不思議な弦楽器に悩む
なんだか不思議な弦楽器を演奏するライブがあるということだったので行ってみた。
KAI KUROSAWAさんとおっしゃる方で、ロサンジェルス在住である。演奏する楽器はギターとベースが一体となったものと言えば8割がたあたっていると思う。
ケータイで撮った写真が意外によかったので貼り付けてしまう。クリックするとさらに大きくなります。
演奏スタイルはいわゆる「タッピング」で、だから左手でギター部分を使って主にメロディを弾き、右手でベースラインと、伴奏って言うのかコードっぽいことを弾いたりする。写真をよく見るとわかるが、開放弦が鳴らないようにナットあたりにミュート用のゴムシートみたいなものを巻いている。
事前にほとんど知識がなかったので、何かミニマルな感じでオリジナル曲を延々とやるのかなぁとか思っていたのだが、ジャズのスタンダードや、知る人ぞ知る「Falling Grace」なんかを演奏されるので、思ったよりもまともなんだなぁ、と。実はもっとハチャメチャなことを期待していたのだったが。
楽器は特注品で、しかし世界中には何人かこういう楽器を弾く方々がいらっしゃるようだ。まずギター部分だが、6弦で構成されていて、チューニングは後で詳しく述べるつもりだがC#から始まる4度音程の構成だ。ギターのように一部が長三度になったりしないのは、この人がもともとベーシストであったかららしい。
ベース部分だが、こちらも6弦でLo-B、Hi-Cという4度音程の構成、しかし弦の順番が普通とは逆になっていて演奏者から見て右側、つまりギター部分から離れるに従って音程が上がるという構成になっている。高いほうの2本の弦(G,C)には0.018と0.016のプレーン弦を張っているということだった。
この写真の楽器はツアー用で、ギターサイズのケースに入るように小型に作ってあるものだということだった。ご本家の楽器は34インチだとか。
この人は特に、ベース部分の低音4弦をフレットレスにしており、しかもその部分にナイロンコーティングの弦を張っているので、なんだか見た目が不思議な感じなのだが、つまりギターと6弦ベース(ただし左利き用)を並べたようなネックなのだ。
ギターとベースを並べたにしてはネック長がそろっているので、弦長を聞いてみたら30インチだという。なるほど、それでギター部分のチューニングがC#なのだな。ギターの標準弦長が25インチで最低音がEだから、同じテンションを保ちながら弦長を30インチにすると最低音がC#になるという計算だ。両手でユニゾンを弾いているときに、左右の手が2フレットずれているなと思ったのだが、そういうことだったか(ベース部の最低音がBだから)。
実際の演奏がYoutubeにあったので見ていただこう。
ギターとベースを並べたにしてはネック長がそろっているので、弦長を聞いてみたら30インチだという。なるほど、それでギター部分のチューニングがC#なのだな。ギターの標準弦長が25インチで最低音がEだから、同じテンションを保ちながら弦長を30インチにすると最低音がC#になるという計算だ。両手でユニゾンを弾いているときに、左右の手が2フレットずれているなと思ったのだが、そういうことだったか(ベース部の最低音がBだから)。
実際の演奏がYoutubeにあったので見ていただこう。
音は、最初の印象で「あ、スタンリー・ジョーダン」だと思った。さらには低音部の音を聞いて「あ、スティックじゃん。」とも。つまり、やはりどうしてもタッピングの音なんだなぁ。強弱の加減がつけにくいので、なんだかこう、平面的な感じになってしまう。
で、この方はピアノも弾ける方なのだが、やっていることはピアノでの演奏に近い。しかし、こういう弦楽器というのはピアノよりも発音体に触れられるという特権があって、その分ピアノにはない表現力があるということなんだろう。
ただ、全部の弦が4度音程というところにちょっと引っかかってしまう。というのは以前に書いたことがあるが(ちゃんと思うところを書ききれなかった感じもある)、たとえばギターも全部の弦が4度音程でないというところがイイのだ、とかなんだかそういうところで、スタンリー・ジョーダンも「混乱するから」という理由でタッピングするギターは全部4度音程にしていて、それは確かにそのほうが考えやすいのだが、もうちょっと考えたほうがいいんじゃないかな、とか。
で、KAIさんはいろいろな機器というかエフェクタなどを使っていて、その中で面白いと思ったのがこの「Hot Hand」という機器。指にはめた加速度センサが振動を検知してエフェクトをかけるというもの。「ドネートしてもらったんで使っている」ということだったが、音楽的効果は別としてこれは面白い。
で、KAIさんはいろいろな機器というかエフェクタなどを使っていて、その中で面白いと思ったのがこの「Hot Hand」という機器。指にはめた加速度センサが振動を検知してエフェクトをかけるというもの。「ドネートしてもらったんで使っている」ということだったが、音楽的効果は別としてこれは面白い。
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