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2013年7月31日 (水)

グリーンフロートで悩む

「グリーンフロート」というのを先々週の日曜日だったか、TVでやっているのを一部だけ見た。

赤道直下に浮島を作ってそこに住もうという壮大なアイディア。地上700m~1000mなら、赤道直下でも気温は年中26~27度なんだそうで。清水建設とか野村総研が計画しているらしい。

で、それを図示したのがこれ(クリックで拡大します)。

Greenfloat1

差し渡し3kmはいいとして、タワーの高さが1000mだ。どんな材料を使うのかというと、TVでは「不燃性マグネシウム」と言っていた。鋼鉄の1/4の重さで強度はええと忘れた。

上の図で示したのがひとつの「セル」で、ここに1~5万人が住むことを考えている。その全体構成がこんな感じだ(クリックで拡大します)。

Greenfloat12  

まぁいろんなことがいいことずくめみたいな感じになっているのだが、どうも総花的でまるで「新事業開発室」みたいなところが功を焦って「高い評価を得るために全部放り込んだ」という感じがどうも拭えない。だって「2030年着工予定」とか言っていたし。本気なのか?

まず、1000mのタワーに人が住むんだが、これって実現可能なんだろうけれども一気にやるのはどうもリスクが高いんじゃないかと思う。

まずは内陸部で1000m級のタワーを作って運営してノウハウを集めてから海上に出るとか、タワーにかぎらず他のコンポーネントも事業と言うよりもまず産業として安定した供給ができるようにしていくのがいいんじゃないだろうか。

タワーやらフロートの部品も大量生産することによって品質の良い物が安く作れるだろうし、2030年に一気に作ろうとしてもそれに失敗したらダメージ大きいよ。

一つのセルに1~5万人というのもどうかな?

これは小さな都市というより街なんだが、鉄道とかの大量輸送手段がないわけだからそれぞれ孤立しているわけで、船で行き来できるといっても例えば他のセルに通勤するなんて出来ないだろうし。こういうところに住みたいかな? 刑務所ならいいのかもしれないが。

ネットワークに依存すれば通勤できなくても問題ない? そうかな? やっぱりショッピングとかいきたいんじゃないの? ネットワークといっても光ファイバはちょっと難しそうだからセルの間をマイクロ波でつなぐような感じになるのかな。浮島だからお互いに動いているわけでマイクロ波も常に相手を探して首振りしなければならない。

まぁ、壮大な計画というのは「アポロもそうでした」というくらいで、実現する気概さえあればなんとかなる…のかな? でもアポロは一極集中のプロジェクトだったけど、これは数百万人を巻き込もうというプロジェクトなので、社会科学的アプローチが欠かせないはずだ。なんかそのへんが弱そうな気がする。

Greenfloat3

こういう風景も、陸続きで「ああ、今度はあっちへ行ってみようかな」と思えるならなんだかワクワク感があるんだけど、船に乗らないと行けないとなるとなんだか遠く感じてしまうだろう。


それよりも、浮島なら海上に浮く田圃というのはどうだろうか。稲はもともと熱帯の植物だし、水さえ確保出来れば順調に育つはずだ。そして海水を脱塩すれば水は無尽蔵に取り出せる。

脱塩するにはエネルギーが必要だが、それには太陽熱を使う。ソーラーバッテリーは使わずに太陽光を集光して直接ボイラで海水を沸かし、水蒸気で発電しつつ発電で温度の下がった蒸気は水となって農耕に使うことができる。

沸かした海水は濃縮塩水として保管し、精製はどこか他所でやってもらう。

で、ざっと試算してみたんだが、100m四方の浮島に1日1トンの水を供給すると、ええと1トンの水っていうと1m立方だから水深0.1mmにしかならないのか。するとせめて100トンはほしい、と。それでも10mmか。

100トンの水の温度を100度上げるとすると、10TW? そりゃ無理だな。太陽熱というのは赤道直下でも1336W/m2なんだそうで、10TW供給するには700万平米ってそりゃ無理すぎ。

例によって桁の取り間違えをやっている可能性があるけれども、案外うまく行かないものなんだな。

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コメント

2番目の写真の真ん中の絵が「マンデルブロ集合」に見えました。海水の淡水化は,ボイラーで蒸気を造るより逆浸透膜を使うのが今どきの主流ですね。ご紹介の海上都市,実現性云々より「夢がない」感が強すぎですね。なんか中学生が書いた未来の絵みたい。水上水田のアイデアはどっかで見た事あります。日本沈没第二部だったけな?

投稿: ををつか(をたくな講師) | 2013年8月 1日 (木) 08時15分

まず「夢がない」ってのは本当にそうかも。魅力的なものがなんにもないから、何が悲しゅうてこんな所にすまなくちゃいけないのか? って感じで。日本が沈没したら、しかたなく住むかもしれないけど。


逆浸透膜とかイオン交換って、電力が:そんなにいらないんですかね? よく知らないんですが。

太陽熱で発電して、其の副産物としての蒸留水で農業ができるかと思ったんですが甘かったようで。

考えてみると、農地に撒いた水も太陽熱で蒸発するわけで、その農地と同じ広さで集めた太陽エネルギーで海水から蒸発させた水蒸気で作った真水の量は農地から蒸発する水分の量とそんなには変わらないはずで、つまり農地以上の広さで太陽エネルギーを集めないと十分な真水を集めることはできないことになる(蒸留法では)。

逆浸透圧とかイオン交換ではどのくらいのエネルギー効率があるんでしょうね?

投稿: Picks Clicks | 2013年8月 1日 (木) 21時49分

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