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2010年5月 4日 (火)

残念なギターに悩む

家族と一緒に買い物にいくと、私は主に運転手役で買い物にはあまり興味がない。だから、そのあたりに楽器屋があると私はそこで時間を潰すのだ。物欲しそうに楽器を見ているためか、「弾いてみますか?」と店員さんから声をかけられることも多くて、そうするとお言葉に甘えて弾かせてもらうことになる。

でも、それは時間つぶしのためなので、買う気などはさらさら無くて、ある程度時間が潰れたらなんとかかんとか言い訳を作って逃げ出すことになる。私はこれを「弾き逃げ」と呼んでいる。

HEG120のときは、私がHEG120をさんざん弾き倒していよいよその「弾き逃げ」にかかろうというときに家族が楽器屋に来てしまって「そのギター綺麗ね」「音もいい」「お誕生日だから買っちゃえば?」で、本当にその日が誕生日だったので、買ってしまったのだった。ま、これは安すぎず高すぎずでいい買い物だったと思うけど。

さて、メーカー名も製品名もここではあえて書かないが、昨年の楽器フェアで大変好感を持ったギターがあった。私は今のHistory HEG120でかなり満足しているのでそのギターを欲しいとは思わなかったのだが、HEG120を持っていなかったら大いに心が動いたことと思う。つまりHEG120のようなスリムスタイルのエレガットなのだ。

そのギターが私が時間つぶしに入ったある楽器店に展示されていた。この楽器は昨年の楽器フェアで発表されたものだから、まだ発売されて半年とかそんなもののはずだ。

そのギターをやはり物欲しそうに見てしまっていたのだろうか、店員さんが「弾いてみますか?」と水を向けてくるので、ためらいも無く「お願いします」と食いついてしまう。弦はすべて緩めてあったので、店員さんが手早くチューニングしてくれる。

つなぐアンプは、」本当ならAC60とかAC90とかが良かったのだが、そこにあったAC33という新しい小ぶりなもの。10cmスピーカー2本を装備したコンパクトなものだが、やはりちょっと物足りなかった。

ギターの音自体は、以前にも好感を持ったように、GODINのような重さの無い素直なものだった。しかし、ビビリがあるのだ。高音域のビビリなら、アンプからは聞こえないということもあるのだが、5弦の3~6フレットあたりという大事なところで、ビビリ音もかなり目立つ。

「これはまずいよね」と私が言うものだから、店員さんはいきなり胸ポケットから小さなドライバーを取り出してヘッドのロッド蓋を取り外し、ギターを作業台のところへ持っていって六角レンチでなんとかしようとするのだが、なんだかうまく行かないみたいだ。ロッドがヘッドの奥深くにあって、そこに届くレンチが無いらしい。

「軽い逆反りですから、レンチがあればすぐに治るんですけどね」とおっしゃるのだが、そうかな?弦を緩めたままで半年ほどぶら下げられたくらいで逆反りになっちゃいかんだろう。

店員さんがちょっと席を外した隙に、ネックのぐあいを透かしてみてみる。(これらの写真はすべて私のHEG120。現場で写真を撮れるほどの心臓はないので。)すると、5フレット~7フレットのあたりで逆反りしている感じだ。1弦側も見てみると、やはり同じような場所で、しかし1弦側のほうが反りがきつい。つまりネックが軽くではあるがねじれているのだ。反りのきつい1弦側ではなくて、6弦側(5弦)でビビリが出るのは、低音弦の振幅が大きいからだろう。

Gyakuzori2

店員さんが戻ってこないのをいいことに調子に乗って、さらにいろいろ調べてみる。弦を使ってネックの直線性を見るのだ。

Knatpick写真のように13フレットを押さえて、押さえた位置から見て弦のナット側のを指で弾く。ネックの状態がほんの僅かの順反りであれば、弦はうまく振動して小さな音が鳴るはずだ。実際、この写真を自宅で撮ったとき、HEG120のすべての弦はそういう状態だった。こういう検査方法って、どういう名前がついているのだろうか?

