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2014年12月 8日 (月)

擬似ハードSFに悩む

「インターステラー」である。どういう意味なんだろうか? ステラー(Stellar)は「恒星」ってことなので、太陽系でない、他の系へ行くという話なのだが、日本語にしようとするとなんとなく座りが悪い。恒星間旅行ってほど気軽じゃないし、恒星間出張じゃないし、恒星間進軍ってほどでもない。結局「インターステラー」っていうそのまんまの名前になったんだろうな。

ちなみに、ステラといえば「星影のステラ」だが、「Stella」というと、イタリア語で「星」らしい。

TVで予告編がたくさん流れていたので見ていた人も多いと思うが、「お父ちゃん、いかんといて!」「いや、ワシちょっと人類を救ってくる。」というやりとりの直後に宇宙船に乗っているという訳の分からない展開。

予告編で紹介されている程度にあらすじを紹介すると、地球がなんだかどんどん住みにくくなってきて、こりゃもうあかん、他の星への移住を考えないと、ということで、マシュー・マコノヒーが移住できる星を探しに行く、っていい星があったとしてもそんな簡単に移住なんてできるわけ無いじゃんよ。

でもちゃんとそこは考えてあって、という話なのだが、地球が住みにくくなったために食料生産がまず第一だ、ということで、科学技術なんかやってる場合じゃない! っていうのがこのSF映画の大前提。だから、マコノヒーの乗っている宇宙船もこっそり作ったものなのだ。

で、別の恒星系へ行くのだが、太陽系から一番近いところでも4光年の距離がある。ここからもう話が大きくなっていくのだが、ブラックホールの近くへ行くと相対性理論によって近くへ行った人間の時間の進みが遅くなり、その1時間が他の世界では7年になるという無茶な話。

詳しくは言わないほうがいいと思うが、そういう物理学的理論のところはすごく詳しくやってくれて、お陰でさっぱりわからないながらも、そんなもんかぁ?と思っちゃうのだが、ところが工学的な部分がどうも荒っぽいというか雑というか。

Spaceship

これは地球の軌道上で組み立てた宇宙船で、マコノヒー達はスペースシャトルみたいなので打ち上げられてこの宇宙船とドッキングするわけだ。そこで年単位の宇宙旅行をするので、地球並みの重力が必要だから、このドーナツはくるくると回って遠心力で重力を作っている。

映画で見ていると、一回転するのに3~4秒かかっているみたいだ。その回転速度で1Gの重力を作るためには、ドーナツの半径が40mくらい必要なんだが、う~ん、ちょっと小さくないかな?

それに、ちょっとした事故があって、この宇宙船の動きががおかしくなり、回転数が68rpmになってしまう。1分間に68回ということは元の速度の数倍の速度で回転するわけだが、そこへマコノヒーの乗る着陸船がうまいことドッキングするわけだが、ちょっとまてよ。

まず、回転している速度には目をつぶるとしても、事故のおかげで回転の中心がドーナツの中心と一致することは期待できないし、だいたい回転そのものがニューテーションといって、すりこぎを回すような動きになるはずで、そこへのドッキングはまず無理なんじゃないかなぁ。

さらには、キューブリックの「2001年宇宙の旅」からの伝統っていうか、宇宙の果てに行くとなんだかオカルトっぽい話になっちゃう、というのもありがちな話だが、「愛は時空を超える」って? う~む。

というわけで、予告編から想像するよりもこれは大掛かりなでかい話で、じつはなんとかiMAX劇場で見たかったんだけどなぁ。残念ながら普通の映画館で見ちゃったので、iMAXでもう一回見てもいいかな、とか思っている。

しかし、本編が2時間半という長丁場なので、観覧前には飲み物を控えて、しっかりとトイレへ行っておくことをお忘れなく。

なぜだかあんまりクローズアップされないけれども、マット・デーモンが出演しているぞ。

12月14日追記:

IMAXで見てきた。期待したほどの迫力ではなかったが、農場でのシーンで手持ちカメラで撮ったらしい画像では画像の揺れが気になるくらい、やはり意味はあるとは思った。でも、IMAXではなくてimaxくらいの感じではあった。

