「白い道」で悩む
本場ブラジルよりも日本で人気があると言われるボサノバだが、日本で流行っているボサノバの曲はブラジルからアメリカへ渡って、アメリカでヒットした曲ばかりだ。
だから、日本で有名なボサノバの曲はたいてい英語のタイトルがついている。ついでにそれを和訳した邦題もついていることが多い。
そんな、アメリカ経由のボサノバではなくて、ブラジルからアメリカへ渡れなかったようなボサノバの曲を重点的に探していたことがあって、ブラジルの歌本なんてないのかな?とブラジルものを扱っているような店を物色したりもしたのだが、日本でよくある芸能雑誌の付録の歌本みたいなのはどうも無いようだ。
他にも、ブラジルのアマゾンで譜面を探したりとかいろいろもがいてみたのだが、結局のところアントニオ・カルロス・ジョビンの曲集から見覚えのない曲を探してみるということになった。
そんな中で見つけたウチのひとつがこの曲だった。「Estrada Branca」。訳すとたぶん「白い道」かな。私としては珍しい曲を発掘したつもりだったのだが、Amaduosさんはとっくの昔にレパートリに入れてられた。さすがだなぁ。
ボサノバの曲というと、ゆったりとしたメロディにコードがころころ変わるというのが多いのだが、この曲はボサノバにしてはわりと細かい譜割りで、しかしその割にはメロディがするりと入ってくる。ひょっとしたらボサノバ運動以前に作られた曲なのかもしれない。
するりと入っては来るのだが、メロディが途中からヨレ始める。そのヨレ具合がなかなか面白いのだ。
譜面をそのまま出すのはちょっと問題があるかもしれないので、1段4小節、ワンコーラス32小節の譜面をこんなふうに加工してみた。 この曲のヨレ具合を表現するために、譜面を色分けしてみたのだ。
最初の8小節①はわりと平板な感じだが、次の4小節②からヨレ始める。さらに③となってあれれ?感を出すのだが、④でもとのキーに戻ってリセットされる。
⑤からはサビ感を出しつつ⑥でさらにヨレて、でも⑧ではなんとか安定させたいと思ったのか、⑦がなんというか割と無理っていうか無理矢理つじつまを合わせた感がある。
⑨は普通なら①と同じようになるところなのだが、むしろほぼ②に近いメロディで、どうなっていくのかなぁ?という不安感があり、⑩、⑪なんかはどうすりゃいいのよ? という感じになりつつなんとか⑫で元のキーに戻している。
そういえばジョビンの曲ってそういう感じだよな~。ドナートだとそういうことが少ないんだけどなぁ。
こうやって色分けしてみたものの、私としてはまだこの曲を十分に分析できたとは言えず。まだまだ手探りでやっております。
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コメント
同じメンバーのJobimに捧げたもう一枚の"A Day in New York"は持ってますが、微妙な曲もあります。YouTubeでChega de Saudadeを聞いて買ったんですが、Jobimといえども中には暗くてダラダラ続く曲もあるんですね。
https://youtu.be/E09_mNEDDnU
FBのW君のコメントからするとこちらのアルバムの方がよさそうですね。
投稿: taki | 2016年6月26日 (日) 12時59分
この曲をYoutubeで探したいくつかの演奏のうちからこのテイクを選んだら、それがたまたま坂本龍一でした。だから、私はこのアルバム持っていません。
でもこれじゃぁ、買わないわけには行かなさそうな…。この曲の音源を所有するのはこのアルバムが最初にになります。
投稿: PicksClicks | 2016年6月26日 (日) 16時52分