国際的ミステリで悩む
ジェフェリー・ディーバー漬けからアダム・ファウファーに鞍替えしたりした後、特に惹かれる作者もいなくて、読書としては迷走気味な今日この頃。
私の最近の読書傾向としては国際的なミステリというのか、中国がベトナムへ侵攻したりとか、それをアメリカの民間人が阻止するだとか、そんな小説からから始まっていたりする。
次いで、東京YearZeroという、第二次大戦の終戦前後の東京を舞台にした警察小説なのだが、作者がなんと英国人のデビッド・ピースという人。外国人がよくこんな小説を書いたなぁというのが率直な感想。筒井康隆風のテキストがあったりして読みにくかったりもするのだが、8月15日の玉音放送の直後に「こうなったら長野県に立てこもって徹底抗戦だ!」とか言い出す人がいたりして、なんてことをどうやって思いついた?
そのあと、「龍の帝国」という危ない本につかまりそうになったが、これは西暦2190年から始まる話で、古代中国的な政治体系が世界を支配しているというありがたくない状況で、世界は「アイス」と呼ばれる硬質プラスティックという大陸を超える床で仕切られた階層構造になっており、人々はまさに階層を成して暮らしている、という設定。で、作者が英国人のデビッド・ウィングローヴというひとで、この小説は日本語の文庫版では全16巻になるという超大河小説なのだ。
でも最初の1冊でお腹がいっぱいになったのでもう先は読まない。だって、未来小説なのに新しいものがほとんどないんだもの。
あとは、NYのユダヤ人社会の中で生きる孤児を描いた「8番目の子供」とか、スイスで起こった殺人事件をフラン人とかスイス警察とかが入り乱れながら解決していく「氷結」とか、イスラエル諜報部員が活躍する、今読み中の「亡者のゲーム」これはなかなかかっこよくておもしろい。まだ中盤なんだけど、読み終わるのが惜しい感じ。
ああ、そういえばこの「亡者のゲーム」の中でカズオ・イシグロの小説「日の名残り」(たぶんドイツ語版)が小道具に使われていたのだった。
こうやって、普段あんまり読まない国の小説を読んだりすると、ハリウッド映画化狙いのアメリカ製ミステリ小説とは違った面白さがある。お気に入り作家はなかなか見つからないが、国際的見地から乱読を続けていこうと思う。
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