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2011年7月26日 (火)

中国の高速鉄道事故で悩む

7月23日20時に起こった事故だから、もうたいていのことはわかっていて当然だと思うのだが、何しろ竹のカーテンの向こう側なので漏れ聞こえてくる声もくぐもってよくわからない。

とりあえず亡くなられた方々のご冥福を祈ろうではないか。

まず、事故がどこで起こったのか? これがよくわからない。(写真はクリックするとかなりでかくなります)
Chinacollisionlocation

浙江省温州市鹿城区ということなのだが、GoogleMapで探しても写真のように線路が2本並走している場所が見当たらない。事故のあった路線は2007年から営業していたはずなので、新しすぎてGoogleMapに載っていないということはないと思うんだけどなぁ。

この写真で見ると、撤去しやすい車両はすでに撤去されたあとだが、手前の線路はレールが撤去されている。車両を撤去するのにはレールが必要だと思うので、車両を撤去してから痛んだレールを交換するために撤去したのだろうか?

写真の一番手前に見える車両が乗り上げているように見えるので、追突したD301は手前から奥のほうへ向けて走っていたのだろう。中国の線路は左側通行なのだろうか?自動車は右側通行なのに? フランスもそうなっているからありえない話ではないが、なんだかよくわからない。

Chinacollisiond3115

この写真は危うく転落を免れた車両の反対側から撮られたもので、転落を免れた車両が画面の左上に見える。ということは最初の写真と比べると、この「ZY104600」という車両は落雷で停止していたD3115の最後尾の車両なのだろう。もう一枚の写真を見ると最後尾らしいことがはっきりわかる。

Chinacollisioncollision

しかしこのD3115はなんでこんなに汚いんだろう?燃えたのか? それにどうやらバーナーで溶断しようとしたらしい跡があるのだが、実際には穴をあけられていない。

事故が起こったのは23日の午後8時ごろとされている。まずD3115が落雷に伴う障害で停止し、25分後に広報からやってきたD301に追突された。

不思議の1)本来のダイヤでは追突したD301は実はD3115よりも先行しているはずだった。だから、D3115が落雷で停止しているという情報が存在していたとしても、D301は自分より後ろにいるはずの車両のことなんか気にしなかった、のかもしれない。
不思議の2)同じころ、もう一台の高速列車D3121が近辺で同じく落雷のために停車していた。幸い、こちらは反対車線であったし、後続の車両がいなかったので事故にはならなかった。もしもこのD3212が落雷のために停止することなく事故現場を事故後に通過しようとしたら三重事故になったかもしれないが、時刻表が読めなくてその当たりことはよくわからない。
不思議の3)この3本の列車の時刻表を重ねてみると何かわかるかもしれないと思ってやってみたのだが、まず駅名がわからないのと、上下線(おそらく上りとか下りという概念はないんだろうけど)で駅の名前が変わるのか、D301/3115とD3212とで停車駅の対応が取れない。D3115は各駅停車らしくて、D301が止まらない駅にも止まってるらしいことはわかるのだが、結局どの駅の近くで事故が起こったのかもよくわからない。ちなみに英文時刻表はここで見ることができる(D301D3115D3212)。中国名も併記してくれればいいのになぁ。路線図をたどればわかるのかもしれないけれども、ややこしくて手に負えなかったのだ。

事故当初、死傷者は死者11名、負傷者89名と報じられたが、その数はやがて増えていって死者43名までになったのだが、その後なぜか減って今では死者38名ということになっているらしい。
不思議の4)死者は35名ということで落ち着くはずだったという説がある。というのは、死者が36名以上になると党の幹部の首が飛ぶとかで、中国では「死者35名」というのが多いということなのだそうだ(本当かな?)。今回も35名という確定発表したあとで車両を解体しようとしたら子供の泣き声がして「幼児発見」ということになった。それだけなら不幸中の幸いということでめでたい話だったのだが、同時に遺体が何体か発見されたので死者数も増えてしまったということだ。
Chinacollisionchild2この子が「奇跡の生還」といわれた2歳8ヶ月の幼児。この写真は旅行の往路で撮られた写真で、父親のblogに掲載されたもの。この一家は旅行の帰りにこの事故にあい、両親はともに亡くなった。

幼児が発見されたのは車体を解体しようとしたときだった。車体はすでに「生体反応がない」ということで解体されようとしていたのだが、なぜこの幼児が生体反応検査で発見されなかったのか、という問いに対して鉄道当局は「生命の奇跡だ」と言い放った。

幼児は左足切断の可能性があると報じられたが、診断の結果その必要はないとされた。

不思議の5)中国の高速鉄道はチケットを買うときに実名制をとっている、切符を買うにも実名を名乗らねばならず、身分証明書が必要だというのだ。だから鉄道当局は乗車人数だけでなく、その氏名まで把握しているはずなのだが、いまだに死者名が公表されない。事故からもう3日経つというのに、行方不明者(数)というのも公表されないのだ。
不思議の6)事故が起こって1日も経たないうちに、追突したD301の先頭車両は埋められてしまった。すでにブラックボックス相当のものは回収済みだったということだが、要するに「邪魔だったから埋めた」というふうな理由付けで、これには中国人民の多くが疑問を呈している。当局も「国家機密だから埋めた」というふうなことをおっしゃるので「犬みたいな発想だな」という声もある。

落ちるのを免れた車両を「処理」するのにロープを使って引きずり落としたりするのを見ていると、この国は科学とか技術とかいうものをまったく信じていないんじゃないかという気がする。そんな国が核ミサイルを持っているんだから恐ろしい話だ。最近ロシアから建造中の空母を購入したらしいが、あのジャンプ台空母はどうなんだろうなぁ?アメリカの空母は蒸気式のカタパルトで艦載機を弾き飛ばすのだが、元がロシア製のこの空母は飛行機をジャンプさせるらしいぞ。

Chinacarieer

同日追記:
中国当局はいったん埋めた残骸をまた掘り起こしたそうだ。近くの駅まで運んで「調査」するのだそうだ。遺体が出てきたら大変なことになると思うが、まぁ何しろ竹のカーテンの向こうの話なので。

翌日追記:
昨日夜に死者名簿が発表されたが、28名だそうで。で、今日更に7名が発表された。やっぱり35名にこだわるのか?

