口腔内圧力で悩む
美木良介の「ロングブレス」ってのが大評判だ。思うにあれは一種のアイソメトリック・トレーニングだと思う。つまり器具を使わずに自分の他の筋肉と競合させることによって筋肉を鍛えるというやつ。例えば両手の手のひらを体の前で合わせてぐっと力を入れて互いに押し合うというふうな(というのが私の理解:実際には「静止トレーニング」ということらしい)。
でも、両手を合わせて力を入れる、というのでも、その両手の間にテニスボールなどをはさんで変形させながら行うと、それはすでに静止トレーニングではないのだけれども、なんだかより効果がありそうな気がする。さらにその変形具合を数値化できると、トレーニングの効果がわかるし、さらにはそれが励みになってより効果的な方法を見つけたりできるかもしれない。
ロングブレス・トレーニングもなんだかそんな感じで捉えている。肺に吸い込んだ空気を吐き出す抵抗を負荷として内臓を取り囲む筋肉を一斉に緊張させるという事なんじゃないか、と。
だから、あんなふうに腕を振り回さなくても、肺の周りと腸の周りの筋肉を緊張させることが出来れば、歩きながらでもできるんじゃないかと思うわけで。
しかし、あの口がどうもいやだ。イチローがボールを打つ時のように頬を膨らませて「ふーーーっ」と息を吐くわけだが、道を歩きながらこれをやるのはかっこ悪い。頬の筋肉を緊張させてグッとこらえつつ息を吐けば、顔の筋肉トレーニングにもなるんじゃないか。
そういうふうに考えていると、口腔内の圧力を測ってみたくなった。頬を膨らませた場合と、頬の筋肉を緊張させた場合とで、口腔内圧力はどんなふうに変わるのだろうか? そもそも、口腔内の圧力ってどれくらいなんだろうか?タイヤの空気圧が2.2気圧なんて言ってるが、あんな圧力には耐えられないだろうが、大気圧に対して0.3気圧くらいにはなったりするんじゃないんだろうか?
ということで考えてみたのが、細いビニールパイプに水を入れてそれを吹いてみよう、ということ。水が飛んだりするので、これは風呂でやることにする。概念図を書いてみたが、こういうのってなかなかパソコンではかけなくて、仕方なく手書きしている。これは何とかならないものか。イラストレータを使っても、こういうのは描けないんだなぁ。
パイプを高いところに固定するには、パイプを閉じない程度に括りつけたヒモを使う。それを高い方に設置してあるシャワーに引っ掛けるわけだ。
ではそのパイプをどうするのか、というと、100円ショップに適当なものがなかったので東急ハンズへ行ってみた。そしたらビニールパイプの各サイズのが安くで売られていた。内径5mmのを買ったんだったかな? 口腔内圧力がどれほどなのか全くわからなかったので、1mのが40円のを5m買ってみた。
実際にこうやって(パイプを口の端で咥えつつ息を吐く)測ってみると、パイプ水面の高低差から、60cmH2O(頬をふくらませた場合)、20~30cmH2O(頬を緊張させて膨らませない場合)という結果を得た。60cmH2Oということは大気圧に対して約0,06気圧くらいということなのだな。そんなものなのか。それならパイプは2mで十分だった。もっと太いのを買えばよかったかも。
でもこれは面白いので、例えばハーモニカを吹いている時の口腔内圧力も測ってみたいし、口笛や指笛などを吹いている時の圧力も測ってみたい。でもそのたびにお風呂でこのパイプを咥えるのはいやだな。もっと手軽に測る方法はないものだろうか?
で、考えてみたのがこういう仕掛けだ。ストローを熱かなんかで曲げたもの片方の口を塞ぎ、もう一方から圧力を加えるとストローは伸びようとする。その動きを糸の張力で検出し、糸を巻きつけた爪楊枝の回転でその張力を表示する。図の爪楊枝はまっすぐになっているが、これをポキっと折り曲げて指針にすればいいのだ。目盛りを付けた紙パネルをつけると、もう少しそれらしいものになるんじゃないか。
てなことを考えつつ、まだやっとストローを入手したところだ。
そうそう、それで「ロングブレス」の方だが、かれこれ1週間くらいやっているけれども、これは効果あると思う。腹筋がついてきたし、なんだか腹腔が狭くなったようで大食いできないのだ。体重も少しづつではあるが減っている。お腹まわりが筋肉質になってきたようで、肉腹巻がちょっと薄くなってきているのだ。
8月10日追記:
ををつかさんのご好意で、圧力センサを送っていただきました。SMCのPSE540という製品で、10~24Vの電源の電源をつなぐと圧力に比例した電圧が1~5Vの範囲で出力されるというものです。
ところが意外に消費電力が大きくて、「15mA以下」という値。これは弱電の感覚からすると結構大きい値です。電源に積層電池006Pを使うとすると、電源を入れっぱなしというわけにはいかなくてスイッチが必要になる。電池を接続するパーツも必要だ。
しかしそれらの問題は一挙に解決された。電源は電池に直接ハンダ付けし、片方の006Pの+端子をもう一方のー端子に直接噛ませることによってスイッチの代わりとする。
あとはデジタル・マルチメータのワニ口クリップで測定する部分をつまめばよい。
18Vの電源をつなぎこんだところ、消費電流は10mAだった。その時センサの出力は写真で見られるように0.9V。ここで、センサの圧力入力にビニルパイプをつなぎこんで(買っておいたビニルパイプがちょうどよいサイズだった)息を吹き込むと、あれれ、電圧が下がるぞ。息が漏れないようにして思い切り吹くと出力電圧は0.22Vになった。これはビニルパイプと水柱で測定した値だと10Kpas(100cmH2O)に相当するはずだ。おかしいな。極性が逆か?
ちなみに、ロングブレス風に息を漏らして吹くと、出力電圧は0.8V程度になる。息を思い切り吸ってみると、2.3V位になったりする。これは負圧を測れないタイプなんだろうか?
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コメント
ブルドン管圧力計の再発明ですか,比較的使いやすい半導体圧力センサーを持っていますので,何なら差し上げましょうか?,バイクの吸気圧測定の為に複数買ったモノで幾つか余っています。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年8月 5日 (日) 18時18分
ブルドンでしたか。名前を思い出せなかったのですが、そういうのがあるのは知っていました。
半導体圧力センサってことは電圧かけといて電流値で測定するのでしょうか?圧力差を出すためのチャンバーみたいなのが要るんでしょうね。簡単な回路で済むのなら使ってみたいですね。
投稿: Picks Clicks | 2012年8月 5日 (日) 21時42分
私の所にある圧力センサーは,5mm位のホースを繋げれば良いタイプですのでチェンバーは要りませんホースを繋げそのホースを口でくわえれば口腔内圧力を測れます,センサーは小さいですのでセンサーごと口にいれても計れるかな・・・。SMCという会社のPSE543というセンサーです。
電源電圧10~24Vを掛けると-100~100kPaが1〜5Vの電圧で出力されます。電池かなんかで適当な電源を作ってやれば,テスターで結果を見れます。住所を教えて頂ければ郵送します。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2012年8月 5日 (日) 22時29分
おお、簡単そうですね。ちょっとダイナミックレンジが広すぎちゃうんじゃないかと心配ですが、別途住所を連絡させて頂きます。ありがとうございます。
投稿: Picks Clicks | 2012年8月 5日 (日) 23時47分