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2014年1月 3日 (金)

ドレミファソラシドで悩む

楽器をさわる人なら誰でも知っていると思うのだが、ドレミファソラシドのそれぞれの音の間隔は一定ではない。ピアノの鍵盤を見てわかるように、ミとファ、シとドの間が半音で、それ以外の音の間隔は全音となっている。全音ということは半音の倍である。

Pianokbd

半音の隔たりというのは平均律では周波数比で1.059463倍となっている。この隔たりを100セントと呼ぶこともある。これは2の12乗根である(12半音で1オクターブだから)。だから全音の隔たりはその二乗で1.122462倍となる。

ギターなどを弾いていると、いつの間にかこの各音の隔たりを「全全半全全全半」として覚える気がなくてもなんとなく身についてしまうのだが、何でこれがこう決まったのか、昔から不思議だった。昔から、というのは大体高校生のころからなんだろうなぁ。

まず、なんで7音なの?とかその前になんで12半音で1オクターブなの?とか周波数が2倍になると「オクターブは違うが同じ音」になるのは高校生当時には受け入れていたが、その後「周波数3倍で同じ音でもいいんじゃね?」とか思ってみたり。パソコンでいろいろな音を出せるようになって、17音階とか23音階とかいろいろ試してみたけれども、結局12半音階ほどにはしっくりこないということで、なんとなく受け入れていたのだった。

しかし、西洋音楽の基本である「ドレミファソラシド」がなぜこんなに広まったのだろうか、誰が決めた?どうやって決めた? なぜ音階は対称じゃない? なぜ他の音階を制圧してこんなに世界中で使われているのか?

そういう疑問を常日ごろ持っているものだから、ご存知のように見える人には片っ端からこの質問をぶつけてみるのだが、なかなかしゃきっとした答えが得られない。皆さんこういうことに興味をお持ちでない?

昨年末にもチェロ演奏者のcelloさんにこの質問をお尋ねしてみて、「New Grove Music Dictionary」を紹介していただいたのだが、等価と思われる「The New Grove Dictionary of Music and Musicians」というのが全5巻、各巻800ページ前後という大掛かりなもので、「図書館でご覧ください」と言われてもなぁ、というところ。でも結局これを全巻ダウンロードすることができて、その話はまた後ほど。

それやこれやで、私もWEBで「ドレミファの起源」について探してみたのだが、日本語のサイトではいいのがなくて、結局ここでなるほど、と思える説明を見つけた。要するにこのBLOGのどこかでも書いたと思うのだが、5度重ねの結果がこうなった、と。これで疑問の半分は解けた。

どういうことかというと、ある音(まだドレミファがないと仮定するので「基音」と呼ぶ。下の図の「1」)の5度上で図の「8」を得、そのさらに5度上は「15」になるが、オクターブ下の(12を引いた)「3」を得る。

Diatonicscale

そんなふうにして。「1」⇒「8」⇒「3」⇒「10」⇒「5」⇒「12」⇒「7」と進むが「7」⇒「14」とはならない。それは「14」をオクターブ下げると「1」と「2」の中間に入ってしまうからで、つまりそれは「7」を得たときに音階が完成していることを示している。

なるほど、5度のインターバルで音を拾っていくと、ひとつ置きに全音のインターバルになるが、それが一方では自分自身の(図では「8」から上の)シーケンスにぶつかることで、また一方ではオクターブ上の(図では「13」から上)とぶつかることによって、音階の非対称性ができ、それで「全全半全全全半」ということに…、あれ?この図だと「全全全半全全半」 だぞ? だから先に示したリンク先でもしれっと「Fから始まる5度の積み重ねで」とか書いているのだな。

この非対称性に関する疑問が解けたことで、私の悩みはほぼ解消されたのだが、なんで「F」から始めたの?とか基音が「A」ではないのはなぜ? ということが依然として疑問として残るわけだ。

Gdmm そこで、GMDあるいはGDMMの登場である。なにしろ膨大な資料な上にこの辞典の主な目的が主に人名とその功績にあるらしく、「誰が何をした」とは書いてあっても「なぜ」というところが弱いようで、なかなか目的の記述にたどり着けない。