ところが問題のギターでは、6弦は鳴ったものの、5弦が「ベチ」とか言って振動できない状態、4弦は少し鳴ったが、1,2,3、弦はネックに張り付いている。これはいかんよね。

これはこの個体だけの問題かも知れないが、そんな個体が店頭にまで流通してきちゃいけないだろう。メーカーでの検査を通った後にこういうふうになったのかもしれないが、そうだとしたらそれこそ問題で、そんな経年変化が出るようでは安心して使えないということになる。

メーカーはこのネックに自信を持っているようで、限界とも思えるほど弦高を低くしているのだが、それも悪い方向に働いている。あと0.5mm弦高が高かったらビビリを気づくこともなかったかもしれない。

店の保存状態もどうだったんだろなぁ? たかがナイロン弦なんだから、ロッドを信頼して弦を普通に張りっぱなしでよかったと思うのだが(でも店頭に半年置かれて逆反りというのはちょっといただけないぞ)。

そんな状況だったので、戻ってきた店員さんに「このビビリがロッド調整で治るとは思えない」と言ってみると、本気でレンチを探しに行ってしまった。店員さんをしばらく待っていたのだが、そのうちに家族からケータイに電話があって、「買い物が終わった。今から楽器屋へ行く。」とか言うので、「絶対に来てくれるな」と言って、待ち合わせ場所を調整し、別の店員さんにギターを預けて「弾き逃げ」してしまった。

応対してくれた店員さんは親切で実に申し訳なかったのだが、初心者でないことはすぐに分かっただろうから「今はどういうギターをお使いで?」「今のお使いのギターのどこが気に入っている?/気に入らない?」というふうなことを聞いてくれたら、こちらも正直に答えて店員さんもある種のマーケティング情報が入っていいと思うのだが。実際、そういう会話をして、気分よく弾き逃げさせてもらったこともあったのだ。いや、逃げるっていう感じじゃなくて。

で、その店員さんから聞き出した、残念なギターのピックアップは「ハイランダー」だということだった。私はどうもフィッシュマンのピックアップの音が気に入らないのだけれども、ハイランダーは好みみたいだ。覚えておこう。


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コメント

とても楽しく読ませていただきました!!
今度そのギターのメーカーと名前どこの
ものかお教えください!!!!!
僕も楽器店以外での買い物には興味がないので
”弾き逃げ”はよくしますが横浜とか御茶ノ水ですと
いわゆる”ハシゴ”ができますね!!!!!!

投稿: 楽(らく) | 2010年5月 5日 (水) 10時03分

まあ、マーチンやギブソン、テイラー等のハイエンドクラスでも温湿度管理が悪ければネックは動きますからね(笑)逆に外気の影響は受けやすいかも知れません。そのモデルは塗装がラッカーなのでポリ塗装よりも管理がずっとシビアですし、楽器屋さんの管理では至らない事が多々ありますから。ちなみにそのギター、僕のコレクションにありますがアンプに通しては無論、生鳴りやプレイヤビリティ(デザインや質感もね)よくエレガットとしてはかなり秀逸なギターと思いますよ。

投稿: | 2011年1月17日 (月) 20時57分

いいギターだということに異存はありませんが、店頭に置いといたくらいで5弦がビビっちゃいかんでしょう。

塗装がラッカーだろうがシェラックだろうが、それが原因でネックがねじれる訳はないでしょうし。

店頭と言っても、大きなモールの中で外気には触れてないんですからね。

ところで、そのコレクションの中に、HEG120はお持ちでしょうか?

投稿: Picks Clicks | 2011年1月18日 (火) 01時20分

いや失礼、別に悪気はないんですが(笑)ただ、不確定要素が幾つかあるのに判断が早いな(笑)とは思いますが。まあ、仕事以外の場面で議論などする気は毛頭ありませんしお気に障ったのでしたらごめんなさい、というところでしょうか。
HEG120は所有しておりません、先程ネットで検索してみましたがゴダンに似てますね、そういえば見かけた事があるような...ヒストリーならフジゲン製でしょうからしっかり造ってあるのかな、という印象です。

投稿: | 2011年1月23日 (日) 00時24分

不確定要素ねぇ? エレガットだからブリッジ側の調整はないし、弦も普通の弦を普通に調弦しているだけだし、ビビる原因を他には思いつかないですね。

で、ネックを透かしてみたらねじれていたわけなんで。

HEG120はフジゲン製のようです。GODINとは音が違います。GODINの音は私には重く聞こえるんです。

構造上の違いはGODINと違ってサドルが弦ごとに分かれていることで、ピックアップは共通なのかもしれませんが、他の弦の振動と物理的に混じらないのですっきりした音になっているのではないか、と考える次第。

投稿: Picks Clicks | 2011年1月26日 (水) 17時01分

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