城と砦で悩む
ドイツっていう国は、近代的工業の国というイメージが強いが、実は農業も盛んだということは今回の旅行でガイドさんに教えられたことだった。総面積では日本とそんなに変わらない国土だが、日本と違って圧倒的に平野が多いので、ほぼ全面的に農業を展開できるわけだ。
そんなドイツのロマンチック街道をバスで走っていると、道路の周りの畑がうねっているのが異様だ。日本では農地といえばまず水田にすることを考えるからか、農地といえば完全に水平になっている。でもドイツではそんなこときにしてなくて、元からの地形のまま麦とか、ええと、麦とか、ぶどうとか?そういうものをどんどん植えていくのだろう。適当な写真がないのが残念だが、WindowsXpの「Meadow」という壁紙みたいな感じを思い浮かべていただければいいんじゃないか、と。
ドイツの地名には「~ブルグ」とか「~ベルグ」というのが多いが、「~ブルグ(burg)」というのは砦を表しているのだ、ということは昔のドイツ出張の時に教わった。一方「~ベルグ」は「高地」くらいの意味らしい。出張の時はこのヴァッサバーグ(WasserBurg)というところの近くだったのだが、Wasser(水)のBurg(砦)とはよく言ったもので、この街はイン川を自然の城壁として成立していたわけだ。
そんな風にしてみると、中世のヨーロッパというのはなるほど物騒なところで、砦があってこそ街が成立する、と。日本の戦国時代もそんなふうだったのかも知れないが、日本と欧米を「農耕民族と狩猟民族」というふうに対比していたのだが、それよりももっと厳しい環境だったのではないか、という気になってくる。
ショーン・コネリーがロビン・フッドを演じた映画を見ていたら、ロビン・フッドとその仲間たちはそういった砦に属すること無く森の中にコミュニティを作って生活しているのだが、こういう生活というのはまさに「自衛」ということを第一に考えなくてはいけないわけで、そりゃ生き方としてもアグレッシブにならざるを得ないのだろうなぁ、と。
ライン下りのところでも書いたかもしれないけれども、ライン川の川べりには数百mおきに城があって、これは実質的には関所だったらしい。ライン川を行き来する船を盗賊から守ってやるから通行税を払いなさい、という盗賊と表裏一体な関係の関所が延々と続いているわけで、こういう油断も隙もないのがヨーロッパだったと考えて、ほぼ間違いないのだろう。
ライン川の川べりにある城はそういった料金所みたいなものなのだが、それがさらに戦闘的になると砦に近いものとなる。一方では貴族(イコール武力で地域を守る役割を担っている武将)が住処とするものがあって、こちらはシュロス(Schross)と呼ばれたりするらしい。
こういった城を維持するのは今ではけっこう大変なことらしく、例えば落ち葉が溜まっているとかでも叱られたりするので、持ち主はそれぞれその費用捻出にやっきとなっているらしい。なかには所有権が放棄されたために廃墟となってしまっているようなところもあるが、それがまた公園のようになっていたりしている。そんな所へ無料で入っていいものかとも思うのだが、平気みたいだった。
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