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2011年2月 6日 (日)

Bill EvansのBossa Novaで悩む

Bill Evansは偉大なジャズピアニストだ。偉大なジャズピアニストは他にもたくさんいらっしゃるが、私が特にBill Evansが好きなのは彼が変革者であるからだ。なんだかんだ言ってもLPや所有するCDなどのアルバムではBill Evansのが一番多いのではないだろうか。数えたことないけど。

そんな偉大なジャズピアニストだから、ボサノバなんていう音楽ファンに迎合する音楽はやらないのかと思っていたが、これがどっこいやっているもんだなぁという話。

こちらはビル・エヴァンスが初めて電気ピアノを弾いたので非難轟々だった「From Left To Right」というアルバムから。このアルバムには賛否両論渦巻いたらしいので私も長らく敬遠していたのだが、今世紀に入ってから買ってみたら、そんなに悪くないんじゃないかと思った。フェンダーローズの音がステレオで左右に飛びまわるのは勘弁して欲しいが、それでもこれを聞きながら恵比寿あたりを歩いていたら、気持よくて気が遠くなりそうだったことがあった。

そんなアルバムの中に「The Dolphin」が収録されている。それも「Before」と「After」の二本立てだ。ここで聞いていただけるのは「After」のほうで、オリジナル録音に加えてパーカッションやストリングス、さらにエレピのソロではフルートなどが重ねられている(ソロの部分はここでは聞けません)。オリジナルでは控えめに入っていたギターもAfterでは音量が上がっている。しっかりと聴きこんでみると、このアルバムのほとんどの曲でギターが隠し味的に入っているのだった。

このギターを弾いているのがなんとSam Brownだ。と言ってもあんまり知られていない人なんだが、この人はガットギターも弾くけれども本来はテレキャスターなんぞをキャインキャインと弾くのが得意な人なんじゃないかと思う。Gary BurtonとかJeremy Steigなんかと一緒に録音したアルバムを何枚か持っている。特にJeremy Steigと共演したアルバムは・・・って話はまぁいいか。

エバンスのボサノバは、なんだかまだフォービートの硬さが残っているというか、それよりも「ええいボサノバかっ、これでどうだっ!」というふうな何か気負いのようなものを感じる。

このアルバム、てっきりクリード・テイラーのプロデュースだと思ってたら、ヘレン・キーン女史なのだな。

で、このドルフィンという曲なのだが、タンバ・トリオ(後にメンバーが一人増えてTAMBA4となる)というグループの中心人物であったルイス・エサ(Luiz Eca)の作曲になる。この人とそのグループはそれなりに有名なのだが、ボサノバの主流からはちょっと外れた感じになる。そんな人の作った曲なので、この曲はボサノバ通にもあんまり知られていない。むしろビル・エバンスが演奏したことでジャズの方で有名になったりしている。REALBOOKにもこの曲はビル・エヴァンスの演奏から採譜したものが掲載されているくらいだ。

Luiz Ecaのことを書きだすとこれまたキリがないが、すでに成功していたグループをほったらかしにしてオーストラリアに音楽の勉強に行ってしまったりしたらしい。そこではなんとあのフリードリッヒ・グルダとも机を並べていたらしい。

そんなLuiz Ecaが作曲した曲を自ら演奏しているのがこれだ。これが本家の「ドルフィン」。アドリブもなく、ワンコーラスをゆったりと演奏しただけで終わってしまう(イントロを削っています)。

というわけで、BILL EVANSが珍しくボサノバを演奏している音源を持っていたという話を書くにあたって、他にもあるんじゃないかと検索してみると「Eloquence」というアルバムの中でJobimの「Saudade De Brasil」という曲を演奏しているということがわかった。これはまだ聞いたことがない。

さらに調べてみると、なんとLuiz Ecaと共演しているアルバムがあった。「Piano Four Hands」というそのアルバムではDuo形式でボサノバの曲もいろいろやっているではないか。なんだ、ボサノバを避けていたわけではなかったのだな。これは買ってみないといけないな。

ということで、またエバンスのアルバムが増えてしまうのであった。

Evanseca

2月10日追記:

このCDは2010年4月にリリースされたものらしい。道理でエバンスのディスコグラフィーに載っていないわけだ。

ここに詳細なレビューがあって、なるほどと思わせる。
http://www.amazon.com/Piano-Four-Hands-Bill-Evans/dp/B003CTCGBW

ざっと訳してみるとこんな感じだ。

このブートレグ録音のタイトルは「連弾;Piano four hands」となっていて、Luiz Ecaの名前を前面にだしてはいないけれども、幸運なことにほとんどのトラックはエバンスとマーク・ジョンソンのデュオかエバンスのソロである。Luiz Ecaは"Bill's Hit Tune"、 "Corcovado"、"Stella By Starlight"で参加する。(ステラでエバンスは「私が下を弾く」とEcaに言ってコンピングを始め、Ecaは右手のパートを弾き始める)

Waveは女性ボーカリストLeny AndradeがCidinhoというピアニストとMarc Johnsonのバックアップで歌う。つづいてはCidinhoとマークジョンソンがデュオでChorinho Pra Ele"を演奏する。さらに、"E Nada Mais"というサンバをCidinhoとEcaのデュオで演奏する。

このCDは1979年9月29日にSala Cecilia Meirellesでのエバンスのコンサート(with Marc Johnson and Joe LaBarbera)のあと、リオデジャネイロのChiko's Barでで録音されたものである。音質はブートレグとしては非常に良く、エバンスの演奏はすばらしい。

録音は明らかに2セットで、エバンスはいくつかの曲を2回演奏している。それらは全て素晴らしい。

CDはまずエバンスのソロ"Noelle's Theme"で始まる。続いてエバンスとマーク・ジョンソンで"Untitled Original"(Evans+Johnson)、Who Can I Turn To"(Evans+Johnson)、"Letter to Evan" (Evans/Johnson); "Laurie" (Evans/Johnson); "Five" (Evans/Johnson); "Wave" (Andrade/Cidinho/Johnson); "Chorinho Pra Ele" (Cidinho/Johnson); "Letter to Evan" (solo Evans); "Untitled Original" (solo Evans)。

トラックとして明確になっていないが、"Untitled Evans" on this disc); "Laurie" (Evans); "Bill's Hit Tune" (Evansが最初弾いているとEcaが飛び込んできて"over"を弾く。)、"Corcovado" (Evans/Eca); "One Note Samba" briefly intimated, followed by a full-fledged "Stella By Starlight" (Evans/Johnson/Eca、これは最初サンバで始まり、Ecaは飛び込んできて、その後4ビートになる)、その後EVANSが居なくなり、最後にEcaとCidinhoが"E Nada Mais"で締めくくる。

Evansは至る所でその実力を見せており、ジョンソンやEcaと交わす会話も聞くことができる。これは明らかにエバンスの天才の証明である。もちろんマーク・ジョンソンの演奏が素晴らしいことも強調しておかねばならない。

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