「ケレン」で悩む
ある人と話をしていて「ケレンが…」と言ったところ、「ケレンって何? 何語?」という反応。「いや日本語ですよ。歌舞伎用語っていうか。」ということで話が続かなかったのだが、これってそんなに知られてない言葉なのか?
私の理解では「(パフォーマンス上で)ちょっと普通じゃないこと」というくらいのつもりだったのだが、WEBで検索すると、「はったりやごまかし」なんていうのが大手を振って定説になっているみたいだ。
どこかのサイトが自信ありげに書いたことをよく考えもせずに引き写しているサイトが多いようで、それをまたしたり顔でヤフー知恵袋で披露する人なんかがいておかしなことになっている。
辞書を引いてみると、左に引用したように「客受けを狙って変わったことをする」ということらしい。もともとは文楽か何かで他の流派の様式を取り入れた(それを「外連:けれん」と呼んだらしい)ことに起因するとか(諸説あり)。
「客受けを狙って」というのは私も知らなかったのだが音楽にしても演技にしても、まっとうなことばっかりじゃつまんないよね、ということでひねりを加えるということは必要なことだと思っていて、それが客受けを狙っていると言われれば確かにそうなんだけど、でもそれが例えばジャズなんかでは大きな要素となっているような気がする。
例えば演奏するときに代理コードを使ったり、アウトしたり、ブルーノートを使ったりするのもそうだし、曲をお作るときにもあえてスケール外の音を入れてみたくてコード進行をいじったりする。
で、それをやりすぎると嫌味だと受け取られるので、聞く人それぞれにその境界線がいろいろとあることによって「趣味」というものが形作られる、ってことなんだろうか。
しかしその根底には「客受けを狙って」ということがあるのだということ、勉強になりました。
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コメント
演技などの「ケレン」って言葉や用法は知っていましたが、最近では建設用語の方のケレンばっかり使ってます「ちゃんとケレン出ししてから塗装したの?」とかね。
演技とか演奏とかのケレンってウケを狙って変わった事するんだけど、マイナスの印象があります。「どうもあの演技はケレン味が強くて嫌だね」とか言いませんか??
投稿: ををつか | 2017年7月 8日 (土) 18時02分
そうそう、だからケレン味のさじ加減が重要になるって話で。まったくケレン味がないのもつまらないと思うのでね。
投稿: PicksClicks | 2017年7月 8日 (土) 21時05分