スピーカ・ユニット交換で悩む
音楽を聞くのはもっぱらヘッドセットだが、たまにはCDをステレオで聞きたいと思ったりもする。でもいろいろと問題があって、長い間そういうことをあんまりやって来なかったのだ。
これはそもそもONKYOのミニステレオがいけない。CDトレイが出なくなったり入らなくなったりすることで修理に出したり買い換えることすでに3回ほどになるかな。こういう機器も使い続けていればそれなりに調子をキープできるのだろうが、たまにしか使わないから調子が悪くなり、調子が悪いから使おうと思わないという悪循環だ。
CDトレイが出入りしなくなるという故障は治っているのだが、最近ではCDを入れても「NO DISC」と冷たく言い放つという症状が出ていて、これには参った。もう修理に出すのもめんどくさいしなぁ、買い換えるかなぁ、でもタイマーで目覚ましラジオを鳴らせるのを探すのもめんどくさいなぁ、とかおもっていたわけだ。
しかし、このCDを認識しないというのはなんとか治すことができた。文庫本についてくる紙の栞と細裂きにしたティッシュペーパーを使ってCDの読み取り部分をコチョコチョしてやったのが効いたのかもしれない。その操作のあと、CDの認識率が徐々に良くなってきて、今では100発100中で認識できるようになっている。
さてそんな感じで、休日の朝にはCDの音楽を流しつつ朝食をいただくというふうになってきたのだが、ある日JIM・HALL/Paul・Desmondの「Bossa Antigua」を聴いてみると、Desmondのアルト・サックスの音が妙に小さい、というかほとんど聞こえない。この二人が組んだアルバムはギターとアルトがはっきりと左右に分かれていて、互いに逆のチャンネルに残響音を流すという構成になっている。Jim・Hallのギターはしっかり左チャンネルから聞こえているのだが、右チャネルから出てくるべきアルトは聞こえず、アルトは左チャネルからエコーのみが聞こえるという状態だ。
それでは右のスピーカーからはなんにも聞こえていないのか、というとそうでもなく、かすかながら鳴ってはいるのだ。どういうことだこれは? ONKYOのアンプがついに壊れたか?
しかし、代わりのスピーカを繋いだりいろいろと試した結果、アンプは正常であることがわかった。そしてついに久々のテスター登場で、右スピーカの断線が判明した。このスピーカは2wayで高音域用のツイータをコンデンサ経由でつないでいる。スピーカ端子で導通をチェックすると、直流はコンデンサでブロックされるので低音用のウーファが切れていることがわかったというわけだ。いままでずっと、右チャネルはツイータだけで聞いていたことになる。
このスピーカセットは大昔、学生時代に購入したもので、ALTECのDIGという名前で売られていたものだ。米国のALTEC本社ではなく、日本での代理店であるエレクトリが設計・製造・販売していたもので、知らなかったのだが今回調べてみると少なくとも日本では大ヒットしたらしい。
さすがに長年使っていると高域がちょっと落ちてきたかな、と思ったことがあって、スピーカ・ユニットを交換してみようかとも思ったのだった。でも、当時同等と思われたフォステクスの20cmユニットを購入し、スピーカの裏ぶたを開けてから私は失敗に気がついた。ユニットが同じ20cm径とは言っても簡単に付け替えられるわけではなかったのだ。
DIGに元から装着されているALTEC 409Bは、スピーカ前面パネルから生えている3mm径のビスを通され、ナットで固定されていたのだ。交換しようとして買ったFostexのFE204にも固定用の穴は開いているが、寸法が違うのでそのままでは固定できない。FE204は穴の間隔が409Bよりも広いのだ。
だから、FE204に付け替えようとすると、このビスを切断するか、前面パネルの表側から抜くかということをやらなければならない。それってすごく面倒くさい。なぜなら、このスピーカは前面のネットが着脱できるようにはなっておらず、ビスを切断するにしても抜くにしても前面パネルを外さないことにはどうにもならないからだ。
右の写真が取り付けビスとFE204の取り付け穴を比較したものである。これは昔撮影したものではなくて、今日撮影したものだ。つまり私はついにそのスピーカユニット交換工事に手を出してしまったのである。
