ギター工場で悩む
年末年始は病人が出たり、自分自身も調子が悪くなったりして、ほとんど出歩かなかった。するとTVとYoutubeの番をすることになって、「犬も歩けば棒に当たる」ということになる。
以前から興味があった、ギター工場の見学というのを実際に行くのではなくてYoutubeである程度体験できるというご時世なので、気になっているメーカーの工場をちょっと見てみようかと。
■Epiphon
エピフォンはもともとGibsonのコピーメーカだったが、その品質をGibsonに認められて「正式な」コピーメーカーになったらしい。とはいえ、Gibson自体が破産してしまったし、そもそもGibson自体の品質がここ10年ほど低下しているので、「正式なコピーメーカー」というのがどういう意味を持つのかはよくわからない。
しかし最近気になっているEpiphon Casinoがどんなふうに作られているのかということを知りたかったのでこの動画は興味深く拝見した。中国の青島工場での撮影である。
この製造過程で気になったのは、
1) フレット打ちを機械化している。
4) 弦を張る工程では機械を使って弦を巻き上げている。
3)がどうも気になるところで、そこはちゃんとしないと表板と側板の接着が弱くなってしまうんじゃないかな。
インタビュアーは日本人で、工場長はアメリカ人っぽい。インタビュアーが日本語で質問し、工場長が英語で答えるが、その答えが翻訳されていない。だいたい聞き取れるし、聞き取れないところもYoutubeの字幕を見ればわかるんだけれども、インタビューとしては不完全だ。
■YAMAHA(中国)
同じ中国でも、YAMAHAの工場ではまたちょっと違った方法でギターを作っている。
YAMAHAというメーカーは、ほどほどの(低いという意味ではない)品質の楽器を、普及できる価格で提供するということに心血を注いでいるのだが、この動画を見るとその様子がよくわかる。
ざっくり言うと、Epiphonほど自動化されてはいないが、特殊な技術を持った職人というものは存在せず、工程は単純化されて効率化すべきところはどんどん自動化しているようだ。
Epiphonと比べると、
1) フレットは手打ち後に研磨している。
2) 表板と側板の接合部は治具を使って揃えているんじゃなかったかな?
3) 弦を張るのは手作業。
ということだ。私もYAMAHAのギターを一本持っているが、あまり活躍の場を持てないでいる。
■Yairi(岐阜県)
ヤイリ(K.Yairi)は品質に定評のある国産のハンドメイド・ギターメーカである。私も一本持っている。
しかしこの動画を見ると、YAMAHAの工場と比べてたいへんに手がかかっていることがわかる。そもそも使用している木材が高級なものである上にいちいち手作業が入るので、価格の上でYAMAHAと競争するのは並大抵のことではないだろう。
例えばネックの加工は手作業で削っている。「ネックの形状は職人の判断に任されている」というナレーション付きである。それでいいのか?
私がYairiのギターを買った時には、楽器屋でさんざんいじり倒した結果選んだので、ネックの形状というのはもちろん私の好みに合っているのだが、こういう作り方/売り方では効率悪いんじゃないのかなぁ? ネックの形状というのはコードをストロークする人としない人(私のように)でずいぶん違うはずなので、どういうネック形状のものをどれだけ製造するかというのはマーケティングを絡めて考えないといけないはずなのだがなぁ。
ヤイリの工場では出来上がって弦を張ったギターを試奏している。これはYAMAHAとかEpiphonでは考えられないことだろうと思う。
■FUJIGEN
富士弦楽器(FUJIGEN)は自身のブランドだけでなく、他社のブランドも請け負うギターメーカーである。私が最もよく使っているHistoryのHEG120NTもFUJIGENが作っていたということだ(このギターは製造終了)。
工場の動画としてはソリッドギターのものしかなくて、ボディを接着して作るという工程を見ることはできないが、ポリシーとしてはYAMAHAとYairiの中間のような感じだろうか。
フレットの加工状況はこの動画ではわからない。
他社の製品を請け負うというのは製造効率がよくないとできないことで、しかも品質を落としてないということを考えると、YAMAHAとしては憎たらしいところだろう。
YairiだったかFUJIGENだったか、工場の見学ツアーがあるらしいのだが、不定期でしかも平日限定らしいので見に行くのはなかなか難しい。行けると楽しいんだがなぁ。
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