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2010年11月 7日 (日)

音楽の天分に悩む

Bob_james最近は車を運転するときも、歩いているときにも、音楽聴くならBob JamesかFourPlayかRitenourか、ってくらいで、FourPlayということはつまりBob JamesとRitenourだから(ギターがLarry Carltonに代わってからのはあまり聞かない)、要するにこの二人の音楽をさんざん聴いているということになる。

二人と言っても、実質的にはBob Jamesがこれらの音楽を支配しているのだ。

で、なんとなく聞き流していた曲の中に、ハンマードリルの音が使われていて、「ああ、ハンマードリルね」というくらいに聞き流していたのだが、考えてみると、これはすごいことである。タンバリンでもこういうふうな音を出せるかも知れないけれども、これはタンバリンじゃないだろう。

「StopIt30.mp3」をダウンロード
Bob Jamesのアルバム「Grand Piano Canyon」より「...Stop That!」の一部。音質を下げています。

ハンマードリルというのは道路工事なんかでアスファルトを掘り返すのに使われる「ダダダダッ」ってやつだ。私は学生時代にアルバイトで変電所を作っていたことがあって、その時にハンマードリルを使って壁に配線用の穴をあけたりしたことがある。

安物の解説者なら「Bob Jamesがインダストリアル・ミュージックを取り入れた」とか言いそうだが、これはそういうものではないと思う。

インダストリアル・ミュージックというのは、ノイズ系とも言われていて、ドイツで盛んな音楽、というか、つまり、工場で機械たちが立てる音を集めて音楽と称するというなかなかシュールなものなのだ。同僚にそれのファンがいて、CDを貸してもらったりしたが「がったんごっとん、がったんごっとん、ぴっ、ぴー、どんがらがっしゃんど~ん」と書くとリズミカルに聞こえるかも知れないが、リズミカルというのでもなく、グアシャグアシャとした音の連なりが続くのを45分ほど聞いていたわけだが。

なんでこれをすごいと思ったかというと、これが単なる思いつきで挿入されているのではないのだろうと思うからだ。

つまり、Bob Jamesには初めからこの曲のイメージがあって、「ここにはこういう音を入れたい」ということでハンマードリルが入っているのだろうと思うのだ。

そういうふうに考えると。このBob Jamesの作っている音楽というのは単なるジャズじゃなくてちゃんとした「作品」となっていることに遅まきながら気がつく。「テーマ演奏してアドリブやって、エンディングテーマやって、ハイおしまい」というのはセッションとしてはそれでいいのだけれども、作品としては全く不完全というか、無責任な感じがする。

私が何に感心しているのかというと、つまり、「音楽を作る前から全体としてイメージ出来ている」というところなのだ。

例えば私が音楽を作ろうとすると、まずコードとメロディを作り(どちらが先かというのはこの際関係ない)、それにドラムとベースを付けて必要ならオブリガートを付けたりしてあとはアドリブパートをテキトーに付けてしまうということになる。つまり、一時にはひとつのパートのことしか考えられないので、全体を前もって把握するということはできていないのだ。

これは前にも書いたことがあるが、、「複数のメロディパートを頭の中でシミュレーションする」ということが出来ないとまず無理。聞き覚えた物なら可能かもしれないが、複数のメロディパートを頭の中で創造するなんて、もうほんとにまず無理。これはやっぱり天分というものでしょう。

私がBob Jamesにヤられちゃったのは昔聞いたこの曲だ。

「FeelLike60sec.mp3」をダウンロード
Bob James 「One」より「Feel Like Making Love」。音質は劣化させています。

このイントロもすごいが、メロディに入ってからの「アコースティックギターのコードストロークをバックにエレピがメロディを取る」というのにはボー然としてしまった。ほんとにこういうコードストロークをやってみたいと思って真似しようとしてみたがうまく行かなかった。メロディの後半ではオブリガートにアルトフルートが出てきて、ほんとにカッコイイ!。ここには収録しなかったが、ピアノソロになってギターがさらに熱を帯びたバッキングをしていて、これはカッコいいよ。

イントロの部分のコードを荒っぽくとってみたのがこんな感じ。

|| Fm7|D7b5|Cm7|A7|
| C7|B7sus4|E7|F#7 ||

Bob Jamesは有名なジャズのレコードプロデューサー、クリード・テイラーのアシスタントを長年務めていたらしい。クリード・テイラーから「あのドラムを何とかしろ」とか言われて、クリード・テイラーの代わりにドラマーに注意を与えに行くなんてことをやらされていたのが嫌だったとインタビューで話していた。こんな人でも下積みというのはあったのだな。

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