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2012年4月15日 (日)

パソコン通信LOGで悩む

昔々、まだインターネットがそれほど普及していなかった頃、パソコン通信というものがありました。パソコンにつないだモデムというものでデジタル信号を音声信号のようなものに変換し、それを電話回線に突っ込んでサーバと接続して通信していたわけです。

そういう技術が一般人に解放されたのが確か1985年頃で、それまではそれをやると法律違反だったので誰もサーバを設置することができなかったわけです。この技術が解放されたことによって雨後の筍のごとくたくさんのサーバが立てられました。神奈川だけでも20件くらいあったんじゃなあったかな? そのうち商用のパソコン通信屋さんが現れ、私も御多分にもれずそういうところで遊んでいたわけです。

そのころはまだHDDが高価で、私の使っていたものは20Mでした。20Gじゃなくて20Mというのは間違いではありません。20Mでも10万円くらいしていて、それでも安い方だったのです。そういうわけでしたから、パソコン通信の記録(LOG)も、HDD、に貯めておくことはできず、フロッピーディスクに貯めていたわけです。

そんなフロッピーディスクを1999年あたりにCD-Rに焼きました。そんなCD-Rが最近何かの拍子に私の目に止まり、そのなかに古いLOGを発見したわけです。自分の書いた古いものを読むと、なんともまぁ進歩のないものであるな、とか思ったり。

で、そんななかの一節を以下にご紹介しようかと。

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 暗闇だ。TFは暗闇の中にいた。上下左右前後ろ、どちらを向いても目にはひとすじの光さえ入ってこない。視力を失ったのだろうか? いや違う、何かが見える。白いものだ。白く光る小さなものだ。またたいている。星だろうか?TFにはそれが上にあるのか下にあるのかわからなかった。上下どころか自分自身の身体自体の存在すらもが何かあいまいなものに思えた。体に接触感がない。体に触れるものが何もないのだ。浮いているのだろうか。それとも落下しているのかもしれない。

 白く光る小さなものに近付きたいと思った。出口かも知れない。ここが何であるにせよとにかく出たいと思った。TFはそれに向かって「歩いた」。自分のからだがどこにも接していないにも関わらずTFは歩くことが出来た。白く光る小さなものは下の方にあった。TFは自分が下へ向かって歩いているのを感じたのだった。

 白く光るちいさなものは出口ではなかった。それは出口にしては小さすぎた。TFの感覚からすればそれは鼠ほどの大きさであった。TFは丁度鼠をいたぶるときのようにそれを前足でいじろうとしたが不思議なことにそれに触ることは出来なかった。それはTFの右前にあり、当然右前足で触れるのが楽なはずだがなぜかTFの左前足がそれを求めて動いた。しかしそれに触れることは出来なかった。

 左前足を50回ほど動かしているうちに眠くなってしまい、TFは眠った。どのくらいまどろんだのかはわからないが、白く小さなものが動いたのが気配で感じられ、TFは目を覚ました。再びそれに追い付き、いたぶってやろうとしたが、やはり果たせなかった。その光るものは今度は訳の判らない模様を航跡として残しつつTFの目の前を動きまわったのだ。その模様はかつてのTFであれば「neko -r」の鏡文字として読めたはずのものであった。TFの意識が消滅した。
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ワケわかんないでしょ? 解説しますと、まずTFというのは当時のお友達のネットワークネームです。もっと親しみやすい名前だったのですが、差し障りがあるといけないので極端に短くしました。この人は調べてみると工学博士だったんですね。しかもさる某フォークソングの作曲者で、結構これがヒットしたので「先生」と呼ばれたりしていた方です。TFさんはサックスを吹くジャズマンとしても活動していて、そんなご縁でお知り合いになったのでした。最近は全く連絡が取れないんですが、どうしていらっしゃるんだか。

で、「白く光るもの」ですが、これはカーソルなんですね。カーソルといっても最近のパソコンしかご存じない方にはピンと来ないかもしれません。ここで言っているカーソルというのはこういうものなんです。

Cmdprompt今時のWIndowsでこういう画面を見ることはほとんどないと思いますが、私なんぞのようなオタクになりますとこれを見ない日は無いってくらいのものなんです。Windowsで[スタート]→[ファイル名を指定して起動]を選び、「cmd」と入力するとこんな画面が出ます。昔のパソコンはこういう画面で使うのが普通だったのです。

ここで白く点滅しているのが「白く光るもの」です。当時のNEC製PC-9801ではこんなふうに点滅していなかったのだったかなぁ?

で、ですね、その頃にはすでにそんなパソコン通信ネットワークを介していろいろなフリーソフトが流通していたわけです。そんな中の一つに「neko.com」というものがありまして、これが画面上でnekoがカーソルを追いかけるというものだったのです。

つまりこの小文はTF氏がそのネコにされてしまって、その立場でブラウン管の内側からそのカーソルを追いかけるという話をしているわけです。

最後に出てくる「neko -r」というのはこのnekoというフリーソフトを終了させて、画面上からネコを消滅させるというコマンドなわけです。「-r」というのはつまりremoveだったでしょうね。

このneko.comは当時一世風靡したので、覚えている人もいるかも知れません。その後、WIndowsになってからは「チューチューマウス」ちおう、マウスカーソルをねずみが追いかけるというソフトが出回ったんですが、これがチューチュー鳴くのでうるさくて、私のいた職場では禁止にしました。チューチューマウスは無料ではなくて確か500円を徴収するシェウエアでした。その500円を取るために何度も最速のメッセージを出したりという、志の低いソフトだったのも気に障るところでした。

そんなneko.comの姿をWEBで見つけたのでご紹介。もっと可愛かった印象があったんだけどなぁ。

Nekocom2


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コメント

昔,ある企業内パソコン通信に,自動車を
洗う話しが出てきまして,それが連載途中で
止まったままなんですね。続きを待ってる人
も数人は居ると思うのですが・・・・・

というのはパソコン通信,黒歴史ですね。

投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年4月16日 (月) 07時10分

く、黒歴史ですかっ? せめて灰色とか黄色とか。

そういえばCWC.LZHがどこにもないのだなぁ。書きかけの「J」もあったはずなんだが。

投稿: Picks Clicks | 2012年4月17日 (火) 00時28分

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