料かと思っていたのだがそれは間違いで、言ってみれば「乗り合いタクシー」のようなものであることが先月の出張でわかっている。車はたいていミニバンだ。

 空港からホテルへ行くにはそういうシャトル乗り場でシャトルを捕まえる。シャトルの運転手は客が何人か集まったら出発する。今回、空港からホテルへのシャトルはエチオピアから来たと言う運転手の運転するフォードかなにかのミニバンだった。20分ほど乗って$25ほど。客は5人ほどだったからいい稼ぎになっているんだろう。

 帰りの、ホテルから空港までのシャトルは前日にホテルのフロントに電話して予約してもらったのだが、当日の時間にはミニバンではなくてリンカーンが来た。しかも客は私一人だ。リンカーンの後部座席にえらそうに座って、運転手と話をしながらの道中である。

 運転手と、私がどこから来てどこへ行くのだという話をしていると、どこで英語を勉強したのだと聞かれた。そういえばその質問はよく受ける。私は受験勉強以外には英語を特に勉強したことはないし、英会話学校も行かなかった。当然海外で生活したこともない。仕方がないので「学校で習った。ほとんどの日本人は学校で英語を6年習うのだ。でもしゃべれる人は少ないけどね。私は単にBrave Speakerなのだ。」なんてことを話すと、私の英語は非常に(若干脚色あり)うまいという。

 ほかにも私の英語を「エクセレントだ」と言ってくれる人がいて、ほんとかいな、と私は今でも懐疑的なのだが、私がしゃべるのと同じくらい聞き取れるわけではないことに彼らは気付いていないようだ。「えーか、俺がちょっと英語を喋れると思って、おんなじくらい聞き取れると思うなよ~!」というタンカを切りたいところなのだが、そういうニュアンスまではまだ使えない。

 彼は5年前にロシアから来たのだという。最初は英語が全然話せなくて、ずいぶん苦労したらしい。スペイン語を話す連中と一緒にいたらしくて、スペイン語はすぐに話せるようになったということだった。彼に言わせると「スペイン語は簡単だが英語は難しい」ということらしい。

 一念発起して英語学校に通い、タクシーの運転手などの仕事をして現在に至るということだったが、英語の喋れない間ははっきり言ってまともな職には就けなかったらしい。米国へ来て10か月くらいで家族(奥さんと子供)を呼び寄せたらしいが今では暮らしも安定して、「Oregonはいいところだ、これで天気がよけりゃなぁ」とか言っている。実際その通りで、私もそうできたらいいなとかちょっと思ったりもしている。

 最近、PCを買ったとかでインターネット接続も難しかったがナントカできた、と。「インターネットはすごいよ、ロシア語の新聞が読めるとは思わなかったぜ。それに世界中が見える。日本も、ロシアも、俺の住んでた街の俺の住んでたストリートまで見ることができるんだ。ロシアははるかに遅れているよ(Russia is behind too far.)。」

 日本の話になって、ロシアではなんでも日本製品が一番だという。「服も車もオーディオもだ。全部だ。日本人はスマートだよ。」「おおそうだ、この間日本食レストランへ行ったよ。テリヤキというのは旨いね。安いし。俺はすっかり日本食が気に入ったよ。」とかいうので「スシは食ったか?」と聞いてみたが知らないという。「スシは日本食のキングである。スシを食わないと日本食を知ったことにはならない」「おおそうか、そのスシというのはどういうものだ?」「魚をナマで食うんだ」「ええっ!、ほんとかよ~」「そうだよ、トライしてみなさい。日本食レストランだったらどこでもあるはずだから。」
「よ~し、食ってみよう、ちょっとこの紙に書いてくれ」というので「Eat Sushi!(Raw Fish)」と英語で書いて、横に日本語で「寿司食いねぇ!」と書いてやった。

 そのあと子供の話になって、毎度のことながら「子供はいるのか?」「何人だ?」「何歳だ?」「じゃぁ、いったいお前は何歳なんだ?」ということで私の年齢を教えてやると外国人の例に漏れずのけぞって驚くので(私はたいてい10歳以上若く見られる)「これが日本食の結果である」と言っていばってやるわけだ。

