逆パーティ効果に悩む
パーティ効果というのはワイワイガヤガヤとうるさいパーティの中でも、話し相手の声だけはちゃんと聞き取れる。人間の耳ってよく出来てるね~、という話なのだが、実際には耳がどうこうっていう話じゃなくて、話の先を予見したり、大体のところは推測した内容を確認するだけの「会話」だから、かなりうるさくても成立したような気になる、ってところじゃないかな。
先週のことだが、職場で「動物園みたいですね。」と話しかけてきたひとがいて、「え?何が?」「ほらあの音ですよ」「ん?」と耳を澄ませてみるが、よくわからない。
「ほら」と、その音が出るタイミングで指を立ててもらって、やっとその音に気がついた。聞こえていなかったのではなくて、逆パーティ効果というか、無意識にその音を無視していたらしい。
それがどんな音だったかというと、つまりは洟をすすり上げる音なのだが、どうもその人は鼻が悪いらしく、いやもうはっきり言ってしまうと、きっとこの人は鼻茸持ちなのだと思う。本人も鼻汁が出ているような気になって無意識のうちに数秒おきにすすり上げるのだが、実際には鼻汁は出ていないからすすり上げても何も改善されず、鼻茸の存在が気になって数秒後にまたすすり上げてしまうのだと思う。
そうやって教えてもらったおかげで、その「動物園の音」に気づいてしまったものだから、今度はその音が耳について仕方がない。集中力も削がれてしまう。かと言って「おい、そこのお前、鼻をすするな、鼻茸を取れ」とは諸般の事情により言えないのだ。困ったなぁ。
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コメント
人間の耳には認知回路によりコントロールされたダイナミックフィルターが装備されており,その時の状況とか認知とかにより聞こえる音(言葉)が取捨選択されているなんて事ですね。
初めての部屋に入り,最初のうち気になっていたエアコンの音が気にならなくなり,何かのきっかけでまた聞こえるようになり「気になって仕方ない」とかね。外を走る車の音なんかもそうですね。
投稿: ををつか | 2013年12月18日 (水) 22時58分
ダイアミック・フィルターというふうな低いレイヤの話ではなくて、よち高位なレイヤで取捨選択されているんじゃないかと私は思うんですけどね。
投稿: PIcksClicks | 2013年12月24日 (火) 00時12分
私の読んだ認知心理の教科書では入り口の近所にあるダイナミックフィルターが認知回路(意識)によりコントロールされている,てな感じの事が書いて有ります,で後から「聞こえていた」って事が判るのはフィルターの手前にキャッシュメモリーが有る,てな事です。
まあ,模式的に図示したモノですから実際は渾然としていると思うのですけどね。
投稿: ををつか | 2013年12月24日 (火) 21時46分