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2010年10月 5日 (火)

刑事事件の有罪率で悩む

日本では刑事事件の99.9%が有罪となるのだそうだ。そのために、裁判官は「無罪」を宣告することに大きなストレスを負っている。刑事事件、つまり検察が起訴した場合にはその有罪性に相当な自信をもっており、それに対して無罪を言い渡すのは検察に対する大きな挑戦であると捉えられているらしい。

これは良いことではないだろう。だって、裁判官の存在価値がないからだ。せっかくの裁判官というものがありながら、その存在価値がなきものにされているのだから。言い方を変えれば裁判官ではなくて検察がすでに人を裁いているということだから。

大阪地裁の証拠隠滅事件も、「検察が起訴すればほぼ有罪になる」ということが「起訴するからには有罪にしなければならない」ということから端を発した暴走だったわけで。

そこへ持ってきて今回の「検察審査会」の「小沢起訴すべし」の判定だ。検察は裁判で有罪にできる100%の自信があったときに初めて起訴するが、検察審査会はいわば素人の感覚で「有罪の可能性があれば起訴すべし」という判定を下した。これは私をも含めて世間一般の感覚としては納得出来るものだと思う。

しかし、起訴して裁判にもちこんでもたぶん有罪にはならないだろう。新しい証拠が出たわけでもないし、なによりも起訴する主体が検察ではなくて「裁判所が選んだ弁護士」という、なんだか変な状況なので検察以上の力で裁判をリードできるわけでもないと思う。小沢の離党が議論されているけれども、そんな必要はないんじゃないかな。

検察審査会のこの判定に対して、検察側は「じゃぁ、起訴して無罪になったらどうするんだ?」というものであるらしい。でもこれはやはりおかしいだろう。有罪無罪を決めるのは検察ではなくて裁判所なのだから、検察が有罪判決に対して100%の自信を持つ必要はない。

検察の役割は、事実関係を精査して証拠を揃え、有罪と認められる十分な疑い(70%くらい?)があれば起訴する、ということなんじゃないだろうか。

刑事事件の有罪率99.9%ということについて、検察だけでなくて司法関係全般でもう一度考え直す必要があるのではないだろうか。

それが「有罪率は50%がよい」、「いや80%は必要だ」なんていう議論にならないことを望みたい。もっと根源的な問題があるはずだから。

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