水銀電池で悩む
銀塩カメラ、つまりデジカメじゃなくてフィルムを使って撮影するカメラを触るようになったので、昔から死蔵しているそんなカメラを引っ張り出してきたりしている。それらをずらっと並べて記念撮影したりもしたのだが、それを紹介するのはまたべつの機会にして、今回はカメラの整備の話。
NIKONの古いカメラ「NIKOMAT」は普及品クラスの製品だったらしいのだが、これを私が死蔵していた。いろいろいじくっていくと、つまりは電池がヘタっていることがわかった。父の筆跡でこんな紙切れがケースの内側に貼り付けてあった。
交換じゃなくて「更換」だ。父らしいこだわりを感じる。昭和61年3月というと、父が体調不良を訴えていたころだ。父はその後食道がんでその年の7月に亡くなった。
そういうわけだから、電池が交換されてから30年経っている。どんな電池でもそりゃヘタるわな。
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@電池の位置は定番のカメラ底部。コインひねってで開けるようになっているが、なぜか普通に考えるのとでは回転方向が反対だ。 |
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電池ホルダーを開けるとこういう形の電池ホルダーになっている。あまり見たことのない形だ。 電池はMR9という型番の付けられたものだった。調べてみるとこれは水銀電池というもので、水銀はもう使っちゃいけないということになってしまっていて、もちろん製造も販売も終了してしまっている。 しかも、水銀電池は電圧が1.3Vで、この電圧が長期間にわたって安定しているということが、こういうカメラなどに使われていた理由らしい。 このころのカメラというのは、今みたいにマイクロコンピューターを搭載して制御するというものではなくて、もっとアナログな制御だったらしい。つまり、電池の電圧がそのまま撮影照度測定の制度を決めてしまうらしい。 |
これがその電池MR9(右側)。左側は比較のための最近でもよく見るリチウム・マンガン電池のLR44。これら二つの電池は見た目でもわかるように、直径が11mm強と16mm弱とだいぶ違っている。しかもMR9のほうは土星のような、というか厚みが段になっている。
電池の裏側は同じような感じ。厚みはどちらも約6mm。これならLR44をMR9の代わりに使えるんじゃないか。
問題は電圧の違いで、LR44は新品のときには1.5Vとちょっと高いので、照度を高めに測定してしてしまう。つまり本来よりも明るいと判断するので、それを真に受けると写真は暗めに写ってしまう。
電圧の心配は後ですることにして、大きさの違いをなんとかすることを考える。真鍮版を直径16mmの円形に切り抜いてさらに中央に穴をあけてドーナツ状にすればいいのだが,その工作はなかなか難しそうだ。
こういう水銀電池が手に入らなくて困っている人は多いようで、代用MR9のようなものもあったようだが入手が困難だし、LR44をMR9に見せかけるアダプタもあるのだが3000円ほどする。
なので、LR44に針金を巻き付けることを考える。1.5mm径の針金があるので、これをLR44に巻き付けてみる。長めに巻き付けて何度かカットアンドトライした結果がこれだ。
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こんな感じで大丈夫かな?とは思うが、とりあえずフタが閉められて照度計がちゃんと動作しているようなのでよしとしましょう。 |
このカメラには自動露出調整という機能がないので、ファインダーの中に表示される照度計を見ながらシャッター速度と絞りを調整することになる。つまり手動ではあるが、多少調整の必要な照度計があるので、それほど使い勝手は悪くないんじゃないかな。車で言えばマニュアル・トランスミッションみたいなものだな。それはなかなか悪くない。
6月25日追記:
NIKOMATでお勉強(ASA400)。
夜間の居間でTV画面を撮影する。
F5.6 1/60
F4.0 1/125
昼間・曇り空の屋外
F16.0 1/250
昼間・晴天の屋外
F16.0 1/500
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コメント
古いカメラを使う障壁の一つが露出計用の電池の入手ですよね。一回り小さなリチウム電池とアダプタの組み合わせで使うしか無いのでしょうね。
投稿: ををつか | 2016年6月18日 (土) 21時44分
MR9を分解して外側のケースだけを使ってアダプターを作るというのも考えたんですが、分解すると水銀が出てきちゃうと思ってやめました。
投稿: PicksClicks | 2016年6月19日 (日) 09時26分
詳しく検証したサイトを見つけました。
http://mr9.cyber.client.jp/
投稿: ををつか | 2016年6月19日 (日) 10時16分
そのページは見ましたが、針金を巻き付けるのは書いてませんでしたね。
このサイトはサイズに関する情報が不正確で、例えばMR9はインチ表記で直径0.6と0.5、厚みが0.23なのですが、それらが15mmと5,5mmになっていたりします。
投稿: PicksClicks | 2016年6月19日 (日) 17時11分
件のサイト、金属を巻き付けるのはショートの原因になるからダメ、と書いてありましたね。
私のカメラを開けて見たらSR43とアダプターが入っていました(そういえばMR9が買えなくなった随分前に買った)。馴れると露出は計らなくても判るようになるんですけどね。銀塩カメラを使う事はもう無いだろうな。と思いつつ、今日骨董屋でニコンFのフォトミックファインダー付きを見て思わず値段を聞きそうになったもんな、まだ未練はあるようです。
投稿: ををつか | 2016年6月19日 (日) 21時42分
細いワイヤをぐるぐる巻きつけると、電極の具合によってはショートの原因になるかもしれないですが、こうれだけ太いと少なくともこの電池ホルダでは問題ないと思います。
人間の目は明るさや暗さに慣れてしまうので、露出計がないとなかなか安心できないですね。昔は「晴れの日の屋外ならF16 でシャッターが1/250」とか言ってたんじゃなかったかなぁ? よく覚えてないんですが、F値は二乗で効いてくるんでしたっけ? NIKOMATで勉強してみればいいのか。
投稿: PicksClicks | 2016年6月19日 (日) 23時55分