話をちょっとだけ昔に戻すと、ユニットを交換しようとしてスピーカの裏パネルを外してみたり色々して結局元通りに復元してみると、なぜか古い409Bが以前よりも音が良くなった。これはきっと交換されるのを嫌って頑張るつもりになったに違いない、と私は思ったのだったが、実際のところはどうだかわからない。当時いろいろな人に相談してみると、「ツイータなんて5年でヘタるからねぇ」なんてことを言われてがっかりしたものだった。
さて、ツイータがヘタることは気にしない事にして、気を取り直してユニット交換に話を戻そう。この写真が新旧スピーカユニットである。左上の黒っぽいのがALTEC 409B、右下の白っぽいのがFostex FE204。
409Bはウーファの真ん中真ん前にツイータを置くというコアキシャル・2way、FE204は小さなコーン紙で高域の振動を放射させようというメカニカル・2wayである。FE204のほうが縁の幅が広くて作り手の気合みたいなものを感じる。
この写真は前面パネルのネットをやっと外してやれやれというところ。ここに来るまでは、まず裏パネルを開くのに木ネジ12本を抜き、前面パネルを外すのに奥まった場所の木ネジ12本を抜き、やっと前面パネルを外したと思ったら、ネットがパネルの縁にホッチキスの親分みたいなやつでビシバシ止められている。
これが長辺に21箇所、短辺に15箇所、合計全部で70余箇所で止められており、これを全部外さなければならなかったのだった。ああ大変だった。
前面パネルを裸にしたので、いよいよ埋め込みビスを抜く作業にかかる。ビスがどんなふうにパネルに取り付けられているのか興味津々だったのだが、要するにビスをねじ込んでその頭をエポキシ樹脂で固めてあるようだった。これはドリルでさらってもいいのだが、ここは力に物を言わせてハンマーで反対から叩いて抜くことにする。
そうやって4本のうち2本はおとなしく抜けてくれたのだが、一本ではこんなことになってしまった。エポキシが強力すぎて本来のあなから抜け出てくれず、横ちょのスピーカ開口部へ飛び出してしまったのだ。こりゃ参った。抜けることは抜けたんだが、後始末がちょっと面倒だな。
この写真で分かるかどうか、このビスは特殊なものらしくて、よく見ると頭の近くに逆ネジが切ってある。つまりスピーカを締め付ける方向にナットを回して、ビスがそれに連れてその方向に回るとビスが木部へ食い込むようになっているというわけなのだ。
もう一本の最後のビスはある意味さらに悲惨で、ビスが前面パネルの表側を破壊しつつ突き破って出てしまった。これはカッコ悪い。
しかたがないので、飛び散った破片をつなぎあわせて接着。
さらに恥の上塗りをしてあげて、ネットなしでもそれほど見栄えが悪くないようにしてあげる。
というわけで、こんなふうになりました。左のスピーカはまだ409Bのままだがとりあえず鳴らしてみると双方ともに高能率スピーカだからか、バランスも悪くないし、位相合わせも問題ない。このまま使っていってもいいかも、と思うくらいだが、家人からネットの色指定があるので、これは後ほど対応しなければならない。まぁ、ベルクロで前面から張替えという手もないではないし、なんとかなるだろう。
で、今、くつろぎつつGary BurtonとChick Coreaの「HOT HOUSE」なんぞを聞いているわけです。
6月30日追記:
先週は右側のスピーカのユニットを交換したので、今週は左側のユニットを交換して前面パネルにネットを張った。続けて右側にもネットを張った。こういうのは勢いでやらないとね。ネットは通販で買った。サランネットを買ったつもりだったが、届いたのはジャージネットだった。まぁいいか。95cm×1mで2000円ほど。
ネットを張るというのは初めてだったので左側には時間がかかったが、その経験を生かして右側ではユニットをまた外したりして取り回しをよくしたおかげもあって30分もかからずに張ることができた。これも電動ドライバのおかげである。今回のユニット交換はこの電動ドライバの存在なくしてはそもそも初めからまったくやる気が起こらなかったと思われる、
ところが今度はまたONKYOのミニコンポがぐずり出した。CDを入れても認識してくれず、「NO DISC」の再発だ。そもそもCDを入れても回っていないようだ。CDをまわさなくちゃ、そりゃ読めないよなぁ。ONKYOのこのタイプはトレイを引き込むメカがそのついでに信号のピックアップ機構を押し上げ、それが完了してからCDをまわすらしい。それが何かの都合で完遂できないのだろう。先週まで調子よかったのは、なんていうのか、ろうそくの寿命が尽きる前に明るくなるって言う、ああいうやつだったのかもしれない。
