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2010年2月19日 (金)

ハードボイルド・ワンダーランドで悩む

村上春樹の「海辺のカフカ」を今更ながらに読んだのは先週のことだ。私はこういう人気作家の作品は避けて通ってしまう天邪鬼なのだが、よく考えてみると「ノルウェーの森」は文庫本にもならないうちからハードカバー本で買ってしまったことを思い出した。私もどうやら根っからの天邪鬼ではないようだ。

本屋で村上春樹の本を物色してみると、まぁいろいろあるもので、特に気になったのが「村上春樹論」みたいなのが結構あるってことだ。こういうメタな話題が出るってことは、インターナショナルに人気が出ていることとも関係がきっとあるのだろう。村上春樹の小説が各国でどんなふうに受け止められているかということがまた本になって出版されているというのはなかなかすごいことだと思う。

Hardboiledwlそういうメタな議論も興味あるのだけれども、私はまだこの作者に関しては初心者なので目についたものから読んでみようか、と「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」というのを買ってみた(上下巻)。

で、読み始めると、これ、二つの物語が交互に語られるのだ。海辺のカフカもそういう構成になっていて、途中でそれらの話の接続点が見えてくるという寸法だが、これってどうなんだろう? って、つまりそれは作者の戦略なのだが、読者はそれに従うしかないのか?

ということで、「世界の終わりハードボイルド・ワンダーランド」も二つの話が交互に提示される作りになっていて、ってことは世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランドってことなんじゃないの? ということで、まず「ハードボイルド・ワンダーランド」だけを読むことにする。つまり1章ずつ飛ばし飛ばしで読むわけです。

これは「賭け」です。ひょっとしたら、この小説は作者が提示する順番で読まないと意味をなさなくて、片方だけを読んだのでは何のことだかさっぱりわからないということになるかもしれない。あるいは、二つの話が終盤で一つにつながってしまうかもしれない。でもそうなったらまた最初から順序通りに読んで行けばいいだけの話で、賭けとは言ってもリスクは少ないのだ。

逆に普通はあんまりやらない「飛ばし読み」でなにか新しい発見があるかもしれないし、そのチャンスは一回しかないのだから、これはぜひやってみるべきだ。

ということで、今日「ハードボイルド・ワンダーランド」のほうを読み終わったわけなんです。

「ハードボイルド・ワンダーランド」はわりと初期の作品なんだろうか、表現に甘さっていうか気どりというか「氷山の裏のように静か」なんていう、作者さえもあとから読んで恥ずかしくなるんじゃないかというような表現があったりもするんだが、サスペンス小説、ちょっとハードボイルド風味としてはまぁまぁかな?

で。今「世界の終わり」のほうを読んでいるのだが、「ハードボイルド」を読んでいると既にタイトルでわかる通り、二つの話のあちらこちらに関連性のつながりを発見することができる。

こんなことをするのはきっと私が初めてじゃないだろうけど、私なりに楽しめております。

2月21日追記:

「ハードボイルド・ワンダーランド」を読了し、ついで「世界の終わり」も読了。

どちらかというと「世界の終わり」のほうが面白かった。で、こういう順序で読んで正解だったと思う。

「世界の終わり」を先に読んだら、「ハードボイルド・ワンダーランド」の読み方が変わってきただろうか? そうは思わないな。で。両方を作者が想定した順序で読んだらどうかというと、その効果は別にないと思う。それはもう一回その順番で読み直さないと正確なところはわからないのだが。

ちなみに、ページ数を数えてみると、「ハードボイルド・ワンダーランド」が529ページ、「世界の終わり」が235ページだった。「世界の終わり」のほうが短いのに読み応えがある。

では「海辺のカフカ」をナカタさんのストーリーを別によんだらどうかというと、これはよくないかもしれない。途中で話が同期するポイントがあるんじゃなかったかな?

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コメント

ねじまき鳥クロニクルもぜひ!

投稿: SIG | 2010年2月20日 (土) 21時24分

「ねじまき鳥クロニクル」はずっと前から気になっている本なので、遠からず読むと思います。

投稿: Picks Clicks | 2010年2月20日 (土) 22時25分

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