 英会話に関して私はほとんど教育を受けていないのだが、数年前(当時、渡米経験なし)にTOEICを受けてみたら700点という点数をもらった。せいぜい300点も取れればいいやと思っていたのでこれには驚いたが、受け直してみてもやはり同じような点数だったので、そういうものなのだろうと思うことにした。

 もともと高校での英語の成績は悪かったのだ。面白くなかったし。一度などは高校の英語の授業で「ジョーク集」というのがあって、オチのところで大受けしてしまって予習していないのがばれたという苦い経験もある。ちゃんと予習している皆さんは初めからオチが分かっているので冷静に授業を受けているのだが、オチで受けたのは私ともう一人S君の二人だけだったので大変に恥ずかしかった。

 ところが予備校で成績が急激に伸びた。これは先生がよかったのだと思うが、そのかわり勉強も毎日4時間したからな。特に英作文が楽しかった。日本語の文をまず日本語のままで言い換えを行い、その結果をいろんな(習ったばかりの)言い方で構成して先生に添削してもらうのが大変に楽しくて成績はぐんぐん伸びた。「このままで大学へ行っても英語で苦労することはまずないだろう」と言われたのだが、本当にその通りで、大学では英語の勉強はいっさい必要なかった。ここだけの話だが、自分の分だけでなく友人の単位を取る手伝いもしてやったことがあった。

 でも、英会話はできなかったのだ。

 思うに、日本の英語教育というのは厳密に過ぎるように思う。文法はたしかに必要なのだが、実際に話されている英語はそんなに厳密なものではない。日本語は厳密な言語で、たとえば「ワタシ、タベル、ナイヨ」みたいなものはあくまでもカタコトとされるが、英語ではそういうものでも立派に喋っていることになってしまうようなのだ。こと英会話に関していえば、日本の英語教育は英会話コンプレックスをも育てしまっているように思う。

 そんな私が英会話できるようになったのは、数年前のある経験だった。上司とともに米国人エンジニアとの会議に出席していたとき、上司が「あ~、あい・りこめんど・ざっと・・・」というふうな感じで喋り出したのだ。「あ、これでいいのか。これでも通じるんだ。」と思ったとたんに私も喋れるようになっていた。もちろん下手くそだし、自分でもおおいにそれを恥じてはいるのだが、とにかく相手に通じさせようという「気持ち」が先行すればなんとか通じさせることはできる。特に技術的な仕事の話などで先方としても私の話を聞かざるを得ないときには、ちょっと待ってもらってでも、絵や図や筆談の形になってもとにかく通じさせることはできるのだという自信をつけた。

 しかしそんな私が日常的に英語を喋るようになったのはこの1月からである。1月から職種が変わって、米国人エンジニアと1週間単位でつきあわなくてはならなくなってから会話能力としては急激に力をつけたと思う。

 それと同時に勉強もした。年末に買った「パラフレーズで英会話を伸ばす」みたいなちょっと恥ずかしい表紙の本と「動詞を主体にした英文法」だったかな?実はこれらの本は子供のために買ったのだが、読んでみると非常にわかりやすくてしかも私の知らないことがよく整理されて書いてあったので、「まずお父さんが読んでからね」ということにさせてもらったのだった。ともに「アルク出版」の本である。

 私は「WOULD」が苦手だった。中学校の時、仮定法の授業がある日に休んでしまったことをなぜか明確に覚えているのだが、そのせいでずっと「仮定法」「WOULD」には苦手意識があってずっとうまく使えなかったのだ。ところが前述の「動詞主体の・・」のなかでWOULDが実に(私にとって)わかりやすく書かれていて、これには感激した。早速いろいろ使わせていただいている。でも「SHALL WE...」というのは使えないなぁ。

>ヒアリング能力って正確に聞く能力じゃなくて
>「こういうシチュエーションの場合はこういうことを喋る可能性がある」
>という経験だと思うわけで、私の場合「TOEICの試験ではこういう内容が

 これは確かにそうですね。私は大阪から上京して東京の店でものを買うのに「これ、なんぼですか?」と聞いたのでは相手が理解してくれないという経験からそれを理解しました。店員さんは「これ、いくらですか?」という標準語イントネーションを期待しているので、大阪弁で「なんぼですのん?」と聞いたのでは「はぁ?」ということになってしまうわけです。

