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2010年9月11日 (土)

冷戦時代の裏話に悩む

「事実は小説より奇なり」と言うが、へぇ~ほんとにそんなことがあったんだ~っていう話が満載。おそらくはアメリカにおける情報公開からいろいろな秘話を掘り出してきたのだろうが、ソビエト側からの情報もあるので、これは大変な力作だと思う。潜水艦マニアには必読です。

Submarinecoldwar

冷戦時代にソビエト上層部はアメリカが核攻撃を仕掛けて来ると本気で思い込んでいて、その対抗策として潜水艦に核ミサイルを積んで報復攻撃ができるように準備していた。もちろん、アメリカも同様の考えを持っていて、核ミサイルと積んだ潜水艦を原子力で動かして、数カ月間潜りっぱなしという作戦行動を続けていたのだ。原子力潜水艦は燃料の補給がいらないだけでなく、酸素と水も内部で作り出すことができるので、食事さえできればそんな作戦行動が可能だったのだ。

潜水艦の静粛性という点において、アメリカ原子力潜水艦はソビエトの潜水艦を遥かに上回っており、冷戦時代のほとんどの時期においてあらゆるソビエト潜水艦を追尾できていた。ソビエトはその事実に全く気がついていなかったので、急な操船によって衝突事故が何度か起きた。衝突事故が怒ったときにお互いに会いて潜水艦が沈没したと思い込んで、冷戦が終わってからお互いの艦長が顔を合わせたこともあったらしい。

アメリカはさらに潜水艦による諜報活動を進めていって、ついにはソビエトの海底ケーブルから電話の盗聴を成功させていた。ソビエトは当初それには全く気がついて

そういうアメリカ優位の潜水艦ゲームだったのだが、その優位性を揺るがしたのはソビエトのスパイと東芝子会社による工作機械の密輸出だった。スパイの活動によってソビエトはアメリカが数百億ドルかけて培った優位性を10九ドル足らずで手に入れてしまい、また東芝子会社の工作機械によって潜水艦の静粛性を格段に向上させてしまったのだった。

冷戦の集結にも潜水艦は大きな役割を果たしたようで、両国の軍部のいろいろな階級同士の会合によって徐々にお互いの疑心暗鬼が緩んでいくさまは、ええと簡単にいうと「面白かった」。

冷戦集結の最後の決断にはなんとサダム・フセインが共通の敵として現れたことが関係していたというのも興味深い。

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コメント

この本、読んでいないので何とも言えないのですが…。

wikipedia日本語版の「東芝機械ココム違反事件」の項目に
よると、件の東芝子会社による不正輸出と「ソ連原潜静粛化
との関連性」について言及されていて、「ソ連潜水艦の静粛性
が向上した原因が実際に東芝機械が輸出した工作機械であると
いうアメリカ政府の主張については否定的に見る者も多い」と
いう記述があり、不正輸出事件以前にソ連はスクリューの静粛性
の問題をある程度解決していたようなことも書かれています。
真相はどうなんでしょうね?

投稿: Atsushi | 2010年9月11日 (土) 23時51分

Wikiには、

>ソ連崩壊による情報公開により、輸出された機械は潜水艦の静粛性改善には無関係であった事が明らかにされた。旧ソ連の潜水艦の静粛性が改良されたのは、当時のソ連海軍がアメリカ海軍の潜水艦探知能力を過小評価していた事を、ソ連の情報機関が指摘したため、と言う単純な理由が原因であった。工作機械の納入先も明らかになっており、プロペラとは無関係な部署であることもはっきりしている。

と書かれていますが、出展が明らかでないためにまだ確定というわけではないようですね。

>東芝機械は1982年12月から1984年にかけて、ソビエト連邦技術機械輸入公団へ『工作機械』8台と当該工作機械を制御するためのNC装置及びソフトウェアを輸出した。

ソビエトのスパイ、John A. Walkerがアメリカで逮捕されたのが1985年の5月20日で、ソビエトの静粛な潜水艦「アクラ型」が就航したのが1986年ですから、さきの引用記事のように言い切るのはちょっとむつかしそうですね。

投稿: Picks Clicks | 2010年9月12日 (日) 20時27分

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