社長の引退に悩む
森繁久彌氏が亡くなった。
さまざまな業績もさることながら、私にとっては昭和の映画シリーズ「社長シリーズ」や「駅前旅館シリーズ」の名優としての認識が一番大きい。
これらの映画の笑いは、今のお笑いとはかなり趣が違うものだが、なんというか、笑いの原点みたいなものがそこはかとなく見え隠れするようで楽しい。
聞いた話だが、撮影時に森繁が放つアドリブがあまりにおかしくてカメラマンが笑ってしまい、画像がゆれたためにNGとなったシーンがたくさんあるそうで、当時はNGに商品価値なんかなかったから捨てられてしまったのだろうが、もしもそういうのが映画会社の倉庫に眠っているのだったらぜひとも発掘していただきたいものだと思う。
森繁逝去の報を受けて、ツタヤのDVDがあっという間に借りられてしまう方と思ったが意外とそうでもなく、社長シリーズも駅前旅館シリーズも半分以上残っていた。今回は社長シリーズを観て森繁氏を偲ぶことにした。
こちらは「社長えんま帳」で「う~ん、こまったなぁ、しかし社長としての威厳を失うわけにも行かないしなぁ。」という絶妙の表情なのだが、なかなかその一瞬を捉え切れなくてちょっと中途半端になってしまった。
こちらは「社長太平記」という白黒作品で、これは社長シリーズの最初の作品なのだろうか?社長シリーズ常連の小林圭樹(専務)と加東大介(庶務部長)が戦時中には海軍で逆の立場だったという背景が語られている。社長は戦時中には二等水兵、小林圭樹は士官長、加東大介はなんと艦長だったのだ。
艦長の顔が映る瞬間をキャプチャしようと何度も何度も試みたが、ついにうまく捕らえられなかったのだ。残念。
どちらの映画もすきあらば浮気しようとする社長が、奥さんや偶然に阻まれて好機を逃すというのがパターンになっている。昭和初期というか、戦後の男女間の意識が現在にも通じる者があったり、またがらりと変わってしまった部分があったりして面白い。
これらの社長シリーズを全部見たわけではないのだけれども、ビデオのころに何本かは見ていた。社長シリーズは全部で30本以上公開されているらしいが、これがボックスになって発売されたら老後の楽しみに買っちゃうかも。
駅前シリーズも、お上品ではないのだけれども好きだったなぁ。
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