« 海洋の神秘に悩む | トップページ | 念力マウスで悩む »

2010年6月23日 (水)

擬似3Dで悩む

映画「不思議の国のアリス(ティム・バートン版)」は擬似3D映画であったらしい。撮影当初から3D撮影の技術を使おうと思えば使えたのに、監督があまり3D映画に興味がなかったので普通に2Dで撮ったが、あとで「3Dにしないと映画がヒットしない」とかいう議論になって2D撮影したものを3D映画に変換したらしい。インタビューで監督は「あとから3D映画にできるような形で2Dで撮影した」と言っているが、たぶんそれは営業用の嘘だろう。

で、2Dで撮影した動画をあとから3Dにするというのは一体どういう事なのか?

どうもこういう事らしい。

Pseudo3d

ヘタクソな絵で申し訳ないが、つまり擬似3D(2Dから変換した3D動画)というのは、画面の中から人物などの輪郭を切り出し、その画像が手前に見えるように後ろの画像を合成するのだ。「アリス」の場合、背景の殆どがCGだから、あとから視差のある画像を作ることも何でもなかったのだろう。どうせ実写した部分と合成するのだから、その時点で擬似3Dにできる。

だから、なんだか変な感じだったんだな。「AVATAR」ほどの迫力もなかった代わりに疲れることもなかった。まぁ3Dっていうのはそんなもんか。

ところで音の世界でも3Dという話があるということをお友達のtakiさんが書いていたので、その件をフォロウ。普通のステレオでは左右の音の大小で音源の位置が決まると思っていたがそうでもないようで、左右の音量が同じでも時間差があると定位が変わるという実験をしてみた。

ヘッドフォンで聞くと音が動きます。

左右の耳の間隔は約18cmで、これは音速340m/Secを考えると音が約0.5mSに伝わる距離だから、左右の音を0.1mSから0.1mSずつ最大0.5mS(2000分の1秒)まで送らせてみたのだ。左右の信号の音量は変えていない。


ステレオの左右の信号をそれぞれL,Rとすると、例えばFM放送では両者を加算したL+Rの信号を主チャンネルで送り、差信号L-Rをサブチャンネルで送っている。

(L+R)+(L-R) → 2L

(L+R)-(L-R) → 2R

だからステレオに対応していない受信機でステレオ放送を聞いても左右の音が聞こえるので違和感がなく、ステレオに対応した受信機ならばサブチャネルのL-R信号を使ってLとRの信号を復調できる。TVのステレオ放送もサブチャネルの送りかたが違うだろうがだいたいこんな感じで送っているはずだ。5.1chとかいうと使っている帯域が違うのでまた別の話なんだけど。

で、この差信号をちょっと多めにしてやるとどうなるか。

(L+R)+(L-R)*1.5 → 2.5L-0.5R

(L+R)-(L-R)*1.5 → 2.5R-0.5L

左右のチャンネルにはそれぞれ逆のチャンネルの信号がマイナスになって入って来ているので、右の音はより右らしく(左っぽくなく)、左のお供より左らしく聞こえるかもしれない。

これは擬似4CHとか言って、ステレオ信号から後ろの左右信号を生成するのに使われていたりする。

たぶんこのL-Rを活用する技術と、先述の時間差を使うステレオ定位の方法を使うと、2次元的な広がりの中ではかなりの自由度でステレオ定位を決められるような気がする。しかし、これではまだ3D音響にはならない。

音を3Dにするには、さらに上下の感覚を入れないといけない。しかし、人間の耳は二つしかないから、信号をどういじっても音の上下感というのは実現がむつかしそうな気がする。

上下の間隔はおそらく耳殻の反射による周波数特製の変化で実現しているのではないだろうか。例えば、高域の音を少し削ると、耳殻に遮られた後ろから聞こえるように思うのではないだろうか?あ、上下じゃないけど。なんだかそういうことを細かくチューニングして行くと、3D音響というのも実現可能なのかもしれない。

|

« 海洋の神秘に悩む | トップページ | 念力マウスで悩む »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

微妙に動いていますね。
耳の形も立体的に音をとらえるために複雑な形状をしているのではないかと思います。目と同様、耳もあちこちから入ってくる複雑な音を解析して3次元的に把握しているんでしょう。

投稿: taki | 2010年6月26日 (土) 00時07分

時間的な遅れによる左右定位と、左右の音量差による左右定位を組み合わせると、いろいろ面白いことも出来そうです。例えば、時間差で右へ持っていったものを音量差で左へ戻すとどうなるか、とか。

投稿: Picks-Clicks | 2010年6月26日 (土) 11時58分

時間軸を正確に表現するタイムドメインスピーカーで聴くと、いいですよ。
左右だけのステレオじゃなく、奥行きも感じられます。
takiさんのヘージの音、面白いですね(^^)
参考になりました。
ありがとうございます。

投稿: tamla3 | 2010年12月21日 (火) 19時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/214007/48703073

この記事へのトラックバック一覧です: 擬似3Dで悩む:

« 海洋の神秘に悩む | トップページ | 念力マウスで悩む »