なので、ONKYOのFR-V3をあきらめて新しいのを買うことにした。まぁONKYOのも5年くらいは使ったんだったかなぁ。CD周りのメカの寿命なんてそんなものかもしれない。
新しいミニコンポを買うにあたっては、
1) スピーカは要らない
2) ラジオとCDだけでいいが、補助入力は2つ3つ欲しい。
3) 目覚まし代わりにするので、タイマーで毎朝起動できること。
4) 設置の関係で、できれば全高の低い、平べったいのがいい。
という条件でYAMADA電気で探してみた。
そうすると、DENON製のミニコンポでほどほどのものが「展示品限り」で13,900円という値段で売られていた。RCD-M38という2010年モデルで、外部入力が多いのが気に入ったが、タイマー機能がよくわからない。物欲しげに見ていると、店員さんが声をかけてくれたのでいろいろ聞いたりしていると、「実は展示品だけじゃなくて、新品が一台あるんです。」とかおっしゃる。それはいいなぁ(でも本当かなぁ? 1台だけじゃないんじゃないの?)、と思って即決購入した。
マニュアルを見ながらいろいろ触ってみると、さすがにいまどきのコンポらしく、iPodを直接つなげられたり、USBメモリ内やCD-Rに焼いたmp3やWMAファイルを再生できたりする。これはドライブ用に作ったCD-Rを家でだらだら聞くのにいいかもしれない。
車の中のように音楽をだらだらと家で聞き続けるということは普通やらないのだが、だらだらとTVを見るよりはいいのかも。
タイマーはONKYOのような「WEEKDAY」という設定がなくて、「ONE TIME」と「EVERYDAY」しかないのだが、まぁそれもいいだろう。SDB(スーパーダイナミックバス)とかいう低音増強機能も付いていて、これをONにすると、低音が協調されて下品な音になる。昔の「ラウドネス・コントロール(小音量時に高域と低域を増強する)」みたいなものなんじゃないかな。もともと12cmくらいのスピーカをつなぐようなコンポだから、そういう環境を前提に設計されているのだろう。下品な低音も嫌いじゃないんだけど、SDBはOFFにして別途低音を軽く増強するのがいいのだろうな。逆にSDBをONにして低音を絞るのもいいかもしれない。
写真の右側にあるのはONKYOのカセットデッキで、これはONKYOの機器と組み合わせると、カセットデッキの操作によって自動的に音源が切り替わるものだった。DENONも同様の機能を持っていて、同じような端子があったのだがつないで見ても動作はしなかった。
外部入力はAUX1/2とUSBのほかに「ポータブルプレーヤ」という3.5mmのミニジャックがパネルにある。これはいろいろと使えそうだ。
早速時刻を設定してタイマーをセットし、いろいろCDをかけたりした後電源を切って、明日は日曜なので音量を絞ろうと思ってびっくり。なんと音量つまみを左へ回しても止まるところがない。いくらでも回ってしまうのだ。これはつまりボリュームじゃなくてシャフト・エンコーダ(回転角度をデジタルで読み出すもの)なのだな。
旧来の「ボリューム」は抵抗体の上を金属製の接点(しゅうどうたい:しゅうは手偏に「習」と書きたいのだが出ない)が移動するもので、長年使って抵抗体の表面が荒れてくるとまわすたびに「ガリガリ」とかいう音がでたりする。それを防ぐための構造なのだろうが(追記:いや、違うね。リモコンで音量を変えた時のためなのだ。)、電源を切っているときに音量をあらかじめ絞ることができないというのは盲点だったのだろうか? リモコンを使えばタイマーをオフにすることもできるが、こういうオーディオ機器のリモコンってたいていは使われないでどこかに死蔵されてしまうものじゃないのかな?
マニュアルを見ていると、リモコンを使わないとできない設定がいろいろあるようなので、これはちょっと問題になるかもしれない。マニュアルもなくすとまずいようだ。
7月3日追記:
いろいろ調べてみると、このDENON RCD-M38を13,900円というのはずいぶんとお買い得だったことがわかった。補助入力の多さとスピーカ別売ということに惹かれて買ったのだったが、何しろ定価が45,000円ほどで、価格.comでも最低価格が23,000円程度だ。どういうわけだか保証書に販売店意印を押してもらえなかったのだが、これはまた後日レシートと一緒に持っていって押印してもらうことにしよう。
7月22日追記:
YAMADA電機に電話して聞いてみると、YAMADAでは保証書に販売店印を押す代わりにレシートで代用しているのだそうだ。レシートなんて1年で文字が消えちゃうが、そういうものなのか?
