新しいハーモニカで悩む
Chrometta14から始めたクロマティック・ハーモニカだったが、この機種はなかなかに難しい物で、なんていうかリードの調整が追い込まれていなくて、鳴る音と鳴りにくい音とがある。バルブもぴったりハマっているのとハマっていないのとがあったりして、要するに音の一つ一つに個性がああると言えば言えるのだが、要するに演奏するにはなかなかむつかしい、と。
いろいろやってみたが、結局のところリードのギャップが一定していないのだから仕方が無いのかな、ということでクロメッタは諦めて新しいのを買うことにした。
で、HOHNERの270を買ったのが、実を言うと2010年の夏だった。キーはもちろんCだが、Tenorを買ったのだった。Tenorはふつうの270Cよりも1オクターブ低いのだ。
クロマティックのプロは4オクターブのものを使うようだが、4オクターブはいらないかなと思って3オクターブの270TenorCにした。一番上のオクターブの音がなんだか嫌だったのだ。
で、たしか7月頃に270を買って、それでChrometta14の方を思い切っていろいろいじれるようになったわけだ。バルブの張替えなんかもこのころになってやっと出来るようになった。
270はChromettaとちがって出来が良かった。さすがはドイツ製だ(Chromettaは中国製)。でもなぁ、やっぱり立ち上がりの遅い音があるんだなぁ。真ん中のオクターブのDが遅くてイライラする。それにやはり低音というのはどうしても立ち上がりが遅くなるものらしい。とか思いつつも、Chromettaの時よりもイライラ感は少なくて、練習量も増えたのだった。
ハーモニカでの演奏は、ギターでの演奏と違って出している音の音名を常に意識していないと思ったようには吹けなくなる。ギターでもそうでないといけないとは思うのだが、慣れすぎているというのか、ギターを弾いているときにはほとんど音名は意識していないので、そこんとこはどうなんだろう? ひょっとして音名を意識するような楽器もやってみたほうがいいのかな、というのもハーモニカに手を出してみたきっかけになっているのだが、これがまさにその通りで、楽しく吹いているとついついどこを吹いているのやらわからなくなって、おかしなことになってしまう。
これはやはり常にどこを吹いているのかということを意識しつつ吹くということを延々やって身につけないのだと思う。そう思ってChromettaのときにはマイスピースを削って口で吹いている位置を分かるようにしてみたのだが、これはかえってよくなかったみたいだった。
なので、270にはそういう仕掛けはしていない。吹く前にはじっとにらんで位置を確かめてから吹く。
てなことをやっていたのだが、秋口ごろにある人のblogで「バルブレス・ハーモニカ」というものがあることを知った。これから寒くなって、ハーモニカを吹くにはうっとおしい季節なのだ。というのは吹く息がハーモニカの中で結露して、バルブが貼りつくのだ。バルブが張り付くと、音が出にくくなったり、吹く音だけ強くなったりして具合が悪い(吸う音ではバルブが張り付くことはないので)。だから、冬場に練習するときにはハーモニカを懐に入れるとか手で握りしめるとかして温めてから吹かないといけない。ハーモニカというのはそんなデリケートな楽器なのだ。
だから、クロマティック・ハーモニカでバルブレスというのは大変にありがたい。どういう仕組みになっているのかはそのBLOGをではよくわからなかったのだが、私が考えていたような仕掛けではなかったようだった。
バルブレス・ハーモニカはSeydelというドイツのメーカーが作っている。値段を調べてみると65ユーロとかいうことなので、これはもう一本買ってもいいかな、と思って、結局通販で買ってしまった。送料は15ユーロだった。ユーロはその時111円だったので9000円くらいかな。
バルブレスの仕組みは単にバルブがないだけ、という簡単なものだった。吹音と吸音のリードが別室になっているのだが、パスカルの原理によって圧力は均等にかかるので、同室でもたいして変わらないのではないかと思う。
吹いてみると、たしかにバルブがない分、盛大に息が漏れる。大きな音は出せない。しかし、リードの調整がよく出来ているのか、リードによって音量が変わることもなく、かなりいい感じだ。練習用としては音が小さいのもたいして影響しないし、息が漏れるのも一定であるのならむしろ練習になる。音域が270TenorCに比べるとオクターブ高いのだが、吹いているとこれでもいいと思うようになってきた。ハーモニカの低音もいいけれども、腕が悪いのかもしれないがレスポンスが悪いのにはてこずってしまう。
というわけで、このSeydelを買ってからはこればっかり吹いている。25日には人前でも吹いてきた。吹く前に温めなくてもよいというのが、出先で吹くにも手軽で便利なのだ。
Seydelのハーモニカでひとつ気になったのが、最高音がC#であって、HohnerのようにDではないということだ。これはリードを削ってDがにしたいところだが、まぁそのうちに、ということで。
こちらの写真が3本のハーモニカ、上からHohnerのChrometta14,Hohner270TenorC、SeydelのStandard。
270(上)とSeydelのカバーを外したところ。単にバルブがないだけのように見える。
ところで、このSeydel、リードの調整具合がいいので、これにバルブを貼ったらいい感じになるのではないか、と思っている。アメリカのサイトで65ドルで売っているところがあるので、もう一本買ってもいいし、買わなくても暖かくなったら今持っているSeydelにバルブを貼ってみてもいいかな、と思う。アメリカのサイトではどういうわけか日本へは送ってくれないところがあるので、そのへんも確かめないといけないのだが。
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