ここんとこ、本を読んだという話をぜんぜん書いていないのだが、読んでいないわけではなくてトム・クランシーの軍事スリラーものをゲップが出るほど読んでいたのだ。
まずは「パワープレイ」シリーズという、文庫本で全8巻9冊のシリーズで、内容はあるハイテク企業が世界平和を願っていろいろするというものだ。いろいろというのは軍事活動めいた行動まで含んでいる。
ロジャー・ゴーディアンというのがその企業の主で、この小説群の大半で主人公となっている。現代を象徴するハイテク企業というと、マイクロソフトとかアップルを連想するかもしれないが、この企業(アップリンク)はアップルと名前が似ているけれどもその内容はむしろQualcommという企業に近い。
Qualcommなんて企業はきいたこともないという人も多いだろうが、この会社がなかったらauはケータイを一台も作ることができないし、DocomoもSoftbankもe-Mobileもチップの供給は受けていないが、多額の特許料をこの会社に支払って携帯電話業務を運営している。現代社会を支える企業なのだ。
そんな企業が正解平和のために私財を投げ打つなんて、日本人の(いや、私の)企業観からするととんでもない話なのだが、そういう話を生み出せてしまうところがアメリカの懐の深さということなのだろうか?
その内容についてはもういちいち書かない。それを書こうとするとまただらだらと長くなるだけだから。
で、そのシリーズを読み終わって、次に読んだのが同じくトム・クランシーとスティーヴ・ピチェニックとの合作になる「ネットフォース」シリーズだ。これは上記のアップリンク社がやっていたようなことをFBIのネットワーク捜査専門部局である「ネットフォース」が行うというもので、ネットワーク内をVR(ヴァーチャル・リアリティ)で、つまりゲームの中の世界のような感じで悪と戦うというものだ。でもこのシリーズも上記「パワープレイ」シリーズの焼き直しみたいな話が出てきて、そろそろ胃もたれしてきたところだ。
で、書かれた時期を調べてみたりすると、なんとネットフォースのほうが早くに書かれていたらしい。ふーん、そうなのか。
共通しているところを書き出したところでネタバレになるだけなので、詳しくは書かないけれども、どちらも恋愛沙汰があったり、世界平和のために出動しようとする男に向かって奥さんが「仕事と私とどっちが大事なの?!」と足を引っ張ることまで似ていたりして。こういうのがなくなればもっと本の分量を減らせて、話もスピードアップすると思うのだが。スリラーにロマンスはいらんのだ。
で、これらの二つのシリーズの前に読んでいた本がまた怪しい本で、「実録・アメリカ超能力部隊」というものなのだが、これに書いてあることが妙にトム・クランシーの書いてあることに符合していて面白いというか、怖いというか。まさにスリラーなのだ。
アメリカって本当に面白い国で、本当に超能力部隊を作ろうとしていたという証拠がいくつもあるのだ。その超能力部隊に関連していた人物やそこで研修していた人物も実名で出てくるのだが、研修者の中にはジョー・マクモニーグルというどっかで聞いたような名前も出てくる。日本のTV番組で人探しとかやっているあの人がこの部隊の出身だとかいうことなのだ。
さらに、この本では「理想的な軍隊」の要請として「非殺傷兵器」の開発を推進すべきだという話が出ていて、これらも「新型兵器」がクランシーの小説にもゴム弾とかティーザー・ガン(スタン・ガンからワイヤつきの針を飛ばす)とか、可変速度ライフル(発射する弾丸の速度を変えることによって殺傷能力をコントロールする)として出てきたりするので、これはアメリカの軍事スリラー業界のみならず、アメリカの軍事専門家たちの間ですでに常識になっているのかもしれない。
ここで、これらの本を一覧してみよう。まずはネットフォース。
1)『ネットフォース』 Tom Clancy's Net Force (1999)
ネットフォース(Net Force)I
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Joint Work:スティーヴ・ペリー(Steve Perry)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
1999/9/25 ISBN4-04-283701-8
2)『国家強奪計画』 Tom Clancy's Net Force #2: Hidden Agendas (1998)
ネットフォース(Net Force)II
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
2000/4/25 ISBN4-04-283702-6
3)『憂国のテロリスト』 Tom Clancy's Net Force #3: Night Moves (1999)
ネットフォース(Net Force)III
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
2000/9/25 ISBN4-04-283703-4
4)『殲滅の周波数』 Tom Clancy's Net Force #4: Breaking Point (2000)
ネットフォース(Net Force)IV
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Joint Work:スティーヴ・ペリー(Steve Perry)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