私のIMAX体験は、一度は子供の頃どこかの科学館とかそういうところで見たのが最初で、次は20年ほど前にアメリカのグランドキャニオンで見たのが二度目だった。この二度目の体験が強烈に頭に残っていて、その客席からスクリーンに転げ落ちそうなほどの近くて大きなスクリーンこそIMAXの真髄だと思っている。

単にスクリーンが大きいだけでなく、客席が壁のように高く構成されていてスクリーンが近いので、とにかく視界いっぱいに画面が広がるのだ。そういう印象だった。

そういうのを期待していたので、109シネマズ川崎のIMAXは私には物足りなかった。確かにスクリーンは大きのだが、縦横それぞれ20~30%ほど大きいだけで、私としては普通の倍くらいのスクリーンであって欲しかった。「CQO@IMAX.COMに感想を送ってケロ」という事が書いてあったのでちょっと文句を書いてやろうと思う。

二回目の観覧ということで、人間ドラマ的な部分もしっかり見てきたつもりなのだが、「父娘の愛」とかいうのが、えーと、あれはペラッペラに薄っぺらくないですか? だいたいハリウッド映画って「家族が何より大事、よその家族はどうでもいいけど、とにかくなにがなんでも自分の家族が大事!」というのに対するアンチテーゼなのだろうか?

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コメント

そうなんですよ,後半は,トイレに行きたい気持ちとの戦いでした。

もうね,めちゃくちゃ,言いたい文句が沢山あるのね,もう少しなんとかならなかったの?,ってね。地表の状況を確認せずに着陸して案の定事故っちゃうし,地球から宇宙に出るのにデカイ3段ロケットを使うのに,他の星系では,平べったい,燃料を入れる場所が見当たらないような宇宙機で簡単に上がり下りしてるし,あんな宇宙機が作れるなら無理な探査をしなくてもスペースコロニー位簡単に作れるんじゃないの?とか,ファンTジーでももう少し辻褄を合わせるんじゃ無いの?とか,まあ,3時間楽しませて呉れました。

投稿: | 2014年12月 9日 (火) 07時31分

それから、きっと「食事はどうしてるんだ?」というのは触れちゃいけないところらしい。

でもiMAXでもう一回観たい。

投稿: PicksClicks | 2014年12月 9日 (火) 22時19分

あんな宇宙ステーションで何処からも支援を受けずに20年間も一人で暮せるなら,地球上の食料問題もはなっから解決でしょ,なんて思うのね,特に「火星の人」を読んだ後だと食糧問題の大変さが身につまされるんですよ。

投稿: ををつか | 2014年12月10日 (水) 21時44分

そこだ>食糧問題も解決

理論物理学者が監修しているみたいだけれども、理論物理学者は飯を食わないのか?

Mission To Marsっていう映画では火星に置いてきぼりにされた宇宙飛行士が一人で農園を作って生き延びていたのだった。あれもなんだかおわりのほうはオカルトっぽい事になってたんじゃなかったかなぁ。

「2001年宇宙の旅」を見ていた世代からすると、インターステラーはそれに対するオマージュに見えたり、逆に『焼き直しじゃないか』とか思ったりするんだけれども、知らない世代にとっては新鮮なのかも。

投稿: PicksClicks | 2014年12月10日 (水) 23時34分

ワームホールに突っ込んだ時の映像だとか音楽の使い方とか完全に2001のオマージュでしょ,全然越えて無いから「パクリ」と言われても反論出来ないレベルですけどね。
見ていて「何故ココでツラストラがかからない,ココのバックは美しく青きドナウだろ」と突っ込みまくりですね。

投稿: | 2014年12月14日 (日) 21時50分

二回目に見た時に音楽もしっかり聞いてきたんですが、まぁ過不足なく、ってところでしたね。本当に「ツァラストラ」とか流したりすると本当にパロディになっちゃいますからね。

投稿: PicksClicks | 2014年12月14日 (日) 22時38分

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