エッシャーの下書きに悩む
静岡のエッシャー展ではエッシャーの作品もさることながら、作品の下書きが興味深かった。
たとえば、これは「深み」という作品の下書きだが(版木なので作品とは左右が逆)、

エッシャーはさらにこんな下書きを描いている。

これはやっぱり作図と計算で描いたんだろうなぁ。
計算と言えばこんなものもある(著作権に配慮して文章はモザイクをかけました)。ページの下側の作品を描くために上半分のような下書きを描いているわけだが、これは相当量の数値計算をしないと描けないと思う。

今ならEXCELもあるので(本格的な人ならMathLibを使うんだろうけど)、簡単にできるかもと思ったが、意外に時間を食ったわりには完成度が低いんだけど。

これはEXCELを使って、三角関数の計算を7000回、掛け算をおよそその3倍くらいだからざっと2万回くらいやってこれだよ。エッシャーはそれを手計算でやったのか?すごいなぁ。
9月9日追記:
しかし、計算や作図ではこういう絵は描けないと思う。発想が、その実現法によって制限を受けるということがないのだろう。

そしてこの作品。いったいどうやって思いついたんだろうかと思う。

さらにこの作品を分析したこの動画が素晴らしい。
関連情報:ドロステ効果
エッシャーはドロステ効果を遠近法の拡張として捉えていたんじゃないだろうか。
エッシャーとドロステ効果 : こういうふうに分析したらしい。

もっとわかりやすい解説。
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コメント
図学ってな学問分野が有りますよね、結構複雑な図形をコンパスと三角定規で書いちゃうやつ。
そんなのとか、関数を決めたら、おおまかな計算だけして途中は内挿補間とか、計算機の時代には使わなくなったテクニックをアレコレ使ったんじゃ無いでしょうかね。
手計算で何千点もの座標を計算するのは昔の飛行機の設計ですね。
投稿: ををつか | 2016年9月 6日 (火) 23時43分