2001/5/25 ISBN4-04-283704-2
5)『ドラッグ・ソルジャー』 Tom Clancy's Net Force #5: Point of Impact (2000)
ネットフォース(Net Force)V
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Joint Work:スティーヴ・ペリー(Steve Perry)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
2001/11/25 ISBN4-04-283705-0
6)『電子国家独立宣言』 Tom Clancy's Net Force #6: Cybernation (2001)
ネットフォース(Net Force)VI
Joint Work:スティーヴ・ピチェニック(Steve Pieczenik)
Joint Work:スティーヴ・ペリー(Steve Perry)
Tr:熊谷千寿(Chitoshi Kumagai) Pb:角川文庫(Kadokawa bunko)
2002/7/25 ISBN4-04-283706-9
次にパワープレイ・シリーズ。
7)『千年紀の墓標』 Tom Clancy's Power Plays: Politica (1997)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
1999/12/25 ISBN4-576-99224-4
8)『南シナ海緊急出撃』 Tom Clancy's Power Plays: Ruthless.Com (1998)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2000/7/25 ISBN4-567-00621-5
9)『謀略のパルス』 Tom Clancy's Power Plays: Shadow Watch (1999)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2000/12/25 ISBN4-567-00702-5
10)『細菌テロを討て!』 Tom Clancy's Power Plays: Bio-Strike (2000)
ロジャー・ゴーディアン
Two Volumes
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2001/11/25
One:ISBN4-567-01128-6
Two:ISBN4-576-01129-4
11)『死の極寒戦線』 Tom Clancy's Power Plays: Cold War (2001)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:(Jerome Preisler)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2002/8/25 ISBN4-567-02112-5
12)『謀殺プログラム』 Tom Clancy's Power Plays: Cutting Edge (2002)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:(Jerome Preisler)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2003/5 ISBN4-576-03064-7
13)『殺戮兵器を追え』 Tom Clancy's Power Plays: Zero Hour (2003)
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Joint Work:(Jerome Preisler)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2004/9 ISBN4-576-04172-X
14)『石油密輸ルート』 Tom Clancy's Power Plays: Wild Card
ロジャー・ゴーディアン
Joint Work:マーティン・H・グリーンバーク(Martin H. Greenberg)
Joint Work:(Jerome Preisler)
Tr:棚橋志行(Shikou Tanahashi) Pb:二見文庫(Futami bunko)/ザ・ミステリ・コレクション(The Mystery Collection)
2005/12 ISBN4-576-05194-6
あ、嘘書いてしまった。パワープレイ・シリーズのほうがが先に始まって、遅く終わっているのですね。
で、これらを全部読んだわけではなくて、1)、6)、8)は読んでいない。特に1)は不思議なことがあって、「ネットフォース」と題された文庫本が実はネットフォース2の「国家強奪計画」だったりするので、なんだかよくわからない。でも、もうおなかいっぱいなので、もういいや、って感じ。
11月11日追記:
「実録・アメリカ超能力部隊」は原題を「The Men who stares at the Goats」というのだが、同じ題名の映画が先週あたりにアメリカで封切られたらしい。ユアン・マクレガーとジョージ・クルーニーが出演しているらしい。どういう映画なのかチェックしてみないと。
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