翌々日追記:
D3115(追突されたほう)の運転士が「停止の指示を受けて停止していた」と乗客に発言していたとの報道。事情聴取の結果ではないらしい。そう言えば事故当日に「俺は何もしていない、俺は悪くない」とか言っているという報道があって、何言ってるんだろうと思ったがそういう裏があったか。

公式発表として「信号システムの誤動作」ということが言われているが、その前に2台が前後入れ替わったのはどうしてなんだ? ソッチの方が謎が深いと思うのだが。

さらに、「死者39名というのは少ないのではないか?」という声もあるようだ。乗客数がD3115に558名、D301に1072名(逆という説もあるが)ということなので、ともに16両編成だからD301の一両あたりには平均67名ほど乗っていることになる。その車両が2両落下、1両宙吊りなので、約200名が死傷というのは計算が合う、のかもしれない。追突されたD3115の最後尾車両にも死傷者は出ているだろうし。

7月29日追記:
「信号制御プログラムに重大な欠陥があった」とか。しかもそれは事故当日にわかっていたことだったらしい。

この件に関して、中国政府は「(御用新聞である)新華社の報道をコピーして報道しろ。独自取材は許さん。」という姓名を出していたのだが、さすがに今回は地方各社の新聞はその生命を無視して独自取材をどんどん発表した。これは政府の思惑とずいぶん違うことになって、ひょっとしたら中国政府の性格が変わるのかもしれない。

でも、まだ真相は闇の中。

8月23日追記:

その後、中国政府は言論弾圧を強めて、新聞各社に記事の削除を要請した。鉄道部の悪口はいいが、政府の悪口は許さん、ということだったようだ。記者たちは泣く泣く記事を削除したが、その鬱憤をツイッターで暴露した。

「調査は鏡張りにする」ということだったが、調査結果は9月になるんだそうで。今までのところ、信号システムに血管があったということだけがわかっているのだが、22日だったか、信号システムを開発した会社の会長が立会い試験だかなんだかの最中に心臓発作で亡くなってしまった。心臓に持病はなかったということだから、ストレスによる急性の心臓疾患ということなのだろうか。

8月に入って、中国鉄道部は以下のような手を打った。

・全体的に車両の速度を減速した。300km/hを250km/hに、250km/hを200km/hに。ただし、北京-上海間は300km/hのまま。
・ダイヤを見直し、高速で走る列車を減らした。
・北京-上海間を走っていたCRH380B(ドイツ系)をリコールし、川崎系のCRH380Aを展開した。

信号システムはてないしサれたはずだが、未だに手動で動いていたり、トラブルがこったりしているので、まだ根本的な改修がなされたというわけではなさそうだ。

9月25日追記:

9月中旬には事故調査報告を出すという話だったのだが、22日に以下のような発表があった。

「 これまでに調査チームは、分析会議、論証会議、検討会議などを200回あまり開き、1300部近くにのぼる資料を閲読し、300人近くの関係者から聞き取り調査を行い、専門的な調査報告をまとめ、200万字近くの文字資料を集めた。事故によって明らかになった問題を解決するために、鉄道部門は速やかに改善措置を講じ潜在的な危険要因を取り除いた。」

「これまでに多くの基礎的な仕事を進め、重要な基礎データと実験データを集めているが、技術や管理に関する多くの問題についてさらなる分析と検証を行わなければならない。そのため、最終報告をまとめるまでには、まだ時間がかかる。」

要するにヤル気がないというか、有耶無耶にしようとしているのか。とにかく当座のいいのがれとしか聞こえない。何がわかって何がわからないとか、もっと誠意のある報告を期待しているわけだが、これは期待する方が間違いなのか?列車が前後した理由くらい分かりそうなものだが。

11月23日追記:

以下引用。

>浙江省温州市内で7月23日発生し、死者40人を出した高速鉄道の追突・脱線事故で、事故調査専門家チームは9月末までに「事故調査報告」を提出していたことが分かった。王夢恕副チーム長が、最終提出期限とされていた11月20日になり明らかにした。事故原因について「人員と管理の問題だった」と説明した。

>これまで、事故の最大の原因は信号システムの問題とされていた。王副チーム長は、「信号技術や施設には問題なかったと言える。最大の問題は人員と管理の問題だった」と述べ、原因についての見方を完全に覆した。

>規則では、「死者30人以上/負傷者100人以上/経済損失1億元(約12億日本円)以上」のいずれかに該当する特別重大事故が発生すれば、60日以内に事故原因などについての「報告書」を作成せねばならない。「特殊な状況」があればさらに60日の延長が認められる。11月20日は、報告書提出の最終期限である120日目だった。

>規則によると、特別重大事故について、政府は報告書の提出を受けてから30日後に、意見表明をおこなわねばならない。「特殊な状況」の場合には30日の延長が認められている。王副チーム長が説明した「報告書は9月末までに提出」を基準にすれば、政府は11月29日までに意見表明をせねばならない。

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コメント

中国政府そのまましたら、絶対だめ。
そして、中国民衆が非常に怒った。

投稿: BlackBerry 9300 | 2011年8月18日 (木) 00時00分

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