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2009年9月16日 (水)

ギターのネック保護に悩む

ガットギターを使っている人の間でしばしば話題になるのが「弦は緩めてますか?」ということだ。つまり弦を張りっぱなしだとネックに負担がかかって反りが出たりするので、弾かないときには弦を緩めるほうがよい、とか書いてある本があるらしく、これを気にしている人が多いのだ。たしかに反ってしまってからネックの反りを直すのはたいへんなので、反りを防止できるならそれに越したことはない。

エレキギターや鉄弦のギターではネックにトラスロッドと呼ばれる鉄の棒が入っているので、張りっぱなしでも問題ないし、反ってもある程度調整できるのだが、ガットギターは木の棒なので弦の張力に負けて、多かれ少なかれ、または早かれ遅かれ反ってしまうのだ。

たいていの人は「長期間弾かないときは緩めるが、普段は張りっぱなし」としているのではないかと思う。緩めたり、またチューニングしたりするのも弦にはよくないような気もするので、できれば緩める回数も減らしたいから。

だから、弦を緩めることなくネックを保護できる方法があれば、それに越したことはない。私が実践している、その方法をご紹介しよう。

Capo1 この写真はカポタストのように見えるが、カポではない。カポでもいいと思うのだが、カポだとネジやらレバーやらが付いていて、ケースに入れるときに邪魔になる。また、カポのようにしっかり押さえ込む必要もないので、写真に写っているのは私が1cm角のヒノキ棒と輪ゴム(風化しにくいもの:カラー輪ゴムにした)で作ったものだ。


Capo2 カポを装着すると、弦の張力が増えてネックに余計な負担がかかるのではないかとお考えの方もいらっしゃると思うが、張力が数%増えることよりも、ネックにかかる力の方向が変わる(ネックに対して斜めの方向からほぼネックの長手方向にちかい方向へ)ことによる「ネックを曲げようとする力の減少」が効くのではないか、と思うのだ。

9月19日追記:
[押弦するだけで張力が数%も増えるわけはないのだった。音程(周波数)は張力の平方根に比例するので、押弦による張力の増加は1%以内だと思う。]

少なくともカポをはめることによって、ボディとネックとの接合部にかかる力はずいぶん減少するはずだ。


数式を立てて立証するのはちょっと無理があるようだったので、実験してみた。プラスティックの定規をゴムで引っ張って、弦を張ったネックの状態を模擬する。それでゴムの真ん中へんを定規に沿わせてみると、ほら、定規はまっすぐになったでしょ? 定規の両端にはナットとブリッジを模して爪楊枝をはさんでいる。

Capo3 Capo4

この実験で100%証明されたとは思っていないのだが、ひとつの例として説得力はあると思う。

まだ議論の余地はあるとおもうのだが、私は当分これを実践するつもりだ。

実は、同じようなことを長年実践していて、こちらは鉄弦のエレキギターなのだが、ケースに細工してあって、ケースを閉じると自動的にネックの真ん中辺りを押さえ込むようにしてある。まぁ気持ちだけかもしれないけれども、このギターChakicase_2は長寿で元気です。

9月26日追記: こんなのがあるらしい。これも私のカポもどきと同じ意味での効果はあるだろうな。12フレット付近を押さえこんでいるからね。でもネック全体に沿わせる意味はないと思うなぁ。

12月19日追記: ここに書いたネック保護の方法について、理論的に証明できると思うのでいかにそれを書いてみる。 まず、この図を見ていただきたい。ギターのネックあたりを模式的に書いたもので、弦の張力「fs」がネックを圧縮する方向バクトルfpとネックを曲げる方向のベクトルfbに分解して考えることができることを示している。 Neckbend ここで、ネックを圧縮する方向を便宜上ネックの指板の方向としたが、これは図中でいうともう少し時計方向に1~3度ほど傾くかも知れない。しかしそれはまぁ大勢に影響ない。

fpとfbの比は、弦長と弦高の比であると考えて良い(fsとfpの長さはほぼ同じと考えてよい)。ガットギターの場合、標準的な弦長は630mm、弦高は12フレットの位置で3mmというところだろうか。

弦の張力は6弦あわせて40kgと仮定しよう。すると、ネックを曲げようとする力は40kg×3mm/315mm (=630mm/2)で、約380g重ということになる。弦高5mmだと630g重だ。380g重という力はたいしたことないと思うかも知れないが、弦長の半分である315mmの長さに対するモーメントとして効いてくるので、ネックにとっては大きな負担となる。

さて、そこで私の作ったカポもどきを装着すると、この弦高がほぼゼロになるので上記の「ネックを曲げる力」もほぼゼロとなり、弦の張力はほぼネックを圧縮する方向に使われて、ネックを曲げる方向には働かない、ということなんです。

2014年1月11日追記:

この記事を書いて4年以上になるのだなぁ。私はずっと実践しているし、知り合いの方々にも実践しておられる方を散見する。

私自身は使用済みのキャンディ・バー利用で、キャンディ・バーに孔を開け、100円ショップで買ってきた、女性が髪の毛を縛るゴムひもを通して使っている。

Candybar

悪い評判は聞かないが、知り合いの中で毎年ギターをメンテに出している人がいて、このキャンディ・バーを使い始めてから「ヘッドの狂いがありませんね」ということを言われるようになったという。「ヘッドの狂い」ってどういうことなのかよくわからないが、ボディを定位置で固定したときのヘッドの位置の変位ということなのかなぁ?

Neckprotected

これは実際に使っている様子をブリッジのほうからナット方向を見て撮影してみたところ。カポタストほど強力に締め付けていないので、弦は12フレットあたりでフレットから1mmほど浮いている。このギターは1970年ごろ製作されたものだが、さきほど測定してみたところ弦高は6弦12フレットで4.23mmだった。

肝心のネックの状態はどうかというと、こんな感じだ。

Straightneck

40年物でこの直線性というのはなかなかいいんじゃないだろうか。

 

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