 でも私の英語はめちゃくちゃです。親しい米国人との会話では、言いたいことが英語にできなくて(つまり今でも日本語で考えているので)ぐわ~とかいいながら頭をかきむしってしゃがみこむ、ということを何度もやりました。

 例えば店で買い物しようとしているときに、「Can I help you ?」と言われて「Yes, You can help me.」というのは間抜けであるというのはわかっていても、そういうときのプロトコルを知らないものだから、実はやってしまったことがある。こういうのって、日本で例えば「おはよう!」と言われて「いえ、あなたの方が早いじゃないですか」というくらいに変なことなのだろう。こういう慣用句というのか、儀礼的なフレーズというのはやはり覚えるしかないのか。

 一方、「Have a nice day !」とか「Have a good afternoon !」というふうなことを彼らはどうやら本気で言っているらしい。そう思うとこちらも「Thank you !」というのを本気で言えるというものだ。

 そういえば、1992年にラスベガスへ行ったとき、Y氏というエンジニアと一緒に行動していた。このときは彼が上手に英語を喋ってくれるので私は彼の陰に隠れてサボっていたのだが、たまに私が何かしゃべっても、あんまり通じていなかったようだった。特に私がフラストレーションを感じていたのは、なにかで「Thank you!」と言われたときに「You're welcome!」ととっさに返せないことだった。

 今から考えるとつまらないことだったのだが、私はおおいに悩んでY氏や当時ASCIIに居て、今では転職してDOS/V-Magazineの編集部にいるI氏に「私が油断しているときにthank you!と突っ込んでくれ!」と頼んだものだった。つまり反射的に「You're welcome!」が出るようにしようと思ったのだった。

 でもなかなか反射的にはできなくて、これはよく考えてみると私はY氏ほどに人から「Thank you!」と言われるようなことをしていなかったのだった。「Thank you!」と言われるためにはそれ相応のことをしなければならないのだったのであった。

 なるほど、と私は反省し、当時の某netの私のprofileを書き換え、私の名前を「楊永寛(よう・えいかん;You're Welcome)」としたのであった。

 しかし、よくわからないのだが、向こうで道を歩いていて人と出会うと、初対面であるにも関わらず「ハイ!」とか言ってくれたり、にっこり笑ってくれたりする。これには実際どうしたらいいのかわからなくて、とりあえずマネはしてみたもののなんだかよくわからなかったのだった。

そういえば初めてアメリカへ行ったときにもこれにはショックを受けて、せいぜい真似してみようと、ホテルの中で出会った人(女性だった)に「Hi! Good morning !」と声をかけてみたら、「おはようございます」と日本語で返されたことがあった。滞在中の日本人客だったのだ。

 フランクってことなんだろうけれども、どうしたらよかったのだろう? 日本人が意味もなく笑うというのはよくいわれることだが、米国人の方がよっぽど謎じゃないのか。

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コメント

実は私もYou're welcome.がなかなかすんなり出ずに、Thank you.とこっちから言って変な顔されたり、Not at all.といってみたりするのです。私もちゃんと会話を勉強して勉強しておらず、受験英語とミステリーできたから、ちょっと古めかしい表現で(Thanks to 受験英語!)難しい単語が飛び出し(Thanks to ミステリー!)、言葉が思い浮かばないと苦し紛れに適当な言葉を強引に使ったりするので、面白い英語をしゃべるやつだということになっていました。

投稿: JazMys | 2008年9月 5日 (金) 23時06分

会話は訓練が必要ですね。私はいまだにHow are you とか How do you do とかいうごく普通の会話がすらっとでてきません。Thank youはもう大安売りですけどね。

日本語だと「ありがとうございます」「いいえ、とんでもございません」というのはまぁ普通ですが、Thank youに対して「not at all」と言ってしまうと、相手はどう受け取るのでしょうね?「Don't Mind」とかやはり「You're Welcome」と返したいところです。

私も海外に住んだことがないので、言わばやっつけの英語なものですから、語彙の偏りはひどいモノがあります。「dubious(怪しい)」なんて言葉を使って、「なんでそんな言葉を知ってるんだ?」と問い返されたこともありました。

投稿: Picks Clicks | 2008年9月 6日 (土) 00時25分

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