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2010年4月14日 (水)

村上春樹の音楽観に悩む

Harukijazz

村上春樹がジャズ喫茶を経営していたことは有名だと思うが、彼の小説の中にあんまりジャズは登場してこない。むしろクラシックの方が詳細な知識とともに書かれていることが多くて、彼のジャズ観がどういうものであるのかということが気になっていた。

で、アマゾンで調べるとちゃんとこういう本を手にいれることができる。

「ポートレイト・イン・ジャズ」といえばビル・エバンス(つい、こう書いてしまうが、村上春樹の書くとおりビル・エバンが正しいのだろう)のあの有名なアルバムを思い出すが、特にそこへの思い入れはないようだ。50人を超えるジャズミュージシャンのポートレイトが彼一流の文章で書き綴られているのだろう。

・・・のだろう、というのはまだ全部読んでないし、全部読む気もないからだ。これはある意味ジャズ人名辞典みたいにして必要なときに必要なだけ読もうと思う。だって、取り上げられている人がはっきり言って古いんだもの。

とりあえず、ビル・エバンズとウェス・モンゴメリーは読んだ。他の人の名前もここに列挙しようかと思ったがやめた。単行本では2巻に分かれて出版されたらしく、その最初の巻についてはここにその人名リストがある

もう一冊の「意味がなければスイングはない」という、これはタイトルがどうにも気に入らないなぁ。「スイングしなけりゃ意味がない」の捩りだということがわかっていても、もうちょっとなんとかならなかったのかという気がする。しかもこの表紙はなんなんだ?

でも中身は興味深い。要するに音楽に関わるエッセイをまとめたものなんだろうけど、量が少ないから目次を列挙してみよう。

シダー・ウォルトン:強靭な文体を持ったマイナー・ポエト
ブライアン・ウィルソン:南カルフォルニア神話の喪失と再生
シューベルト「ピアノソナタ第十七番ニ長調」D850:ソフトな混沌の今日性
スタン・ゲッツの闇の時代 1953-54
ブルース・スプリングスティーンと彼のアメリカ
ゼルキンとルービンシュタイン 二人のピアニスト
ウィントン・マルサリスの音楽はなぜ(どのように)退屈なのか?
スガシカオの柔らかなカオス
日曜日の朝のフランシス・プーランク
国民詩人としてのウディー・ガスリー

まず、とっぱしからシダー・ウォルトンというのが渋いね。私もこの人が割りと好きでサイドマンとして参加しているアルバムをいくつか持っているのだが、リーダーアルバムについての知識がなかったので、ここに紹介されているアルバムを買ってみようと思う。

スガシカオに注目しているのも興味深い。この人の「夜空ノムコウ」についてはそのサビがコード進行のほんの少しの違いだけでちゃんとサビ感を出しているのがすごいと思っていたし、あの歌詞もなかなかのものだと思っていた。

マルサリスの話もなんだかにやにやして読んでしまった。面白いなぁ。半分くらいはよく分からない話なのだが、それでも面白く読めるんじゃないかと思う(まだ読んでないのかよっ!)。

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コメント

どちらの本も図書館で借りて読んだはずだけれど、あんまり、いやほとんど覚えてません。村上春樹にしろ村上龍にしろ、70年代以前のジャズ世代なので、WRやECMの世代の私にはも一つピンとこないのだろうと思います。

村上春樹の訳で「ジャズ・アネクドーツ」というジャズメンの逸話集みたいなのがあるんですが、全然面白くないので数ページ読んだだけで図書館に返したことがあります。ああいう話は仲間内でやるから面白いんだろうと思いました。

投稿: taki | 2010年4月14日 (水) 23時23分

「意味がなければ~」というタイトルの枕詞は、当時の現代思想、あるいはニューアカという、哲学で「言語に意味があるというのはまやかしだ」というのが大流行だったから、それへのコールアンドレスポンスのはずです。

しかし、そういうコンテキストをとっぱらうと、なんか浮いたタイトルですね。

ちなみに、言語に意味がないという現代思想の主張はなんだったのかというと、たとえば、国民文学には内面の意味があるという国民国家への批判性としてあったとおもいます。

春樹にとってジャズは、ロックのようなメッセージ性ではなく、意味のない律動だからこれだけ語られる、というものだったんじゃないかと。

投稿: sunamajiri | 2010年4月14日 (水) 23時30分

takiさん、

「ジャズ・アネクドーツ」っていうのは例のビル・クロウの書いたものを村上春樹が訳したんですね。ビル・クロウの「バードランド・・・」は面白く読んだので、ひょっとしたら私には面白いかもしれません。

そういえばその「バードランド・・・」も時たま知っている名前が出てきたりするから面白かったのだったかもしれません。

投稿: Picks-Clicks | 2010年4月14日 (水) 23時37分

sunamajiriさん、

この本が単行本として上梓されたのは2005年ですが、その頃にそんな流行りがありましたっけ?

一方、村上春樹自身があとがきの中で「タイトルはデューク・エリントンの名曲のもじりである。」と明言しています。ただし、ここでいう「スイング」とは、「どんな音楽にも通じるグルーブ、あるいはうねりのようなもの」と定義しています。

投稿: Picks-Clicks | 2010年4月14日 (水) 23時52分

バードランド・・は面白かったんですか。アネクドーツは数ページでやめてしまったので、もう少し我慢して読んだら面白いかもしれませんね。バードランドと一緒にまた図書館で借りてみようと思います。

投稿: taki | 2010年4月15日 (木) 00時14分

春樹さんのテーマは依然としてそういう80年代的なものと、そこからの脱出そ読まれるんですが、彼ももちろんそれを熟知した上で書いてるから、もう狙いすぎちゃったなって。

でも時代的にはたしかに、いわば外しちゃってるタイトルかもしれませんね。言葉にも音楽にも意味があるわけではない、というのが80年代に流行っていた記号論ですし、春樹さんはそれを逆手にとって、ずっとやってきてますからねー。本人は狙ったんでしょうねーww

投稿: sunamajiri | 2010年4月20日 (火) 03時21分

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