ポケットサックス(Xaphoon)は面白い。本当のサックスならもっとおもしろいのだろうが、残念なことに家庭の事情でサックスは買えない。いや、買えなくはないのだが、家の中で吹いちゃいけないのでこれは実質的に禁じられていることに等しい。
ポケットサックスのドコが面白いのかというと、音の一つ一つに責任を持たないといけないというところかな。例えばピアノとかギターだとF#の音を出すのは簡単だ。ところが、ポケットサックスでは穴の押さえ方一つをとってもON/OFFのデジタルなものではなくて、一つ一つがアナログなので、F#を正確に出そうとすると、まず抑える指を選ぶのはデジタルだが、穴の押さえ方をうまく調整しないと正確な音程は出ない。
これはF#が臨時記号付きだから、というわけではなくて、Fにしても、最低音のCにしても気が抜けないのだ。こういうところはサックスならもっと簡単なのかもしれない。実際、昨年楽器フェアでたまたま遭遇したサックス吹きのO野塚さんも私のXaphoonを吹いて「こんなの嫌いだ・サックスのほうがよっぽど吹きやすい」とか言ってたし、他のサックス吹きの方も「こんなの吹きたくないね」とおっしゃっておられた。Xaphoonというのはそういう鬼っ子らしい。
しかし、この手軽さは捨てがたいので、このところ、ギターよりもハーモニカよりもこのポケットサックスで遊ぶことのほうが多い。
で、このポケットサックスを触っていると、私の指との不適合があちこちで感じられるようになってきた。右手小指の当たる穴を削って調整したことは前に書いたが、右手薬指も、中指も当たり方がどうも良くない。あちこち削ってみたりしているが、まだ完全とは言えない感じ。
おもしろいのは、Eを鳴らすときには右手人差し指と中指で押さえるるわけだが、この押さえ方でEがちゃんと出ていても、右手の4本の指を全部使ってCを出すときには人差し指と中指の押さえ方を再確認しないといけない。
つまり最低音のCを鳴らすときには管全体が強く共振するためか、人差し指や中指の押さえ方が甘いと音程がCにならなかったり、あるいは音がならなかったりするのだ。ところがEを鳴らすならそれらの指は割りと甘くても鳴ってしまう。
そんなふうに音の一つ一つに気を使いながら吹いていると、なんとなく全体音感が付いたようなことが起こったりする。音の一つ一つに対する思い入れが強くなるので、それぞれの音名と音のイメージの関連付けができたっていうか。TVで流れている音楽をポケットサックスでなぞってみるなんていうことはギターでもある程度試行錯誤のあとでできたりするが、それがポケットサックスだと一発で出来たりするのだ。
一方、このポケットサックスは2オクターブまで出せるはずなのだが、その実現にはまだ難渋している。上のFまではなんとか出るのだが、F#/Gがなかなか出ない。頑張れば出るのだが、曲の途中でタイミングよく出すのが出来ないのだ。
リードも変えてみたが、最初に付属してきた2・1/2なら音がちょっと下品になりながらもオーバートーンで2オクターブ全域を何とか出すことが出来たが、3番のリードでは低音域の音質が好みなんだけれども、オーバートーンが全く出せない。
リードに関してはどれを選べばいいのかわからなくて、普通リードは10枚一組が3000円前後で売られていて、正月だから「テナーサックス用福袋」でもないかなぁ?とか探してみると、島村楽器で「リードバラ売り」というのをやっていたもんだから、いろいろ買って試してみたのだった。RicoとかVandrenが定番らしいが、国産のイシモリというのも良さそうだなぁ、とか思いつつ、先に書いたとおりオーバートーンを出すにはメーカー問わず2・1/2でないとだめみたいだ。
というわけで、どんな音を出してるんだい? ということで、blog更新の障害にもなっていたポケットサックスの音源を(恥を忍んで)ここに公開してみる。もちろん後悔先に立たずである。

Xaphoonの指穴を、このためだけに使うヤスリまで買ってきて指穴周りを削って調整した結果、こんな感じになって最低音を出しやすくなった。最低音とは言っているが、唇の操作で半音近くまで下げることができるし、膝を使って吹き出し孔を半分くらい塞ぐとBb近くまで下げることもできる。
こういう音域の狭い楽器を触っていると、今まで全く気にしていなかった曲の音域(最高音と最低音)に対して敏感になってきた。ギターなら3~4オクターブ使えるし、ハーモニカでも3オクターブ使えるので、曲の最高音や最低音なんていままで全く気にしていなかったのだ。
そういうこともあって、また音の一つ一つの音程を丁寧に確かめながら演奏するということもあって、音の重さを感じるっていうか、いままで音を軽く扱ってきていたのかなぁ、と思ったりもする。
例えばフレットレスベースを弾いていたりしたこともあるので、そういう意味では音の一つ一つの音程を確かめながら弾くということはしていたのだが、それとは違った音程調整をするようになったわけだ。
3月14日追記:
管の裏にエンブレムがあるのだが、私の買ったものには塗装が施されていなくて地の色のままなのだ。購入ルートによってはエンブレムが金色になっているものもあるようだ。
そこで、金色のマーカーで塗ってみた。するとなかなかかっこいいぞ。演奏している時にはお客さんには見えないんだけれども、持ち方によっては自分にだけ見えるので、ひとりにやにやしております。
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