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2011年1月30日 (日)

Joaoのバチーダで悩む

Joao(本当は「a」の上に「~」が付く;ポルトガル語なので)と書いて「ジョアン」と読む。

Joao2ジョアン・ジルベルトはアストラッド・ジルベルトのご主人だ、というのが学生時代から社会人になってしばらくまでの私の認識だった。「有名人の亭主ってのは居心地悪いんだろうなぁ」とか思っていたのだ。「ボサノヴァの歴史」という本を読むまで知らなかった。お恥ずかしい限りである。

私の認識は置いといて、ジョアン・ジルベルトは事実上ボサノバの創設者である。ボサノバの作曲家としてアントニオ・カルロス・ジョビンの名前がよく挙げられて、あたかもボサノバの中心人物のように言われることがあるが、ボサノバ原理主義者に言わせると、ジョアン・ジルベルトのみが真のボサノバであり、ジョビンもその追随者のひとりに過ぎないというのだ。

まぁ、原理主義者というのは「なんにもわかってないので、とりあえず古い文献に書いてあることのみを信じる」ということだから無視しよう。


昨年末にNHKのハイビジョンで過去に放映した番組の再放送をやっていて、紀行ものはいろいろ録画したのだが、音楽系はちょっとチェックしきれていなかった。年末の或る日、たまたまハイビジョン放送をみていたら、ジョアンがどうとか言っていたので慌てて途中から録画した。「世界を変えた一曲」とかいうシリーズで、なんとその回は「イパネマの娘」だったのだった。全くこういうのの検索性が良くないから見逃すところだったじゃないか。

この番組は途中からしか録画できなかったのだが、なかなか力の入った番組で、私が見始めたのはジョアンがリオから田舎に引っ込んで自分一人で悶々と「なにか新しいもの」を探っていた頃の話だった。当時ジョアンが身を寄せていた友達がインタビューに応えて当時のジョアンのことを語っていた。スタジオもない田舎だから、ジョアンは風呂にこもってギターを弾き続けていたということだ。

その後、「何か」をつかんだジョアンはリオヘ戻り、リオで同じように「なにか新しいもの」を模索していたカルロス・リラやホベルト・メネスカルなどと合流し、さらには先述ののジョビンをも巻き込んでボサノバが実体化していくことになる。

で、その話のなかでメネスカルがインタビューに応えて「ジョアンがこんなふうにギターを弾いていたんだ。一体どうやっているんだろうと思って。みんなで目を凝らしてみていたよ。」とジョアンのバチーダ(ボサノバのギター奏法)を実際にやってみるという場面があった。

アナログTVをアナログで録画したのだったら、こんなのチョイチョイで動画までキャプチャ出来るのだが、デジタル放送なのでそういう事はできない。なので、音だけをボイスレコーダでキャプチャしてみた。あ、あくまでもこれは引用です、引用。

 メネスカルによるジョアンのバチータの解説。

まだちゃんと音を採譜まで出来ていないのだが、裏のタイミングで親指でルートの半音上の音を引っ掛けてる? 動画で見ても、カメラの角度がよくなくて、メネスカルがどうやって弾いているのかよくわからないのだなぁ。

ジョアンのバチーダというのはもう研究されつくしていて、こんなことはもう常識なのかもしれないが、実際にブラジル人がジョアンのバチーダを解説するというのはめったにないと思うので紹介する次第。

この番組では、さらに例の「ゲッツ/ジルベルトにおけるイパネマの娘録音秘話」を検証していて、プロデューサーであるクリード・テイラーやベースを弾いていたセバスチャン・ネットなどもインタビューに登場して当時の状況を再現している。実際に使われたテープをも検証して、アストラッドの声がそれだけ別チャンネルに録音されていて、いつでも削除可能だったということも検証されている。

