全翼機で悩む
子供のころは飛行機と言えばゼロ戦や隼、飛燕、鐘馗、震電なんかが好きだった。中学生ごろにはF104Jが好きだった。でも今なら迷わずこれだ。「Horten IXb 229」。
このHorten229は第二次世界大戦の終盤にドイツ軍がほぼ実用化していた全翼機だ。HortenというのはHorten兄弟というのが開発者だったということなのだが、会社名なのかどうかはよくわからない。この写真は実写ではないが、実機の写真や動画はネット上でいくらでも見ることができる。
この機体のことを知ったのは、20世紀の終わりごろにアメリカで買った「ドイツの軍用機」みたいなVHSビデオでだった。胴体も尾翼もない全翼機というのにも驚いたのだが、そのビデオで驚いたのはHortenIII(だったと思うのだが)という全翼型の試作機の脚だった。
私の記憶ではそのHortenIIIは前輪2本、後輪1本の3脚式だったのだが、なんとその1本の後輪が主脚だというのだ。だから離陸するときにはまず前輪が浮いて主脚の1本だけで胴体を支えつつ加速し、飛び上がる。着陸の場合にはまず主脚一本で着地して減速してから前輪が着地するというものだった。
この主脚が1本というのがなかなかショッキングで、さすがはドイツの合理主義!と感銘を受けたものだった。
この試作機がプロペラ駆動だったのか、それとも曳航されるグライダーだったのかさっぱり覚えていないのだが、Horten229みたいなジェットエンジンではなかったと思うんだけどなぁ。
そのVHSビデオをこの夏の大整理大会でどうも捨ててしまったらしくて確認ができない。どうせこんなのYoutubeにあるだろうと思ったが、いくら探してもHorten229しかなくて、一本主脚なんてのは見つからない。あれは私の幻覚だったのだろうか?
このHortenの技術は戦後アメリカがごっそり持って行き、ロッキードで試作を繰り返した後に最終的には「B2」として結実する。Horten229のころからすでにステルス塗料を使っていたりして、垂直尾翼がないことからレーダーに映りにくいということを意識していたらしい。
それにしてもドイツの軍用機開発の多様さには驚かされる。ドイツに行ったときにいろいろこういう本を買ってきたのだが、こういう本が安くて10~30マルクということは600円~1800円くらいで買えてしまう。
写真左上のはアメリカのアマゾンで買ったのだが、これは35ドルくらいだった。
これらの本には実際には製作されなかった機体の設計図面などが合計で100機以上あるんじゃないかな。そういうのを見ているだけでも楽しい。
で、そういうのを見ていると自分でも作りたくなってくる。
紙でいろいろ作ってみた結果、A4のコピー用紙でこんなふうになった。
A4用紙を単に折っただけではやはり重心位置がうまくいかないので、ゼムクリップで調整している。
ゼムクリップなしで重心を取る方法も考え中。
12月28日追記:
クリップなしで重心位置とかいろいろ試行錯誤の結果こういうものができたんだけれども、どうしてもオモリに相当する部分の紙がうまくまとまらなくてホチキスで止めざるを得なかった。これはある意味反則だな。
ちなみに先のクリップを使ったものはA4フルサイズなので全幅298mm、全長210mmなのだが、今回のは全幅298mmは変わらないが、全長を120mmとした。飛び具合は部屋の中ではそれほど変わらない。
で、一部訂正。Hortenの全翼機技術を戦後にアメリカが持ち帰ったと思っていたのだが、調べてみるとノースロップ社が全翼機を研究を始めたのが1941年だったということで、これはHortenの1930年代よりは遅いが、少なくとも戦後にHortenの技術をかっぱらったというのは間違いだった。
こちらの年表ではノースロップのほうが早かったということになっている。まぁ諸説あるんだろうな(11:20)。
12月30日追記:
ホチキスを使わずにオモリ部分をまとめることに何とか成功。使った紙は125mm×88mmのメモ用紙で、紙の厚さと大きさとの関係がちょうどいい感じ。
今回は何度でも同じように作れるように三角翼が直角二等辺三角形としたので全幅125mmに対して全長62mmとなった。
直角二等辺三角形の全翼機を飛ばしてみた。最初のがホッチキスを使っていないもの、二回目がオモリ部分をホッチキスで止めたもの。やはりホッチキスで止めた方が空気抵抗が少なくて具合がいいようだ。
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