2016年9月25日追記:
タイマーで朝にラジオが鳴るようにしているのだが、休日には止めたい。なので、スイッチボックスを付けてスピーカへの接続を切るようにした。
2017年3月追記:
このミニコンポの裏面を時々見たくなるので、ここに置いておく。
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コメント
おぉ,chachamaru家もDIGをお使いですか,
しかもユニットはオリジナルのままの
409ですか・・・・
我が家もDIGでして,ただし大昔にユニットは
ダイヤトーン610に換えてあります。
何時かは409に戻したいと思いつつ,知り合いのオーディオ屋から「どうせアルテックなんだからパンケーキ(755かな)に換えなよ,じゃなきゃ,20cmのフルレンジユニットなら,JBLのLE8Tが良いよ」とかそそのかされて,さてどうするか,で思考停止したままです。409もボイスコイルの断線なら交換用のキットが出てるんじゃないですか?,
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年6月23日 (土) 17時52分
おお、ををつかさんもDIGをお使いでしたか。しかもユニット交換をとっくに済ましている、と。取り付けビスはどうしました? ビスを流用できるユニットにしたんでしょうか?
もうね、今日の苦労をもう一回やらないといけないと思うと、気が重いんですわ。
409Bのコイル断線はよくある話らしいのですが、キットまで買うってことはボイスコイルまで分解するってことですね? そこまでやる気はないなぁ。409Bってそこまでこだわるモノですか?
投稿: Picks Clicks | 2012年6月23日 (土) 20時06分
我が家のDIGは20cmの409から16cmの610ですから合板でアダプタが作られ咬まされています。
409ってそこまで拘るユニットなんじゃないかな,今どきもレプリカというか再販版が出てますけどアルテックのオリジナルの409ならそれなりの価値がありそうですよ。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年6月23日 (土) 20時53分
いくらオリジナルでも断線してるとダメでしょう? だからキット買って直して売る?
最近知ったことですが、409Bって、もともと館内放送用などに使われるユニットだったのをエレクトリが大きめの箱にいれてみたら意外に良かった、ということらしくて、昔は高級ユニットを安く買ったつもりになっていた私は一体何だったんだ? という感じになりました。
それにしても「ツイータは5年でヘタる」というのはどうなんでしょうね? 紙コーンだったらそうかもしれないな、と思ったり、ラッカーでも塗って補強してやろうかと思ったり、加齢によってどうせ耳がもうハイ落ちしているから、まぁいいだろう、とか。
投稿: Picks Clicks | 2012年6月23日 (土) 21時07分
ALTECは604です、はい(_ _;)。
EMIのスタジオで初めて聴いたときにぶっとびました。
でも、個人的にはB&W、ですが(_ _;)。
投稿: Cello | 2012年6月23日 (土) 22時23分
まあ,オーディオの世界は魑魅魍魎の跋扈している世界ですからね。
アルテックのパンケーキ755なんかも列車の薄い天井裏に入れる為に作られて,それがオーディオ用に高評価されたわけですから,何でも有りなんじゃないですか。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年6月23日 (土) 22時26分
604って、40cmの同軸2wayなんですって? まぁ、高級オーディオを持てる人はゴールの見えない道を極めていただければいいので、私なんかはこういう割安感のあるもので十分満足しております。
スピーカなんてフラットなf特を追求したって仕方がないと思っていて、なぜならf特を語るなら部屋ごとで考えないといけないと思うから。
だから、昔からやりたいなぁと思っているのですが、生ギターのサウンドホールに10cmのスピーカユニットを装着してギターの曲を聞くっていうこと。
考えてみれば今ならできなくもないんだなぁ>ギタースピーカ。
投稿: Picks Clicks | 2012年6月23日 (土) 23時35分
お世話になります。
小生409Bが大好きで壊れたものを補修しようと
考えております。
もし壊れた409Bをまだお持ちでしたらお譲りいただけませんでしょうか?
厚かましい申し出で恐縮です。
投稿: 409Bぞっこん | 2015年10月 7日 (水) 09時17分
あ、すみません。409Bは断線したものも含めてオークションで売れてしまいました。「片方は断線しています」と明記したのですが、2本で2万円以上の値段がつきました。私には409Bの良さがいまいちよくわからないのですがね。
投稿: PicksClicks | 2015年10月10日 (土) 18時21分