グリーン・フロートに引き続き悩む
グリーン・フロートについて、そのエネルギー収支はどうなってるのかな? それに大量輸送手段がなくていいのかな? と思ったので、清水建設に問い合わせてみた。その回答をかいつまんでご紹介しよう。
まず、エネルギー源だが、宇宙太陽光発電(ssps)で100万KWを確保するのだそうで、これはおよそ原発1基分の発電量に相当する。それに対して電力消費量は、
居住系 3.5万KW,
産業用 5.0万W,
搬送系(ELV含)1.5万KW
合計 10万KW
ということで「余裕です」ということなのだが、ここで「この単位系は何?」と疑問を抱いたあなたは鋭い。私もそれが気になって「それって100万KWH/日ってことですか?」と聞いてみたのだが、その答えは「違います。これらの値はピーク電力です」ということであった。でも分類されたそれぞれの電力値は同時にピークになるとは限らないので、KWH/日とかの単位のほうが精度を上げやすいと思うのだが。
そして、SSPSである。SSPSはJAXA(日本宇宙開発機構)で開発されているもので、うまくいくと割安なエネルギー源になる可能性を持っているらしいのだが、その実用化されるのが2030年だという。これはグリーン・フロートの着工予定と何故か符合する。グリーン・フロートはSSPS待ちなのか? その点を清水建設に尋ねてみたが、その点に関する回答はなかった。
SSPSは要するに宇宙空間に太陽光を受ける大きな鏡なり反射鏡なりを設置して生成した電力をマイクロ波やレーザーで地上の受容局へ送るというものだ。
JAXAの計画では、太陽光を電力に変換することなく直接レーザー励起に使用することによって太陽エネルギーを高効率にレーザーへ変換するということになっている。でもそのレーザーが近赤外線だというのだなぁ。
近赤外線ということはつまり、少なくとも人間の目には見えないということだ。飛行機がうっかりそのレーザービームを横切ったりすると、大惨事になるんじゃないだろうか。旅客機などの航路は当然そのエリアを避けるだろうが、鳥なんかはそんなこと知ったこっちゃないのでばんばん焼き鳥になったりするんじゃないだろうか。
SSPSでは受容局から「ここに送ってくれ」というレーザーを出しているので、飛行機や鳥によってそれが遮られたらレーザービームを止めたりできるんだろうか? 太陽光で励起しているレーザーをそんなに簡単に出したり止めたりできるのか? 「各セルに一基ずつ原子力発電所を設置します」と言いたいんだろけど、今の御時世ではそうも言えないだろうし。
もうひとつ気になった大量輸送手段として私はロープウエイを提案してみたのだが、「鉄道やロープウェイ等の軌道を介する手段は、想定順位は低いと考えています。」という回答。え?ロープウエイは「軌道」なのか? じゃぁ、ロケットでも飛ばすか? それとも潜水艦でも走らせるか?
じゃぁこういうのはどうだろう。鎖鎌(くさりがま)ってあるじゃないですか、あれで戦うときになぜか鎌の反対側についている分銅をぶんぶん振り回すわけですが、あんな感じでタワーからゴンドラをぶんぶん振り回して、隣のタワーからもゴンドラが逆方向に回転していて、その位置と高さがぴったり合った瞬間に二つのゴンドラの中身を交換する。図を描こうかと思ったがここんとこあんまり時間がなくて割愛。
ちょっと計算してみると、500km/hくらいの速度でぶん回すことになりそうなのだが、これでうまく交換できるかなぁ?
| 固定リンク
「モノ作り」カテゴリの記事
- ポータブル・オシロスコープで悩む(2019.01.27)
- スターリングエンジンで悩む(2018.07.15)
- 低温調理器で悩む(2018.05.07)
- クエン酸ロケットで悩む(2018.04.01)
- 知育玩具で悩む(2017.07.25)
コメント
ワイヤレス送電ってのは上手く行くのですかね,なんか効率の悪いイメージですね。で送電に使うビームは太くしてエネルギー密度を下げ事故が起こらないようにするとかでしょうね。どっちにしろ,地上と宇宙空間でワイヤレスなわけですからフィードバック系が組み難いですね,折角地上局で受けたエネルギーが使い道がなくて熱にしちゃうとかもったいないね。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2013年8月27日 (火) 22時37分
100万KWっていうと1ギガワットですから、ソレガレーザービームとなって照射されるというのは穏やかではない。太陽電池みたいなもので電気へ変換するらしいが、その効率が目標80%、実際は15%とか言ってる。
たとえ効率80%としても、20%が熱になるわけで20万KWというと火力発電所くらいの規模かな?
そんなら最初からレーザーで湯を沸かして蒸気タービン回したほうが速いんじゃないか? でも、1ギガワットのレーザービームを受けられるボイラーなんてあるんだろうか。太陽電池にしてもボイラにしても一瞬で蒸発してしまうんじゃないかと思うんだが、まぁ最先端技術というものは凡人の想像をはるかに超えていたりするので、なんとかなっちゃうのかな?
投稿: Picks Clicks | 2013年8月28日 (水) 22時07分
今日の朝(9/18)NHKのニュースでこのグリーンフロートが取り上げられていましたね,水没化の危機に有るキリバスを救う云々とか,キリバス政府に売り込んでいるのかな?,こんな極端なモノじゃ無くてもメガフロート作ってどんどん送り込んだ方が早いのに。
投稿: ををつか(をたくな講師) | 2013年9月18日 (水) 08時55分
まず、SSPSの実用化が前提というところで「やる気」を疑ってしまいますね。さっくり「原子力発電でやります」と言いたいんだろうけど、それは言いにくい風潮だし。
ははぁ、だから海外でやってみるって?
投稿: PicksClicks | 2013年9月18日 (水) 23時18分