日本人好みのコード進行で悩む
「音極道」さんとおっしゃる方が、JPOPを分析して日本で好まれるコード進行を発見/指摘して「王道進行」と名づけている。その証拠として過去30年のJPOPの名曲を挙げ、また傍証としていわゆるユーロビートがこれまたこの王道進行を多用しており、ユーロビート自体は一時的な流行だったが日本のみ今も聞き続けられるとしている。
私はいわゆる洋楽中心に遊んできたので、JPOPは聞きこそするものの音源を所有したことがほとんどない。でもなんとなく洋楽とJPOPはちがうなぁとは感じていて、歌謡曲の特徴かと思っていたりしていたのだが、この指摘はなるほどと思った。
さらに音極道さんはこの王道進行が業界ですでに知られており、最近は特にこれの濫用が見られることに危惧を抱いておられる。それも、なるほどという感じだ。
ではその王道進行とはどういうものかというと、詳しくは音極道さんのBLOGを見ていただくとして「FM7-G7-Em-Am」というものだ。軽く弾いてみるとこんな感じ(二回繰り返している)。
音極道さんも指摘しているようにFM7をDm9で置き換え、さらにAmをA7にするとこれは4度進行を上向させての繰り返しで、「Dm9-G7-Em7(9)-A7」となる。普通の4度進行なら「Dm7-G7-CM7-FM7」というふうに下降して行くのだが(4度進行を二回繰り返すと全音下がる)、などとなるのだが、4度進行を二回繰り返して全音下がる代わりに上へ行ってしまうわけですね。
で、この変形王道進行を二回繰り返すと「Dm9-G7-[Em7(9)-A7-Dm9-G7]-Em7(9)-A7」真ん中の4つのコードは普通に4度進行の繰り返しで全音下がっていて、これは全く何の違和感もない。さらにはG7-Em7というのも関係調というかG6とEm7が等価だから繰り返していって何の違和感もない。変形王道進行はやはり「変形」でしかないのかも。
これなら洋楽でもそれほど多くはないが例がある。サテンドールの頭の部分がいきなりこれだし、ジャズ・サンバ(ソ・ダンソ・サンバ)のサビもそうだなぁ。私の思いつくのはこれくらいだ。確かにそんなに多くはないと思う。
で、こういうことを知って、しめしめどこかで使ってやろうとは思うのだが、このまま使っても面白くないので、ひとひねりすることを考える。
(変形)王道進行では4度進行を全音上げて繰り返しているのだが、これをスケールにバインドされたものとして考えると、つまり2-5-3-6なのだが、これをスケール上で2度上げて3-6-4-7(b)「Em7-A7-FM7-BbM7」とかもっとあげて7-3-8-4「Bm7b5-E7-CM7-FM7」にしてみると、4度進行を半音上げて繰り返すことになる。なんかスケールを無視したり意識したりめちゃくちゃですが。
「Em7-A7-FM7-BbM7」
「Bm7b5-E7-CM7-FM7」
m7がb5になるだけの話だから、二つ並べても大して変わらない。まぁ、こんなのもアリかな? でも王道進行ほど日本人にウケるかどうかはわからない。
あれ? 4度進行して半音上がる? それって、そういえば2年ほど前に裏スケールの練習のためにそんな曲作ったんだった。その名も「Depressions」というので、お約束通りサビでは半音上がるわけだ。
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コメント
王道というのがどうも胡散臭さを感じますが、これっていわゆる逆循環コードの変形か。
Dm7-G7-Em7b5-A7
Em7はCmaj7の代理と思えばただの循環コードをずらしただけだし。
私にはあまり意味があるようには思えないです。こちらの方が私には面白かった。
http://foursics.jp/d/hironobu/2008/10/about-oudou-progression.html
Em7がポイントなのかもしれないけど、思いつくのは、キースジャレットが弾いているボブディランのMy Back Pagesとか、ケルンコンサートの最後の曲。60年代フォークソングにはIIImはよく出てきますね。
投稿: taki | 2008年11月 2日 (日) 00時11分
まぁ、自分で「王道」と名づけているのは冗談というか、照れもあるのかな、って感じじゃないんですかね?
