スターリングエンジンで悩む
スターリングエンジンには以前から興味があった。わずかな温度差でも動作する機構だということで、最初に調べようとしたときにはなんだかピストンが複数あってなんだか複雑そうだと思ったのだが、要するにこういうことらしい。
つまりピストン内部の空気の温度を、高温熱源と低温熱源にうまいタイミングで切り替えれば空気が膨張・収縮を繰り返してピストンを前後させることができてクランクを回せる、と。
ピストンと熱源との接続を切り換えるのが、「セパレータ」と呼ばれるピストンに似た構造だ。セパレータがピストンへの熱の流れを制御するのだが、問題はそのタイミングだ。
自作のスターリング・エンジンでは上の動画のように90度の位相差を持ったクランクでピストンの動きとずらすものが多いが、もうちょっと洗練されるとフリーピストンというものも使われている。
この説明は下の説明文に①~④という番号が振られているのに、図の方には③、④、①~③というふうに振られているのでわかりにくくなっている。
そういうのではつまらないような気がした(それに作れないと思った)ので、別の方法を考えてみた。
この機構が何と呼ばれているのか知らないが、トグルスイッチと呼ばれている電子機器のスイッチに使われているのを見たことがある。ここではヒステリシス・リンクと呼ぶことにする。
図で赤く示したのはスプリングを描くつもりだったがうまく描けなかった。青く塗られているのが支点でレバーは支点を軸にして自由に動けるが、赤いスプリングでピストンとつながれている。
このヒステリシス・リンクを使うと、膨張行程の間(あいだ)中には高温熱源を導入し、収縮行程の間(間)中に低温熱源をピストンに導くことができると思う。問題はスプリングが動作を妨げる方向に力を要することだが、まぁこれは何とかなるだろう。
で、スターリングエンジンを作ろうとして集めた部品がこういうものだ。
まず作ってみようと思ったのは、真ん中にあるピーナツ缶の側面がボール紙だということに気づいたからだった。それで上下の断熱ができると思って。
で、その側面に穴を開けてトイレットペーパーの芯を突き立てる。芯の先にはゴム風船を縛り付けて空気圧でピコピコと出入りするものと期待する。
缶の中には缶の内径にほぼ近い(だが空隙はある)円形のセパレータ(願わくば薄い発泡スチロール製)を入れ、それがヒステリシス・リンクでパタパタと団扇を扇ぐように動く(ものと期待する)。そうすると、セパレータが空気を追い出せない部分ができてしまうので、その部分を熱伝導性のよいアルミホイル(を押し固めたもの)で充填する。写真に見える針金細工はヒステリシスリンクである。
出来上がりはこんなふうになるはずだ。クランクもなければはずみ車もない、ということでそこのところは諦めて風船の先がピコピコすれば良しとする。
缶の下からはお湯くらいの温度で温めて、上の方は自然空冷とする。缶の上の方はアルミホイルでフタをすればなんとかなるのではないかという甘い考え。
ヒステリシスリンクの動きを動画にしたので見ていただきたい。円形セパレータとの接続部が何とも貧弱だが、発泡スチロールまたはボール紙のようなものをテープでとめようという想定。金色の針金(真鍮である)がコイル状になっているのはセパレータの重量とバランスを取るための錘のつもりだ。
ヒステリシスリンクができたと考えて、缶の中の空気を温める予備実験を行う。缶の上部wサランラップで密閉し、缶とトイレットペーパーとの接合部は薄い紙テープで空気漏れを防ぐ。これを熱湯を入れた容器の上に置くことで実験を始められる。
室温を25℃、湯温を80℃として絶対温度297℃対352℃で0.18気圧ほどの圧力が期待できる。これは人間が息を吹き込む以上の圧力のはず。
風船がぷっくり膨れるはずと期待したのだが、これが全然膨らんでくれない。缶の底面は暖かくなっているのに、これはいったいどうしたことか。
残る作業としてはセパレータを缶の中に入れてヒステリシスリンクを接合するだけなのだが、なんだかもうやる気がなくなってしまった。全部ゴミ箱行きかも。
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