読めない小説で悩む
580ページくらいの文庫本なので、普通だったら1週間くらいで読んでしまうのだが、この本には1ヶ月くらいかかった。仕事のせいというのもあるが、本が途中で(しかも初めのほうで)読めなくなってしまったのだ。
どういうことかというと、話が辛くてよめない、というか辛くなりそうで怖くて読めなくなってしまったのだ。
話を簡単に紹介すると、主人公はオハイオ州の田舎に住む真面目なサラリーマンで、身重の奥さんがいる。しかし兄がいてこれが素行不良というか、独身で無職。さらに兄にはさらに素行の悪い友人がいる。
この3人がたまたま森の奥で大金を見つけてしまう。440万ドルというから今のレートだとざっくり5億円。話は1987年あたりだからもうちょっと感覚的には大きいのかもしれない。
もちろん、主人公以外の二人は大喜びでさっさと山分けしようというのだが、主人公は「いや待て。6ヶ月寝かせて、探している人がいないことを確認してから山分けしよう(やっぱりするんかいっ!)」ということで二人を説得して金を預かる。
日本なら、拾得物の5%~20%を謝礼として受け取ることができるのだが、アメリカでは(オハイオでは)どうなんだろうか? 本の中ではそうことに全く触れられていないので分からないし、調べてもわからなかったのだが、わずかでも謝礼金が出れば拾得物を正直に申し出るということも増えると思うのだが。5億円の1割って言うと5000万円だからねぇ。
しかし、こんな話がうまくいくわけがない。特に身重の奥さんがいるということが私にはとてもつらい設定であって、妊娠中でもストレスは与えたくないし、生まれたら生まれたでこういうややこしい話には巻き込まれたら嫌だなぁ、ハッピーエンドなんてありえないなぁとか思うと怖くて読めなくなってしまったのだ。
そんな(私の)状況が3週間ほど続いて、もうこりゃダメだな。この本はもう捨てようとも思った。教養書以外のこういう娯楽本を途中で辞めるということは意地でもやらないようにしているのだが(教養書や技術書を途中でやめたことは何度もある)、今回は初めてその禁を破ることになるのかな? と思ったり。
でもまぁ、読むのをやめる前にどうなっていくのかちょっと見てみようと思って本の真ん中あたりをチラ読みしてみると、どうやら主人公が何やら決断を下したらしい。それならなんとか読み進めることができるかな? とおもって読み返し始めて3日で読みきってしまった。ああ疲れた。
スコット・スミスという作者は当時27歳でこの本を処女作として書いた。発売当日に売り切れるほどの人気だったらしい。サム・ライミ監督によって映画化(1998年)もされているので見てみようと思うが、「あ、それ言っちゃいかんだろう」とか「あ、それやっちゃいかんだろう」みたいなことが何度もあるので、ある意味韓ドラ的な面があるのかもしれない。ひょっとしたら交通事故で記憶喪失というのもあるかも。
しかしなかなかにおもしろい話ではあった。主人公の心理描写が多いので、映画ではそこをどんなふうに描いているのか楽しみだ。
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