ジョアンはさすがに気難しい人だったらしく、あのスタン・ゲッツに堂々と何度もダメ出しをしていらつかせたらしい。

クリード・テイラーは初めから「歌は英語のほうがいい」というスタンスだったのだが、ジョアンは「ボサノバはポルトガル語でなくちゃ」というスタンスだった。そこへアストラッドが「英語で歌いたい」とか言い出したので、クリード・テイラーは大乗り気だったから、発音やイントネーションをなんども修正して録音したらしい。

ジョアンはアストラッドが歌うことには反対だったが、「後で消せばいいから」と言われてしぶしぶ承諾したらしい。(しかし、クリード・テイラーは「いや、そんな話は聞いてないね」と言っている。現場で通訳の役目をしていたジョビンが通訳しなかったらしい。)

後でシングルカットされた「イパネマの娘」にはジョアンの歌は入っておらず、アストラッドの歌がメインだったのだ。

しかし、私が初めて自分のレコードで聞いた「イパネマ」はヴァイブのイントロで始まるもので、このヴァイブはGary Burtonのはずだから、これはまたあとで別途録音されたものなのだろうなぁ。

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コメント

え? 学生時代も奥さんだと思ってたんですか?あの頃はとっくに別れてたんですよね。そんな話はしなかったのかな。
イパネマの件、アメリカでは、アストラッドとジョアンが一緒に歌っているバージョンのジョアンをカットして売り出したらしいです。で、ジョアンが激怒したとか。
日本でのバートンのバックが入ったバージョンは、映画の一場面ですね。銀行員のようなバートンがYouTubeで拝めます。
http://www.youtube.com/watch?v=p5Z11obllEQ

投稿: taki | 2011年2月 6日 (日) 01時52分

このYouTube映像ではイパネマだけで終わっていますね。確かこの後にSweet Rainの出だしを演奏していて、それもアップされていたはずなんですが見つけられませんでした。

投稿: taki | 2011年2月 6日 (日) 01時54分

学生の頃どう認識していたか、ということは今となっては謎ですが、いつ離婚したのかということは今もよくわかってないです。アストラッドってまだ生きてます?

この動画はみたことがあります。同じ編成でナイトクラブみたいなところで演奏しているのをやはり映画で見たことがあるのですが、これがいまだに詳細不明です。思い違いかもしれないが、たしかに見たように思うんだけどなぁ。「Getz au GoGo」のジャケット写真から勝手に妄想しているのかもしれません。

投稿: Picks-Clicks | 2011年2月 6日 (日) 17時35分

メネスカルの音源 とても 有り難かったです。自分は ジョアンが大好きで いつも 正しいか?間違いか?自分の演奏に確信が持てなかったのですがメネスカルの解説で 確信出来ました。ありがとうございます。ご無理がなければ NHKで放送された映像を譲って頂くことは 出来ないでしょうか。

投稿: ジョアン | 2011年3月21日 (月) 22時13分

私的に利用するために録画したものですから、申し訳ありませんがお譲りするわけにはいきません。ごめんなさい。

投稿: Picks-Clicks | 2011年3月22日 (火) 18時13分

今更ですが、Joanとか昔の音源やらを検索していたら、イパネマの録音について、Astrudが全然違うことをインタビューでいっているというのがありました。
Astrudが歌うことを提案したのはJoanだということです。

日本語に訳してくれていいるサイト。頁の一番下にありますが、途中の話も面白いです。

http://seiunsha-co.com/%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%9E%E3%81%AE%E5%A8%98-%E5%92%8C%E8%A8%B3/

出典はこちらみたいです。一応、Astrudのオフィシャルサイトとなってますが、そのわりにデザインがショボイ。

http://www.astrudgilberto.com/interview.htm

調べるきっかけは、O Grande AmorやDesafinadoがオリジナルと違うコードやメロディーで今は演奏されているのに最近気がついて、検索しててみつけました。そのうちBlogネタにしようかと思ってます。

投稿: taki | 2016年12月14日 (水) 10時34分

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