で、引用されているURLの記事はよくわかりませんでした、コード進行をメタに見る視点って、どういうことを言ってるんだろう? コード進行以外のほかの要素って何?
IIImは確かに特異なコードで、和風な曲に多いかもしれないなぁ。これが出てくるとなんかIII7が否定されてしまって空気が変わるっていうか。
歌謡曲っていうのはひたすらダイアトニック(IV#も含む)っていうイメージがあるんですが、そういえばアメリカンポップスのことをよく知らないので、この先を論じることができませんです、はい。
そういえば歌謡曲にチャレンジしてみようと思って、松田聖子の「Sweet Memories」とか山口百恵の「いい日旅立ち」をやってみたりしたこともあったんだった。前者はいろいろ面白かったんだけれども、後者はべたべたの歌謡曲でコードを追いかけるばっかりになってしまって、なんだかうまくいかなかったのだった。つまり4度進行パターンになってなかったんだろうなぁ。
投稿: PICKS CLICKS | 2008年11月 3日 (月) 10時28分
引用先は私もよく分かりません。単に面白い事書いてるな、というだけでした。
IIImはアメリカの60年代モダンフォークとかいうのによく出てきたように思います。
しかし元々和風の旋律にも合うようで、もののけ姫のテーマソングにも出てきます。
これは多分、西洋風のマイナースケールにある#5度(AmではG#)の音がフォークソングとか古い旋律なんかにはない、というか合わなくて、ナチュラルの5度になるからではないかと思いますが、どうでしょうか。
Amならば、ドミナントがEmであったりGであったりすると、ロックなんかでもありそうな気がします。
終止形が、A-G-Aとか、E-G-Aというメロディーで終わるとか。マイナーのブルースもG#でなくてGが出てきますね。
「いい日旅立ち」ってのはかなり難しい曲ではないかと思います。山口百恵はサラリと歌ってますが、他の歌手だとそれこそベタベタになるみたいです。
投稿: taki | 2008年11月 3日 (月) 13時57分
興味深いご分析ありがとうございました。
このごろ思うにやはり”日本人がハマル”コード進行と
メロディー、リズムラインはあるみたいですね。
同じ曲でもあるLIVEではとても受けるのですがまた
違うLIVEでは反応がそうないこともあってそういう
時は伝家の宝刀ではないですが”ハマル、ウケル”
曲で気分一新を図ることがあります。そうすると効果
があって結構思い通りに進行するみたいなこともあります。ただそういう曲ばかりでの構成もいいのですがそうすると演者はつまらなくなってしまうこともありその辺のバランス感覚も大切かなと思います。迎合ばかりねらうと自分が無くなってしまうという感じです。僕自身も試行錯誤を繰り返しているこの頃です。。。。
投稿: 楽(らく) | 2008年11月 3日 (月) 20時06分
楽さんは、王道進行の解析をされた方でしょうか。勝手な批判をして、お気を悪くされたらすみません。
訂正です。「西洋風のマイナースケールにある#5度(AmではG#)の音」は、#7が正しいです。メジャーとマイナーを混同してました。「ナチュラル5度」もナチュラル7度です。すみません。
投稿: taki | 2008年11月 3日 (月) 23時10分
ちょっと書きそびれたことがあるのですが、ジャズのコード進行ってわりとパターン化されていて、あんまり自由ではないんじゃないかという気がしてきています。
むしろ歌謡曲とかフォークソングのほうが自由奔放なコード進行をつけているような(とは言ってもダイアトニックな枠の中でということが多いと思いますが)。
ボサノバもその前提となっているサンバとかショーロとか(実はよく知らなくて言っている)はわりと歌謡曲的なコード進行が多かったのではないでしょうか。例えば「黒いオルフェ」なんて、私にはジャズ的というよりは歌謡曲的なコード進行であるように思えます。
そういうふうに考えると、日本のポップスにそういうパターン化の認識が現れたということは、日本のポップス(JPOPと呼んでいいのかどうかというのは、また別の議論があるかもしれないので)にある変節が訪れようとしているのかもしれません。
投稿: PICKS CLICKS | 2008年11月 4日 (火) 00時49分