Jim Hallのバッキングに悩む
「Bossa Antigua」はPaul Desmond(as)とJim Hall(g)が楽しげに演奏しているアルバムで、そのタイトル曲を耳コピした話は以前に紹介した。
その他の曲も多くはPaul Desmondの作曲ということになっているが、たぶんJim Hallとの共作なんじゃないだろうか。全体的に肩の力の抜けたリラックス感あふれるいいアルバムだ。
ちょっと可愛い曲だなと思って「O Gato」耳コピしたりしているうちに、ジム・ホールのギターの凄みに興味を覚えて他の曲もいろいろ探ってみたりしている。
そもそもタイトル曲の「Bossa Antigua」のイントロからしてあれは只者ではない。簡単なアルペジオのように聞こえるが、あれをギターで弾こうととするとなかなか面倒で、普通のアルペジオのように左手でコードを押さえておいて右手はテキトーにパラパラ弾けばいいというものではない。ひょっとしてレギュラー・チューニングじゃないんだろうか?と思ってしまうような指使いなのだ。
イントロに続いてアルトのテーマになってもジム・ホールのバッキングは軽々と弾いているようでなかなかすごいことをしている。こういうのはバッキング苦手な私にとっては良い勉強になる。
「O Gato」のイントロも意表をついた半音下降だし、このアルバムにおけるジム・ホールはなんというか普通のスケールをなし崩し的に潰してしまおうというふうな意識が感じ取れる。なんだかそういう浮遊感がこのアルバムのテーマになっているような気がする。
「Samba Cantina」のイントロはわりと素直なコード進行だが、音使いがいかにもジム・ホール的。こういうのは本当に勉強になるのだが、これをこのまま使ったのではダメで、これを消化して自分のものにしなくてはならない。
(4月23日、「#」が入ってなかったので修正。)
おおおお、と思ったのは「A Ship Without A Sail」のイントロだ。
|Cm7|F7|ときたから|BbM7|Bb6|かと思いきや、半音下がった|Bm7|E7|だ。低音がてっきりBbだと思って音をとってみたらナチュラルBだったので驚いたのだ。このとき、Bは曲のスケール・ノートではないのだがジム・ホールは何気なく使っていて、不自然さを感じさせない。このアルバムにはそういったコンセプトがあちこちに散在しているようで、例えばタイトル・チューンもDbを感じさせるスケールで始まってCっぽいスケールで終わるし、「O Gato」では逆にCっぽく始まってDbで終わっている。
そんな「大人」なギタリスト:ジム・ホールのカッコいい写真を見つけたので最後に掲げておこう。最近の写真らしく、ギターはSadowsky。ワンマイクでコントロールもVとTのみ、トップはあえて5層のメイプル合板で指板上にインレイもないという大人のギターだ。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- フルアコ・エレキギターで悩む(2022.10.03)
- 山崎まさよしの微分音で悩む(2021.08.01)
- ギターのミニチュアで悩む(2021.07.29)
- aikoの微分音に悩む(2021.07.28)
コメント
はじめまして、mazuと申します。おちゃらけで音楽紹介のブログを書いてます。
実はギターおたくでもありまして、このたびのジム・ホールの逝去の報に接し、深い悲しみの中、追悼記事を書かせていただきました。
そしてついジム関連のブログをチェックしていて、貴ブログを拝見させていただき、あらためてジムの偉大さを偲びました。
つたない記事ですが、ぜひお立ち寄り&お立ち聴き(音源のせてます)下さいませ☆
http://ameblo.jp/musiclover2920042/entry-11727486710.html
投稿: mazu | 2013年12月13日 (金) 21時44分