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2008年9月13日 (土)

新趣向のミステリで悩む

ここ半年ほど、ほとんど本を読まなかった。これはやはりちょっとおかしなことだ。余裕がなかったというのかなぁ? ギターをさわらない日はほとんどなかったので、余裕がなかったわけではないと思うのだが。

で、ちょっと環境が変わったので古い本なんだけど気になったので読んでみようと思ったのだ。

Sightunseen_2  「音の手がかり(Sight Unseen by David lorne)」という誘拐ものなんだけど、その事件を解決する主人公が盲目の音響技師なのだ。彼は映画の世界で音響効果を担当していたのだけれども、事故で失明するのだ。音響効果というのは当初私が想像していたよりも深いものらしいということが読んでいくうちに分ってくる。

誘拐犯人からかかってきた電話の録音を解析して、そのバックグラウンド・ノイズから犯人の居場所を特定していくプロセスはとても興味深い。日本でも時々TVにでてくる「音響技術研究所」とやらのカツラのおじさんよりも技術力があるようだ。

盲人の世界という点でも興味深いのだが、本というものは基本的にビジュアルがないので読者がビジュアルを補完しながら読むわけで、そういう点でもこの本の記述には没入しやすい。このシリーズの他の本も読んでみようと思う。

しかし、この翻訳には問題が多い。特に銃器関係とか理科系の記述にいろいろ問題がある。だいたい「散弾銃」を「霰弾銃」と書いている時点で、あれれと思ったのだが、例えば「ライフルの50ミリの銃弾」とか、「0.762ミリの弾倉」とかインチからミリに変換するときに桁を間違えているのだ。今読んでいる別の本「音に向かって撃て」では「18カラットの金メッキを施した拳銃」なんてのがでてくる。

なんか単位系に関わる無関心というのか数字を見ると盲目になってしまうのか、きっと文系の人なんだろうなと思って調べてみたら、訳者は平田敬という1931年生まれの人だ。慶応を出てTBSに勤めていたらしいが、その後ハワイに移り住んだらしい。直木賞候補にもなったことがある人らしいが、この本を訳したころには60代半ばで、ちょっとしんどかったのかもしれないな。

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コメント

それはねSight Unseenを原書で読むといいのです。私は2005年10月に読んでいて5★でした。

投稿: JazMys | 2008年9月14日 (日) 22時35分

前に読んだことがあります。難しい記述はスルーしてストーリーを追って読みました。それでもおもしろかった記憶があります。知識があれば、突っ込みどころ満載だったのですね。(笑)

投稿: ひめちゅ | 2008年9月15日 (月) 11時45分

う、そりゃそうですよね。>原書で読め

このDavid Lorneというひとはこのシリーズ以降どうなったんでしょうか?

>知識があれば、突っ込みどころ満載だったのですね(笑)

この小説を読みながら、GoogleMapでシカゴの市街を見ながらトレースして見ました。メイグスフィールドというのはもう飛行場じゃないのかぁ、とか、ああ、あれはプラネタリウムだったのかぁ、とかいろいろ発見がありました。

StreetViewを使いながら見ると、現地の模様もわかるのかもしれません。


投稿: PICKS CLICKS | 2008年9月15日 (月) 19時05分

面白そうな本ですね。シカゴは何度か仕事で訪れたので興味があります。私も原書で読みたい本が結構あるんですが、最近は図書館ばかりで原書は置いてないので縁がありません。

>「音響技術研究所」とやらのカツラのおじさん
あの方の頭、すごく不自然なのに気にならないんですかね。

投稿: taki | 2008年9月17日 (水) 18時16分

突然で失礼します。
私も楽器をやっていて、興味があって読んでみました。

アメリカで頻繁に起こっている「誘拐事件」と「FBI警察の誤捜査」のことなどが、ストーリーに現実味を
帯びさせ、たった2日間の展開に、手を汗握るほどで
した。 

読み終えてみたその晩、夢をみたんですが、その中の
シーンは、この小説から明らかに影響を受けた光景で
したよ!

投稿: CS | 2009年7月11日 (土) 21時56分

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