楽器フェアで悩む
2年に一度の楽器フェアだが、最後に行ったのはいつだったか? っていうか一度しか行ったことがないんだった。前回行ったときは初めてクイーカを触ったり、ポケット・サックス(Xaphoon)が欲しくなったりしたのだった。
今回2009楽器フェアに行ってみようと思ったのは、ひとつにはハーモニカメーカーHOHNERの代理店であるモリダイラがブースを構えていたから、もうひとつはチェロを弾いてみたいと思ったからだ。
その話からはじめると、モリダイラへ愛用のクロメッタ14を持っていった。「ハーモニカに詳しい方は?」と呼び出しておいて、「低いDの反応が悪い。吸ってから音の出るのが遅い」と訴えたが、実際に吸ってもらって「まぁこんなもんですよ。」ってことで終了。
チェロは、ヤマハでサイレントチェロを弾かせてもらった。ボウイングには多少の心得があったので音は出るし、音程もまずはハーモニクスでオクターブと5度を確認して、それを頼りにほかの音も押さえてみるとなんとか4弦にわたってスケールは弾けた。
しかし、なんとも不安定だなぁ。初めてだから仕方がないといえば仕方がないのだが、弓で弾く位置をうまく調整しないといけないのがなかなか自然にコントロールできない感じ。それと、押弦する左手の指の位置がうまく決まらなくて、音程がどうのという前に隣の弦を押さえてしまう。
まぁそんなわけだから、不安定要素が多いということは表現に幅ができるってことなんだろうかも知れないこともないのかな? という理解で将来の展開を見ておこうかと。
メインの目的はそんなところで、でもやっぱりギターなんかも見ておこうかな、ということで、最初に引っかかったのがVGという日本のメーカーのエレガット「VG EAR-01NC」。
VGというメーカーはギターを一定数作って、それを売り切るというビジネスをしているらしい。だから、ここで弾いたEAR-01NCというギターも、WEBではまだ公開されていない。ちょうど、このギターの企画にかかわったというプロ・ギタリストの方とお話ができたのでいろいろとお話することができた。
拝見してすぐ気になったのがペグのシャフトが太いこと。ペグはゴトーだが、こんなのは標準品にはないはずで、聞いてみたら確かに特注らしい。ナイロン弦を巻き取るにはやはり巻き取るポールが太い方がいいということだろうか? 実はこれは以前から気にはなっていたことなので、こういうのを見せられるとちょっと気を惹かれる。
さらに、ネジをはずしてボディ裏面のフタを開けると、トーンコントロールの半固定の可変抵抗器が入っていて、ここで、音質を細かく調整することができる。まぁ普通は工場出荷の状態のままで使うんだろうけど、こういう配慮は嬉しい。
ナットは44mm、ボディはホローではなくて、ヘリに6mm残してくりぬいた中空だとか、ピエゾとプリアンプはオリジナルであるとか、トーンコントロールを敢えてなくしたのは不確定要素を減らすためだ、とか。フレットがピカピカで気持ちがいいとか。あ、最後のは私の感想だけど。
確かにいいギターなんだけど、私は既にエレガットを持っていてそれに満足しているものだから、いまさら買い換える気にはならないなぁ。エレガットを持ってなかったら、大いに気が動いたと思うけどね。このギターを実際に楽器店の店頭で触ってみた感想はこちら。
もう一本、気になったギターがTravelerGuitarのUltraLightNylon。これもエレガットだが、私が既に持っている同社のSpeedStarに次いで注目のギターだ。今回はアンプを通すわけにはいかなかったが、神田商会のブースで触ることはできた。
しかし、電気出力がピエゾピックアップから直出し(プリアンプなし、ボリュームもトーンコントロールもなし)だとか、右ひじで押さえ込むためのアームレストがないだとか、なんか本当に「ナイロン弦タイプもありますよ~」というだけの製品という感じ。でも、3万円台だから、まぁいいかという感じではあるので、どうしてもこういうタイプが欲しい人にはいいんじゃないかな。実は私もちょっと欲しい。
フジゲンのブースにも行ってみたが、16インチの鉄弦アーチトップをしばらく弾かせてもらって、でもあんまり感想というほどのものはなかったなぁ。あ、トーンコントロールのノブを引っ張ると、ピックアップがシングル/ハムバッカーに切り替わるというのは、使えるのかもと思った。私はハムバッカーしか使わないだろうけど。
あとは、変わったデザインのギターを見て回ったくらいかな。
これはどこのブースで見たんだったか、なんとなく「高見沢」と呼んでしまうギター。こりゃどう見ても高見沢でショー。ハイポジションを弾こうとすると指が見えなくなってしまうという思い切ったデザインだ。こりゃ思い切ったね。
別の角度から見ると、もう少しわかりやすいかなと思ってこんな角度から撮ってみたが、たいして変わらんか。
こちらは、K.Yairiのギターデザインコンテストの入賞作品らしい。黒猫の尻尾がヘッドになっているという趣向。あくまでもアコースティックではあるのだな。このギターを抱えると猫を抱えているように見える、のか?