でも面白そうな話はいたるところにあって、例えば古代では7つの音に「A」から始まるアルファベットが与えられていたが、だんだん音が増えていって340年ごろには15音くらいになっていた、と。

ギリシャの賢人Alypiusによれば当時1240以上の音楽記号があったらしい。

ギリシャの音階を借りたローマではギリシャの複雑なシステムは借りず、その音階だけを借りてラテン名をつけた。15音に対して「A」~「P」と書かれてているのだが、「P」までいっちゃうと16になると思うのだけれども。
で、590年に法皇に選ばれたグレゴリーさん「Gregory the Great」が音階の後半が前半の繰り返しであることを発見した。

10世紀のはじめごろ、「A」よりも低い音が必要になり、Γ(ギリシャ文字ガンマ;「理由はわからないが」、とGDMMは書いている)を「A」よりも1度低い音に当てた。そこから順次低い音が付け加えられ、16世紀のはじめごろLazarinoによって(誰だそれ?)ついには「C」にまで到達したという。ってことはたぶんガンマをGであらわしていたんだろうな。

「このようにして現代的な音階が確立され、Aは6番目の音になった」とGDMMは結んでいる。

え? いやいや、Fが基音って話は? それはまた、この膨大な資料をあちこち拾い読みしていきながら見つけられるかも知れず、見つけられないかも知れず、ってことで。

1月11日追記:

何で「F」から始まるのか? というか、なんで5番目の音(図中の8●)が主音となったのかはまだよくわからない。チャーチ・モードでいうところのリディア旋法とかいうのが関係してくるのかもしれないし、主音がどうこうというのならなぜ主音が(Aじゃなくて)Cなのか、ということも突き詰めなくてはならない(一部は上記で判明しているにしても)。

ただ、「全全半全全全半」に関していえば、順序は逆(いや、逆なんじゃなくてどこから展開するかというだけの話なのだが)の「全全全半全全半」になってはいるけれども上記のように5度音程の繰り返しで得られることはわかった。

もっと簡単に言えば、5度音程というのは7半音であり、1オクターブは12半音だから5度音程は12半音を7半音と5半音に分ける。それはつまり7半音が『3全音+1半音:「全全全半」』をあらわし、5半音が『2全音+1半音:「全全半」』をあらわしているということなのだ。ああ、わりとすっきりした。

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コメント

素晴らしい!

西洋音楽は、五度と三度の意識でできておりますので。

なんでFか、というのは難しいですね。
ホルンが元、ということもないだろうし・・・・・

投稿: Cello | 2014年1月 3日 (金) 22時04分

中学の時,音楽の授業で,ドとレの間は全音,ミとファの間は半音,と言うのを習い,授業が終わってから「何故そうなるのか」と音楽教師に質問し,休み時間をオーバーして説明を聞いても(ちゃんとした説明では無かったと思う)良くわからず,次の数学の時間に遅れて教室に入って行ったら数学の教師に物凄く怒られた(理不尽な叱られ方をした)。
そんな思い出が有る。中学時代の思い出は数少ないが強烈に印象に残ってる。
音楽理論ってのが有ることに目覚めた瞬間だったんだけど,その理不尽さに学習意欲を無くした瞬間だったかもしれない。
その時。音楽教師が聴感と周波数の関係についてキチンと説明してくれたら,そもそもそんな理科的な事は好きな私なんだから,音楽理論に興味を持ったと思うけど「そういうルールなんだから憶えなさい」的な指導を受けたのがトラウマです。中学以降は音楽の教育って受けてないから音楽理論って全然判らない世界です。

投稿: ををつか | 2014年1月 4日 (土) 09時42分

私も音楽教育というものは中学校までです。子供に対する音楽教育って「なぜなに」を考えるようなものではないですからね。じゃぁ一体なんのための教育なのかっていうと、なんなんでしょうね?

投稿: PicksClicks | 2014年1月 4日 (土) 17時26分

それは音楽に限らず、いろいろな教科で帯むんしたの出は、と。

まあ、音楽教師で物理がわかっている人は皆無でしょうから、無理からぬ事なのでしょうか・・・・・

投稿: Cello | 2014年1月 5日 (日) 10時53分

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