ギター・ボディの上半分をプランターにしてしまいました。ただし植物は本物じゃなくて造花とかそんなもの。花を愛する気持ちは大切だとは思うが、はっきり言ってこれは趣味が悪いと思う。
ウクレレとギターの中間的な大きさを持った「ギタレレ」というのがあったけど、こちらは本物のギター+ウクレレ。こんなのはアイディアでもなんでもないと思うんだけど。
こちらはESPの楽器制作スクール学生の作品なのだと思う。大きな斧の形をとったエレキベース。これを振り上げると、観客が「Oh! No!」と叫ぶわけだな。
かえるです。
お花とかケーキとか、「女の子が好きそう」と男が考えそうな、なんとなく頭悪い空気のデザイン。学生のレベルってのはこんな程度か、と。
これも、面白いっていうのかなぁ? 頭おかしい、っていうほうがあたっていると思うんだけど。
こちらはどこのブースで見たんだったか、わりと規模の小さなブースだったが、頭悪いのもここまで来ると芸になる。弦を触ってみたが、だるんだるんで音程を確かめることはできなかった。こんなのどうやって持ち込んだんだろう?長いネックよりも長い弦を用意するのが大変だったと思う。
最後に、ちょっとこれはなかなか見れないものを見たと思ったので激写。Rhodes(もうフェンダーではないのだな)のふたを開けたところで、弦の代わりのピアノ線と、それの振動上のバランスをとるためのカウンターバランスなんだろうか? よく見るとダンパー(白)とハンマー(黒)が見える。
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コメント
美術系の専門学校なんかの学生だとやはりこんなもんですよ。有名な芸術大学だとかなり違いますけどね。しかし楽器制作スクールなんてあるんですね。
楽器フェアのサイトを見ましたけど、鍵盤打楽器は出展してなかったみたいですね。やはりマイナーな楽器なのだな。
Rhodesは昔のフェンダーローズの音でしたか?
投稿: taki | 2009年11月 8日 (日) 15時46分
コッスのヴァイブを展示していたブースがありましたよ。「誰にも触らせね~」と見張っていた人がいたので、通り過ぎました。場所から考えると、ヤマハ・ミュージック・トレーディングではなかったかと思うのですが、パンフレット見ても確認できませんでした。
Rhodesのブランドは一時Rolandに買収されたのですが、今回はRolandではなく「Rhodes」としての展示でした。どこのブースだったか覚えてません。山野楽器だったかも。外見はかわいい感じになっていますが、音は昔ながらのあの音でした。
投稿: Picks-Clicks | 2009年11月 8日 (日) 17時06分
コッスのヴァイブですか。コッスは会社がもうなくなったって思ってたんですが、まだあったのですね。
会社のサイトがありましたが、ヴァイブは出てないので、表立っては作ってないってことか。何かやましい楽器みたいだ。
しかしヤマハなら自社のヴァイブがあるはずですが、トレーディングだから他社品も扱うって言うことかな?
投稿: taki | 2009年11月 8日 (日) 21時47分
奇をてらうというかこれでもかというギターが
ありますね。
VGですが僕もセミアコを持っていてとても
気に入っています。なんとTOPはハカランダ
です。(ハカランダだからどうなんだとは言いたく
なるのですが、、、、、)
Chacahmaruさまの破格のVintageガットギター
(価格も破格ですが!!!)ではないですが
やはり楽器ではなくて”腕”の世界だなーーと
つくづく思います。
Chacahmaruさまの素晴らしいフレーズとご演奏は
JGSでいつもご披露いただけその感をいつも強くします。そうなると楽器フェアというのはどんな位置づけ
になるのですかねーーー。Negativeにいうと虚栄心
の満足。Positiveにいうと新しい楽器との出会い。
どっちでもいいのですがやはりあったほうがいいので
しょうね。
投稿: 楽 | 2009年11月 8日 (日) 23時11分
楽器フェアの位置づけですか?!
まぁ私にとっては「お祭り」ですね。おっしゃるように普段カタログでしか見たことのない楽器を触れたり、あるいはカタログにもまだ載っていない楽器に触れたりするわけですから、そこにはやはり新しい、思いがけない出会いというのが期待できるわけで。
奇をてらったギター達も、量産品ではないにしろ、今後そういうものが市場に出てくるかもしれない、という意味ではまさに「奇をてらった」ものしか見ることができなかったのが残念です。
むしろグレッチのブースで見た古いモデルで弦のミュート機構(ブリッジ側)が付いているギターであるとか、f穴がダミーであるギターのほうが温故知新という意味で興味深かったりしました。
投稿: Picks-Clicks | 2009年11月 9日 (月) 17時02分
楽器フェアのおさらいをしていたらこちらにヒットしましたので足跡を。会場で目にした迷器?の数々をUPしてくれてて感謝です。(カメラ持っていかなかったので。)
ただyairiブースのウクレレとギターがくっついた奴はただのダブルネックでは無いそうです。私が行った日にはデザインした人が居て、小さな子供を膝にのせてそのギターを一緒に弾いて歌ってました。とてもほほえましかったですよ。ギターの名前は「親子レッスン」だそうで、そういう目的の「夢のギター」だそうです。
投稿: saika | 2009年11月20日 (金) 15時30分
ええと、子供をひざに乗せて? あのギターでお子さんがウクレレを弾くのでしょうか? ちょっとうまく想像できないのですが。
子供のころに見た西部劇映画で、ジョンウエインみたいなカウボーイが左手とネックの間に小娘を蚊開けながらギターを弾く、というふうなシーンを見た覚えがあるのですが、実際にそういうことをやってみようとすると、とても無理、ということがわかりました。
小さい子供だったらネックと左手の間に入れるかもしれないけれどもひざに乗せるのは難しい。
投稿: Picks Clicks | 2009年11月21日 (土) 15時05分
膝にのせた子供は3,4才位の小さい子。ネックと左手の間で左膝の上に座ってました。小さい子だから弾いてると言っても弾くマネをしてるだけですが。すごくかわいい子でしたよ。
投稿: saika | 2009年11月22日 (日) 15時59分
なるほど、やっとイメージができました。ありがとうございました。
投稿: Picks-Clicks | 2009年11月22日 (日) 20時18分